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ソフロロジー出産とは
ソフロロジー出産とは、ママが陣痛中にリラックスをすることで、麻酔薬を使わずに陣痛の痛みを和らげ、痛みを受け入れることで、ママにも赤ちゃんにもやさしいナチュラルなお産を目指す分娩法です。
ソフロロジーのイメトレ
陣痛という痛みの中で上手にリラックスするために、ヨガや禅の手法を応用して、陣痛のイメージトレーニング、子宮収縮のイメージトレーニング、そして痛みの中でのリラックスと呼吸法のトレーニングを行います。
CDを手作りした経緯
私はソフロロジー出産が大好きで、子どもは3人ともソフロロジー式分娩法で産みました。しかし産院はソフロロジー出産の専門病院ではなく、イメージトレーニングはCDで独学しましたし、お産の時には恥ずかしくてソフロロジーCDを持って行ったことはありません。しかし、痛くない陣痛やスピード安産や産後の回復などソフロロジー出産の恩恵は感じられたので、おそらくソフロロジー出産には成功したんだと思います。
ソフロロジー出産のイメージトレーニングは「CDを聞き流すだけ」の簡単なトレーニングです。イメトレCDを何度もくり返し聞いていると、いろいろな箇所(最後の項で熱く語っています)が気になってトレーニングの妨げになっているように感じるようになりました。
そこで少しずつアレンジしてみました。最初は公式イメトレCDを聞きながら、気になる箇所は頭の中で自分の言葉に置き換えて理解していました。しかし、だんだんと逐一頭の中で言葉を置き換えるのに疲れてきて、自分の言葉でナレーションを吹き込み直して、公式イメトレCDではなく自分の録音を聞きながらイメージトレーニングをしていました。それが結構良かったような気がするので、こちらでご紹介することにしました。
ちなみに、ソフロロジー出産のイメージトレーニングに使われるトレーニングの指示の言葉をソフロロジーでは「テロプノスロゴス」と言います。これは私のアレンジ版テロプノスロゴスです。
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手作りCDの作り方
① リラックス音楽を探す
ソフロロジー出産は「ママが陣痛中にリラックスをすること」が大前提です。イメージトレーニングはリラックスするためのトレーニングですから、自分が一番リラックスできる音楽を用意してください。
歌でなく「音楽」の方がいい
聞いてリラックスできる音楽であれば、ポップスでもロックでもバラードでも、何でもいいのですが、歌は入っていない方がいいです。歌が入っていると歌詞の意味に気を取られてしまって、赤ちゃんをイメージすることに集中できない可能性があります。
途中に「不穏な曲調」がある曲
出産のイメージトレーニングをするための音楽ですから、できれば曲の途中で「陣痛の波」を思わせるような、ちょっと不穏な曲調の音楽であれば、よりイメージトレーニングをしやすいと思います。長調より短調の曲がおすすめです。
オススメの音楽
リラックス音楽といえばクラシック。そしてモーツァルト!ある調査によれば、モーツァルトの曲には実際にα波を促進させるメロディが含まれているのだそうです。というわけで、モーツァルトの曲の中からオススメさせていただきます。
モーツァルト交響曲第40番ト短調(約7分)
ただ、公式イメトレCDではお産のイメージトレーニング用の曲は30分もあるのに、モーツァルトの音楽はどれも短いのが難点です。モーツァルトの時代の曲はどれも長くないので仕方ありません。モーツァルトの曲を何曲か続けてかけ流すのもいいかもしれません。
そこで、長いクラシック曲といえばブルックナー。陣痛をイメージするための音楽ですから、明るい曲調より少し不穏な曲調の方がイメージトレーニングをしやすいので、ブルックナーの交響曲のうち短調の『交響曲第1番ハ短調』『交響曲第0番二短調』『交響曲第2番ハ短調』『交響曲第3番二短調』『交響曲第8番ハ短調』『交響曲第9番ハ短調』から好きな曲を選んではいかがでしょうか。私がオススメするならば、
ブルックナー交響曲第1番ハ短調(約50分)
この曲は最終楽章の最後で短調から長調に転調して終わるので、陣痛を終えて赤ちゃんに会えた喜びでイメージトレーニングを締めくくれます。が、50分もあるので、聞いているうちに途中で寝てしまう可能性が大きく、最終楽章の最後のメロディーまで記憶に残っているかというと、どうでしょうか…。
② ナレーションを録音する
ソフロロジーのイメージトレーニングでは、CDに吹き込まれた指示を聞きながら、体の力を抜いたり、陣痛や赤ちゃんをイメージしたりします。
私は公式イメトレCDのこの指示が合わず、自分で作り直しました。公式イメトレCDはもともとソフロロジー式分娩法の第一人者である松永医師が一人で作ったのだそうです。ソフロロジーのトレーニングは「リラックスさえできたら」他の縛りはほぼありませんから、多少のアレンジはいいのでしょう。実際に、私はアレンジ版CDでトレーニングしましたが、ソフロロジー出産の効果を感じるお産ができました。
▼ ソフロロジー出産体験レポ
次の『アレンジ版ナレーション』をご自分で読んで、声を録音してください。背景にリラックスできる音楽を流して録音するか、聴く時にリラックスできる音楽と録音したナレーションを同時に流すかして、イメージトレーニングを行います。
アレンジ版ナレーション
ナレーション前半は「全身の緊張を解くための言葉」です。この部分はほぼ『公式のイメージトレーニングCD』と同じです。中盤の「内的世界へ入る」からは完全オリジナルのアレンジ版ナレーションになります。
