研修に来ていたママ産科医の熱のこもった母親講習で習ったお産知識。陣痛の痛みから始まり方、時間の間隔や痛みの程度、痛む場所などママ産科医ならではの情報満載。「陣痛の痛みの7割は不安と恐怖からくる」ー 陣痛の痛みをできるだけ軽減するために出産前に最低限知っておきたいのお産のはなしです。
陣痛を知れば痛みが和らぐ
リラックスをすれば陣痛の痛みが和らぎます。その理由はママの体がもつ4つの機能と3つの科学的根拠にあります。
ママを守る4つの体の機能
ママの体には、ママを陣痛から守ってくれる機能が備わっています。この自然な力ママが陣痛を怖がらずにリラックスすることができれば最大限に発揮できます。そうすれば麻酔薬に頼らなくても陣痛の痛みが和らぎ、麻酔薬を使わないからこそ赤ちゃんにもママにもやさしいナチュラルなお産ができることになります。
医師も支持する3つの根拠
「読むだけで陣痛の痛みが和らぐ」「読むだけで安産になる」の理由は脳科学にありました。産婦人科医も「陣痛の痛みの7割は不安と恐怖からくるものである」と言っています。
人生で最高の幸せと感動を
出産は女性だけの人生で最高の幸せであり感動の瞬間です。最近では、出産の幸せと感動よりも、陣痛の痛みの方が注目されているのはとても残念なことだと思います。
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陣痛が来たらこうなります!
安産のために陣痛が来ても慌てず恐れずリラックスできるように、まずはお産について知って、お産への不安をなくしませんか。お産はふつう4つのステージに分けられます。
- お産の第1ステージ:陣痛
- 陣痛が始まる
- 陣痛が強くなる
- 病院に行く
- 子宮口が開く
- 子宮口が最大に
- お産の第2ステージ:出産
- お産の第3ステージ:産後処置
- お産の最終ステージ:ママの回復
出産用語は使い分けが曖昧なのですが、このページでは用語の定義に則り以下のように使い分けたいと思います。
- 陣痛=子宮が収縮すること及び子宮収縮の痛み
- 陣痛の合間=子宮の収縮が止まり痛みのない状態、正式名称は間欠期
- 出産=赤ちゃんが外に出てくる瞬間
- お産=陣痛から出産までの一連の流れ
お産の第1段階:陣痛の始まり
お産の第1ステージは陣痛です。主役はやはりママでしょう。
「陣痛」とは赤ちゃんを外へ送り出すために子宮が収縮する力のことです。子宮とは筋肉でできているので、陣痛は子宮がこむら返りを起こしているようなものかもしれません。
陣痛というのは陣痛が始まってから出産までずっと続くわけではありません。陣痛の初めの頃には「ちょっと痛い気がするけど、陣痛なのかどうかが分からない」という状況はこのために起こります。
出産にはつながらない前駆陣痛(※)と出産につながる本陣痛の違いは「間隔」です。陣痛の痛みは、痛みが来たと思ったら、痛みが止まり、しばらくするとまた痛み、そしてまた止まり…と繰り返されます。そのため、痛いなと思ったら必ず痛みがきた時間を測る必要があります。ただし、初産の場合、出産につながる本陣痛でもなかなか規則正しくならないことがあり、判断するのがさらに難しくなるかもしれません。
臨月になると頻繁にお腹が張るようになります。前駆陣痛といわれる陣痛の一種です。臨月に入りますと前駆陣痛が頻繁に起こり、陣痛の予行練習のような痛みを毎日のように感じます。しかし、前駆陣痛では赤ちゃんは生まれません。
1回に子宮が収縮する時間、つまり1回の陣痛の時間は1分もありません。陣痛は痛い痛いと言われますがたった数十秒のことなのです。これは陣痛の後半になっても同じです。(ただし陣痛の後半では陣痛自体は数十秒で終わりますが、痛みが体中に響いたようになっていますので陣痛が引いても痛みは引きません。このような状態になると赤ちゃんに会えるのはもうすぐです)
陣痛のあとには必ず休憩時間があります。この陣痛の休憩時間のあいだは痛みはなく、キューッと張っていたお腹は再び柔らかくなります。
① 陣痛が始まる
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「おしるし」から始まる陣痛
陣痛の前には「おしるし」と呼ばれる出血があることがあります。「おしるし」がない場合もあります。私は陣痛が始まって3〜5時間後に「おしるし」がきたことがありました。
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「破水」から始まる陣
またお産は破水から始まる場合もあります。破水してしまうと赤ちゃんがばい菌に感染してしまう危険があります。すぐに産院へ行きましょう。破水から始まった場合は赤ちゃんの感染防止のため抗生剤を投与されるはずです。
