《対象1〜3歳》標識やルールを学ぶきっかけに『さんぽのしるし』

『さんぽのしるし』で標識や交通ルールを教えられます
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  • 五味太郎/福音館書店

【絵本の内容】

うさぎさんが野原へお散歩に出かけます。歩いていると、いろいろな標識がありました。「かいだんのしるし」「はしのしるし」「なみだのしるし」…おっと、次のしるしは真っ黒だ!これは何のしるしかな?

【1〜2歳】読み聞かせのヒント

会話をうながす仕掛けが

絵本の中の文は「これはなんのしるしかな」「このしるしは… はてな」などと、登場人物のセリフとして書かれています。

読み聞かせの時には、自然にお子さんにしるしの内容を問いかけながら読み進めることになりますので、きっといつも以上に読み聞かせの時の会話がはずむと思います。

あなに落ちるシーンは笑えるから学びが多い

笑ったり楽しかったりするとき、子どもの感覚と脳はとても鋭敏になっています。たくさん笑った楽しいときの記憶は強く長く残ります。

子どもはみんな高いところから落ちたり、坂を滑ったり、穴に落ちたりするシーンが大好きです。うさぎさんが穴に落ちるページでは「しゅっ」でも「ひゅっ」でも「すぽっ」でもいいのですが、何かオノマトペをつけてあげてもいいかもしれません。

絵本の読み聞かせは、子どもが擬音語や擬態語を学ぶ絶好の場です。擬音語や擬態語は生活の中で教えようとしても、一番いいタイミングを逃してしまいがちです。特に落とし穴に落ちる擬態語などは、ふつうなら「しゅっ」とか「ひゅっ」などと言っている間に、もう穴に落ちてしまっていますから。

しかし、絵本ならちょうど落ちている瞬間に最適なオノマトペを言ってあげることができます。その瞬間が描かれた絵を指差すことで、オノマトペが理解しやすくなります。

オノマトペは曖昧になりがちで、何度も何度も少しずつ違った状況で見て聞いて感じて覚えていくのですが、絵本をたくさん読めば時間がかかるオノマトペの理解を、少しだけ早めることができます。なにより絵本の中では、それはたくさんのオノマトペに出会うことができますから。

野原に咲く花で数を覚える

この絵本は、なぜか、うさぎさんが歩いている野原に咲いている花を数えたがる子どもが多いです。シンプルな絵に印象的な白い花が描かれているでしょうか。

1〜2歳から、お子さんと一緒に野原に生えている木や花の数を数えてみませんか。早くから数字に親しんでいると、大きくなって数字を覚え出したら、この絵本の左右のページに描かれた花を使って簡単な足し算で遊ぶことができるようになる子もいます。

【2〜3歳】語りかけのヒント

視線をあげて歩くように

この絵本に出てくるしるしの内容は「かいだん」「はし」「さかみち」など楽しいものです。駐車禁止や一旦停止など実際の標識を学べるものではありません。

この絵本を読んだら、お子さんはきっとお散歩のときに視線をあげて歩くようになると思います。この絵本をきっかけに、お子さんが標識や看板に興味をもつようになるからです。

標識や看板を読もう

お散歩の道中にある標識や看板の絵や文字を読んでみましょう。標識の意味はたちまち覚えてしまいますし、看板にある文字はひらがなもカタカナも漢字もすぐに覚えてしまいますよ。

ルールを守ることも教えて

標識を覚えたら、交通ルールというものがあって、交通ルールは守らなきゃいけないものだということも教えましょう。

例えば駐車禁止の場所では、「これは『ここには車をとめちゃいけませんよ』っていうしるしだよ。見て!ここは交差点のすぐそばだもん。こんなところに車がとまってたら、とても危ないよ。みんな、迷惑しちゃう」などと話してあげてはいかがでしょうか。「だから、ルールは守ろうね」と。

最後は思いやりの心を

最後の「ふたりのしるし」で、お子さんは一緒に仲良く遊ぶことや自分の船に乗せてあげることなど、優しい思いやりの心を感じることができます。

「自分の船にうさぎさんを乗せてあげて、ねずみさんはやさしいね」などとねずみの親切心や、「穴の中で一人ぼっちで、もしかしたら、ねずみさんは寂しかったのかな」などとねずみの心情について、ママやパパにとっては当たり前のことをお子さんに、改めて言葉で説明をしてあげてください。

子どもの理解はまだ未熟で曖昧です。ママやパパが言葉で説明してあげることで初めて、お子さんはしっかりと理解することができます。理解が深まると、得た知識を違う場面で応用し、判断することは子どもは得意です。どんどん興味の幅が広がります。

書かれてないことに気付く

小説などと同様に、絵本の読み聞かせでも本に書かれていないものを読みとることがとても大切です。乳幼児期のお子さんは「感じ取ること」はできても「理解すること」はできません。乳幼児期に子どもが理解できるのはママやパパが言葉で説明してくれたことだけです。

ママやパパにとっては当たり前のことでも、一つひとつ言葉にして語りかけながら教えてあげることも時には必要です。絵本には、余計なことは言わない方がいい絵本と、当たり前なことでも言葉にして伝えてあげた方がいい絵本があります。必要なときには言葉にしてあげると、知識が深まり、お子さんの言葉の発達にもいいだけでなく、お子さんの心に届きます

想像力を刺激するヒント

さらに絵本のストーリーの続きを、お子さんと一緒に考えてみても楽しいかもしれません。

「ねずみさんと仲良しになったうさぎさんは、ねずみさんをおうちに招待してくれるかな?」「うさぎさんのおうちには、うさぎさんのしるしがあるから、ねずみさんは迷わずうさぎさんのおうちに行けるね」などと言ってみると、お子さんから思いもよらなかったステキなストーリーが返ってくるかもしれません。お子さんの無限の想像力に触れられるのも絵本の読み聞かせの醍醐味の一つです。

表紙と次のしるしは?

この絵本には、表紙にもしるしがありますし、表紙を一枚めくったページにもしるしがあります。

表紙をめくったページには、うさぎさんのしるしが描かれた標識の挿絵があります。もしかしたら「主人公はうさぎさんですよ。うさぎさんのお話ですよ」という意味なのかもしれません。「このしるしはどういう意味だろう」とお子さんに聞いてみたら、どんな答えが返ってくるでしょうか。

表紙そのものに描かれたしるしは、いったい何のしるしでしょうか。表情は笑っているようにも見えるし、少し怯えているようにも見えます。

「これは何のしるしだろう?」と子どもたちに問うと、「これから始まるうさぎさんの冒険のしるしだよ!」と言った子もいましたし、「階段や橋を作った工事の人が『危ないですよ』って言って作ったんだよ」と言った子もいました。大人では「今日はどんな日になるんだろうっていう一日の始まりのドキドキ感じゃないかしら」と言ったママさんもいました。

お子さんがこのしるしをどんなしるしだと考えるか、楽しみにですね。

この絵本を読んだら読みたい本

『どうぞのいす』という本に「しるし」という言葉が出てきます。日常生活では「しるし」という言葉にあまり馴染みが持てない場合は絵本を利用するのもいいかもしれません。

 
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『さんぽのしるし』で標識や交通ルールを教えられます

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