破水というのは赤ちゃんを守っていた膜が破れることで、羊水が外に出てしまうことです。このとき膜のどこが破れるかで破水の量が変わります。膜の下の方(赤ちゃんの頭の方)が破れた場合は、生暖かい羊水がドバーッと出てきます。おそらく下着もスボンも靴下もビショビショになるはずです。破水だと気付きやすいので少しだけ安心です。一方、膜の上の方(赤ちゃんの足元の方)が破れた場合、羊水はポタポタと滴り落ちる程度です。下着が少し濡れる程度でしょう。破水だと気付きにくいので注意が必要です。破水と尿もれの違いは「止まるかどうか」です。破水している場合、ポタポタという程度の少量の羊水が止まらず流れ続けます。
いずれにしても破水すると、赤ちゃんを外の世界のバイ菌から守ってくれていた膜が壊れてしまって、赤ちゃんはお腹の中で無防備に晒されている状態ですので、すぐに産院に行く必要があります。抗生剤の投与が遅れると感染し、ママも赤ちゃんも熱が出て体力が落ちます。他の合併症を引き起こしやすくなります。
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初期の陣痛は不規則
陣痛が始まったばかりの陣痛の初期では、痛みも弱く前駆陣痛との違いはとても分かりにくいです。初期の陣痛は不規則に起こります。子宮が収縮し、お腹がキューッと張ったかと思うとすぐに元に戻り、何もなく30分や1時間、人によっては数時間過ぎてしまいます。そして忘れたころに再びお腹がキューッと張り、子宮が収縮します。
前駆陣痛と本物の陣痛との大きな違いは繰り返すかどうかなのですが、本物の陣痛も初期には不定期に起こるためとても分かりにくいのです。3時間前にお腹が張ったことが別々の前駆陣痛なのか、出産につながる陣痛だったのか、この段階では産院に行っても分かりません。そのため産院に行っても、家に帰されます。
▼ 落ち着くために
② 陣痛の間隔が短くなる
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規則正しい陣痛
しかし本陣痛であれば、陣痛はやがて規則正しい間隔で痛むようになります。
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陣痛は生理痛のような痛み
陣痛はよく「生理痛を強くしたような痛み」と言われます。産婦人科医の中には「妊娠中の十月十日生理がありませんでしたから、陣痛の痛みは生理痛を10倍にしたようなものです」などと言う医師もいます。
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陣痛は骨が動く痛み
私個人の感想ですが、陣痛は決して生理痛のような痛みではありませんでした。確かに痛む場所は似ています。しかし生理痛よりもずっと体の芯が痛む感じでした。生理痛が臓器の痛みなら、陣痛は骨の痛み。赤ちゃんの頭が通れる大きさにまで腰の骨を開いてあげる痛みです。赤ちゃんの頭がぎりぎり通れる10センチの大きさになるまでママの腰の骨がギシギシと広がっていきます。そんな痛みでした。
③ 病院に行く
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いつ病院に行くか
初めてのお産の場合、陣痛が5分おきくらいに起こるようになると病院へ連絡することになります。経産婦の場合は、10分から15分おきで産院へ連絡するよう指導されます。
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病院に着いたら
病院に着いたら、まず起きている陣痛がお産につながる陣痛なのかどうかを診断されます。お産につながる陣痛は子宮を開いてくれるので、診断は触診で、手を入れて子宮口の大きさを測ります。
残念ながら、お産につながらない陣痛の場合は家に帰るように言われます。「一度家に帰って、陣痛が強くなったらまた来てください」すでにとても痛い陣痛に耐えているのに、なんとも非情な一言です。こう言う助産師さんの顔はまるで鬼に見えるものです(笑)
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お産をすすませる小わざ
しかし家に帰るのはママにとっても好ましいことです。病院に入院させてもらっても、看護師さんや助産師さんは30分から1時間に一度くらいしか診に来てくれませんし、ちょっと様子を見るだけですぐにいなくなってしまいます。産院で一人孤独に陣痛の痛みに耐えるより、家で家族と話をしながらリラックスしている方がお産は進みます。
初めてのお産ではお風呂に入ることも勧められます。これは入浴するとお産が進むからですが、個人的に初産の陣痛の初期に家でゆっくりお風呂を楽しむのはオススメです。出産後は感染を予防するため1ヶ月間は湯船には入れません。陣痛の痛みもお湯の中では和らぎますよ。
- 陣痛室へ
さて、お産につながる陣痛がきた段階で、初めて陣痛室に案内してもらえます。ここまでの過程は個人差が非常に大きいものです。初産でも陣痛室でなく直接分娩室に案内されるママもいれば、陣痛室ではなく入院室で2日も3日も陣痛に耐えなければいけないママもいます。お産につながらない陣痛に耐える時間が長いと「では、陣痛室に行きましょうか」と言ってくれる助産師さんが天使に見えます(笑)
お産につながる陣痛だった場合、初産の方でも陣痛が5分間隔になって産院に来たはずなのに、陣痛と陣痛の間隔はどんどん短くなっていきます。そして痛みはどんどん強くなります。
また初産の場合、ママが初めての産院のお部屋で緊張するためか、産院に着いたら間隔が10分から15分に伸びてしまうこともあります。ママは常にリラックスできるよう頑張ってください。リラックスするためのリラックスグッズを用意しておくこともおすすめです。関連記事「おすすめの出産のときの持ち物リスト」(近日公開)
④ 子宮口が開く
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子宮の出口が子宮口
分娩台では助産師さん同士が「子宮口〇〇センチです」などとやりとりをします。赤ちゃんが出てくるためには、子宮口は赤ちゃんの大きな頭と肩を出してあげられるくらいに大きな空間を作らなければいけません。陣痛の痛みはその準備のための痛みです。
この段階での陣痛の痛みはすでに激痛のレベルを超えていると思います。よく「鼻からスイカを出すような痛み」などと言われますが鼻は痛くありません(笑)出産の痛みは、腰骨から10センチ大のメロンを出すような痛みであり、陣痛の痛みはその10センチの出口を作るために腰骨が一気に動いている痛みです。私は腰をハンマーで叩かれているみたいだと感じました。
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子宮口は最大で10センチ
子宮口が10センチ開くまでいきんではいけません。「いきむ」というのは赤ちゃんを押し出すことですが、力の入れ方は便秘のときに「う゛ぅぅ~ん」とトイレで頑張るのに似ています。この段階では陣痛の痛みは尋常ではないので、体全体に力が入ってしまって、いきむつもりはなくてもいきんでしまうことがあります。例えば腹痛でお腹がキリキリ痛む時、無意識に体に力を入れて息を止めて痛みをやり過ごそうとしますよね。しかし、これはママの体にも赤ちゃんにも悪い影響が出てしまいます。ママはなんとかやり過ごさなくてはいけません。
ここで体に力を入れてしまうと、産道の筋肉にも力が入ってしまいます。筋肉は力を入れると固く縮むので、赤ちゃんの出口がせまくなってしまうことになります。陣痛の痛みに耐え続けて、せっかく腰骨にすき間を作っているのに、肝心の産道の筋肉のせいで陣痛の痛みが長引いては元も子もありません。そのため、この陣痛の最終段階で陣痛と陣痛の合間にリラックスする必要があります。
- リラックスすれば安産に
陣痛というおそらく人間が経験しうる最も辛い痛みの最中にリラックスするのは並大抵のことではできません。しかし、効果はテキメンです。この素晴らしい効果に注目したのがソフロロジー式分娩法です。ソフロロジー式分娩法での出産をソフロロジー出産と呼びますが、ソフロロジーのリラックス法は99%がこの瞬間のためのものです。
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産後の体調を左右する会陰
「産後の肥立ち」は昔から「床上げ1ヶ月」などと言われ、出産から1ヶ月は布団を片付けないでずっと寝ていなければいけないとされてきました。酸欠や栄養失調などの症状があれば現在は産後すぐに産院で必要な処置を受けられますから、産後の体調を決めるのは9割が「会陰」の状態です。
会陰裂傷という痛くない傷。
子宮口が開き切っていないのにいきむと、子宮の出口の筋肉(つまり会陰)が裂けたり切れたりしてしまいます。これを会陰裂傷といいます。会陰が裂けてしまう人の中には、そのままおしりの穴まで裂けてしまう人もいるそうです。裂ければ縫うことになるので、できるだけ会陰に傷が入らないお産をした方が産後の回復は早くなります。
会陰縫合という激痛無麻酔手術。
会陰が切れたり裂けたりすると、傷ついた筋肉を縫わなくてはいけません。これが激痛です。陣痛よりもよっぽど痛いです。陣痛中は陣痛の痛みが強すぎて、会陰が裂けたり切れたりすることなど実感できないのですが、陣痛がおわり、我に返った素の状態で、しかも麻酔もなく、「筋肉」を縫うのですから、痛くないはずがないです。麻酔をせずに外科手術を受けているようなものです(ちょっと言い過ぎ)。実際に「陣痛より会陰を縫ってる時の方が痛かった」と言うママはとても多いです。
そして、会陰が切れると…。
産後座る姿勢がとれなくなります。おしりに全体中をかけるなんてとんでもない(笑)なので、授乳をするのも、食事をするのも、お見舞いのお客さんの相手をするのも、トイレで用をたすのも大変です。会陰が切れても切れなくても、産後はおしもが腫れるものですが、会陰を縫った後は水でもトイレットペーパーでも少し触れただけでとても痛いですし、さっさと治したいのでそもそも触れたいものではありません。会陰はできることなら傷つけない方がいいです。
会陰マッサージで縫合知らずに!
会陰は筋肉です。筋肉はストレッチすると伸びるようになります。筋肉が柔軟に伸びれば、当然ですが、裂けたり切れたりすることはありません。出産での会陰切開を予防するために会陰マッサージというのもあります。
会陰マッサージは子宮口の筋肉のマッサージですから、ママが脚を大きく開いた状態で、子宮の出口をギュッギュッと力を入れて揉みほぐさなければいけません。欧米では一般的で、女性が妊娠すればパートナーがマッサージしてくれるものだそうですが、日本では、奥さんが出産間際だからといって旦那さんが会陰をマッサージしてくれるほどには会陰マッサージはまだ浸透していないようです。他の人にマッサージしてもらうほどには効果はありませんが、会陰マッサージはママが自分でもできます。
私は会陰マッサージをしました(してもらいました)が、確かに恥ずかしいけれどオススメではあります。会陰マッサージをした結果、初産のときには助産師さんが驚くほど少ししか切れませんでした。2回目、3回目は全く切れませんでした。(会陰が無事だと産後が本当に楽です!)参考記事「オススメの会陰マッサージ」(近日公開)
というわけで、会陰を守るためにも、子宮口が開き切っていない状態でいきんではいけません。これはソフロロジー式分娩法はもちろん、ラマーズ法でも、他のどの分娩法でもおそらく同じです。ラマーズ法で「ヒッヒッフー」の後に力一杯いきむというのは誤った見識です。力を入れてはいけないと頭で理解してはいても「陣痛というこの世のものとは思えないものすごい痛みと闘いながら、それでも力を抜く!」という所業は並大抵ではできません。
- いきみ逃しというテクニック
「いきみ逃し」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。「いきみ逃し」とは、いきまずに陣痛をやりすごすための方法です。私は無類のソフロロジー好きですから、オススメのいきみ逃しはもちろんママが呼吸と思考回路をコントロールするソフロロジー出産の方法ですが、テニスボールを使ったり、誰かに腰やおしりを押してもらったり、ラマーズ法にもその他の分娩法にも「いきみ逃し」の方法はたくさんあります。
▼ 痛みを逃すために
⑤ 子宮口が全開になる
いきみを逃しながら陣痛をくり返すと、子宮口が10センチまで開きます。子宮口が10センチで全開すると、赤ちゃんが外に出てきてくれます。
残念ながら、「子宮口10センチ」はゴールではありません。初産婦ママの場合、子宮口が全開大の大きさになってからまだ1〜2時間かかります。この段階の呼吸法はとても大切です。
▼ 酸素を十分に吸うために
が、ここに来るまでに既に痛みは限界を超えていて、ソフロロジーのトレーニングが十分でなかった1回目のお産では私は息も吸うことができませんでした。赤ちゃんの酸欠を示す警戒音が鳴り響き、助産師さんにも「息を吸わないと赤ちゃんが苦しいよ~」と言われ、自分でも息を吸わなければいけないことはわかっているのですが、体はもう自由に動かすことができず「ひぃっ、ひぃっ、ひぃっ」と弱くて浅い呼吸をするのが精一杯で、結局、酸素マスクを付けられてしまいました。
陣痛が始まってから子宮が完全に開くまで、これがお産の第1ステージです。
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お産の第2段階:出産
お産の第2ステージは分娩です。主役は赤ちゃんです。
子宮口が10センチ、つまり全開すると、いよいよ赤ちゃんが出てきます。子宮口が全開になるとママは分娩室に移動します。最近の産院では陣痛室と分娩室が同じ部屋であることが多いですし、ママが陣痛中に移動しなくていいようにすべてが整ったLDR室というものもあります。LDR室では陣痛中に横になるベッドが分娩台に早変わりします。
子宮口が全開するといきむ。
陣痛はママの体を広げる出産の準備だったので、ママが一人で痛みに耐えなくてはいけませんでしたが、ここからの主役は赤ちゃんです。ママはいきんで、赤ちゃんが外に出ようとするのを助けます。ソフロロジー式出産では、力を入れていきむというよりも、息を長く吐きながら頭を少し持ち上げておへそを見るように軽く腹筋運動をする感じでした。
▼ 赤ちゃんを外に送り出すために
子宮口が10センチの全開大になってから赤ちゃんが産まれるまでが、お産の第2ステージです。
お産の第3段階:産後処置
お産の第3段階は産後処置です。赤ちゃんが産まれてから胎児付属物、臍帯、胎盤、羊水というものが全部出てくるまでです。お産の第3段階の主役は先生と助産師さんですね。ママは特にすることはありません。
主役は先生と助産師さんなので、ちょっとズボラな先生や大雑把な助産師さんに当たると会陰縫合や胎盤処理がものすごく痛いです。裂けた会陰の縫合があまりに悪いと次の出産の時に同じところが、2回目にはさらに大きく裂けてしまうそうですし、胎盤は本来ならゆっくりと引っぱればつるんと出てくるものですが、お腹をぐいぐい押しつぶして無理に剥がし、引っぱり出そうとする助産師さんもいます。きっと新人の時に指導をしてくれた先輩助産師さんにそう教わるのでしょうね。他の手術と同様、先生や助産師さんの腕次第といったところでしょうか。しかし、たいていの場合、ここでは気力も体力も残っていないので、多少、奇想天外なことをされたとしても恐らく何もできないと思います。
ママが赤ちゃんに会えるのはこの直後です。出産の記念写真を撮るのも、たいていはこのタイミングです。お産のすべてが順調に進めば、赤ちゃんのへその緒がまだ着いたまま胸に抱かせてもらえる場合もあります。
「カンガルーケア」とは
お産で外に出てきた赤ちゃんをママの胸に抱かせてあげることをカンガルーケアと言います。カンガルーケアが一般化している欧米の調査では、生まれた直後にカンガルーケアをしてもらった赤ちゃんは心が落ち着きやすく、夜泣きをしにくいという結果が出ています。もし可能であれば、カンガルーケアをしてくれる病院や助産院を選ぶことをおすすめします。
最近、カンガルーケアで死亡事故が起きました。カンガルーケアでは赤ちゃんとママの肌を触れ合わせた方が効果があるのですが、オーストラリアの病院でママの胸に乗せられた赤ちゃんがママの胸の上に放置され続け、低体温症で亡くなりました。生まれた直後にママの肌に触れることは赤ちゃんにとってもママにとってもとても良い効果がありますが、一方で、生まれたばかりの赤ちゃんはすぐに体温が下がってしまいます。全世界で年に何十万人もの赤ちゃんが生まれている中のほんの一例で、滅多に起こることではありませんが、カンガルーケアをしてくれる病院や助産院を選ぶ時には、カンガルーケアがスタッフの分娩マニュアルの中に入っていて、日常的にカンガルーケアを行なっており、スタッフがカンガルーケアに慣れているところがいいかもしれません。
お産の最終段階:ママの回復
お産の最終段階です。最後はママが休憩する時間です。分娩後に起こる可能性がある分娩合併症など、ママの体の回復を助産師さんや看護師さんが注意して見守っていてくれます。
スタッフや立ち会いの家族などみんな部屋の外へ出ます。ママがゆっくり休めるように、ママは部屋で1人で分娩台の上に横になったまま2時間ほどママの体の様子を診ます。おそらくママは寝てしまうでしょう。この休憩時間にはカロリー補給のために食事が運ばれたり、深夜など食事時間でなければアイスやジュースをくれたりするようです。
これでお産が終わりました。ママは入院室に移動し、赤ちゃんのお世話の始まりです。
【参考文献】産婦人科医松永昭『ソフロロジー式分娩のためのテルプノスロゴスCD』
実際のお産はどんな感じ?
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