(ここから録音します)
私はソフロロジー出産のイメージトレーニングを始めます。全身の緊張を解いていきます。
(頭部の緊張をとく)
肩の緊張をときます。頭が少し倒れ加減になります。
額の緊張をときます。大シワ、小ジワが消えます。額がだんだん滑らかになってくるようです。目の周りの筋肉と眉の筋肉を緩めます。おでこの力を抜き、顔全体の緊張がとけたのを感じます。それはまるで、私がいつも顔につけている緊張の仮面を外したかのようです。緊張の仮面は外し、そして、もっと清らかな仮面をつけます。
(上半身の緊張をとく)
首とうなじもゆるめます。首とうなじの緊張をとくと頭の重みを感じます。頭は今、リラックスした肩と首の上にバランスよく安定して乗っています。
次に、両肩の緊張をときます。肩がくずれるように流れるようです。両腕、前腕、そして両手の力を抜きます。体に溜まっていたコリや緊張が、肩から肘を通り、手首を通って、指先から流れ出ていくようです。首の後ろから肩甲骨のあたり、おしりまで力を抜きます。脇もリラックスします。
胸とお腹も力を抜きます。力を抜くと息が自由に静かにできます。胸とお腹は吐くと引っ込みます。吸うとふくらみます。引っ込んで、ふくらんで、ちょっと風船のようです。
(緊張がとけた状態を感じる)
この静かで気持ちよい呼吸のリズムにゆれるままになります。このまま呼吸を続けたら、気がつかないうちに眠りに落ち込んでいるかもしれません。私はまるで眠くなってしまったかのようです。
(下半身の緊張をとく)
下半身を緩めます。胴をゆるめます。腰もゆるめます。股も股関節もやわらかくなりました。そして、性器もゆるめます。赤ちゃんの頭にゆっくりと押されたら、産道と会陰が赤ちゃんをやさしく包み、私の産道はゆっくり十分に伸びることでしょう。
両足の緊張をときます。太ももから、膝、ふくらはぎ、つま先まで、ゆっくりと力を抜きます。筋肉の緊張は、腰から股を通り、膝と足首を通って足の指から流れ出すようです。
(リラックスを味わう)
頭から足先まで、全身の緊張がとけました。私はゆっくりとした呼吸の気持ちよさと静けさと休息を味わっています。複式の自由な呼吸のゆっくりとしたこのリズムに身をまかせます。
(いのちの営みを感じる)
筋肉のゆるんでいるので、体の中の循環がスムーズです。自分の体の、筋肉も内臓器官も細胞も、リラックスした呼吸による十分な酸素の恩恵を受けています。私はふだんは意識することのない、自分の体のいのちの営みを感じています。
(意識の奥にいることを意識する)
このリラックスした状態のとき、私は意識の奥にいます。今は体の中で起こるすべてのことに非常に注意深くなっています。私は精神の平和と調和を感じています。
(内的世界へ入る)
この気持ちがよい意識の中では、お腹の赤ちゃんを容易にイメージできます。子宮の中のその小さな尊い存在に神経を集中させます。
お腹の赤ちゃんの存在に集中できたら、妊娠したと分かった時の喜びと感動を思い出します。初めての妊婦検診では白黒の画面の中に小さな心臓が力強く鼓動しているのを見ました。私のお腹の中には今しっかりと小さな命が宿っています。
私の赤ちゃんは今、子宮の中で何をしているでしょう。羊水の中にぷかぷかと浮いていて、上を向いたり、下を向いたり、子宮の壁にぶつかったり、へその緒をひっぱったりして遊んでいるかもしれません。何の不安も緊張もなく安心して寝ているかもしれません。
お腹の中ではたっぷりの羊水が赤ちゃんを衝撃から守ってくれています。赤ちゃんは羊水のその中で自由に泳ぐのが大好きです。私の赤ちゃんは気持ちよく遊びながら私に会える瞬間を心待ちにしてくれています。
私がリラックスすると、赤ちゃんにたくさんの酸素が届きます。私が吸った空気が、自分の肺から体のすみずみへ運ばれるのを感じます。酸素は赤ちゃんのいるお腹へも運ばれます。お腹の方へ運ばれた酸素は、へその緒の中を通って赤ちゃんへと運ばれます。私の体にあった酸素は赤ちゃんの体に入り、赤ちゃんの体のすみずみにまで行き渡りました。たっぷりの酸素が届いて、赤ちゃんはとても元気で嬉しそうです。
私の体から運ばれる酸素は、私から赤ちゃんへの贈り物です。赤ちゃんの肺は休息しています。赤ちゃんの代わりに私が息をしてあげています。赤ちゃんは私の呼吸なしでは元気ではいられません。
今も小さな心臓は頼もしく動いています。私は時に言葉で、時に心で赤ちゃんに話しかけます。赤ちゃんは蹴ったり、つついたり、あくびをしたり、指をなめたり、赤ちゃんなりのやり方で私に応えてくれています。
喜んだり、驚いたり、眠くなったり、気持ちよくなったり、赤ちゃんの気持ちを想像してみます。
このように赤ちゃんのことを想うことで母性がはぐくまれていきます。こんなに赤ちゃんの存在を近くに感じられる私には、もう母性が生まれています。イメージトレーニングをするたびに、母性はどんどんはぐくまれていきます。私の子育てはもう始まっています。
これから数ヶ月後のある状況での私の日常生活を想像してみます。私の体はどのように変化しているでしょうか。体は今よりも少しふくよかになっているでしょう。お産に備えるためです。胸は今より丸く膨らんでいます。赤ちゃんの母乳を作っているからです。腰も今より丸くなっているでしょう。赤ちゃんを無事に外へ出してあげるためです。そしてお腹は今よりもずっと大きくなっています。中で赤ちゃんがすくすくと成長しているからです。
こうして改めて一つずつ認識してみると、私は自分の体が一つずつ着実にお産への準備を進めているのを感じます。体だけではありません。考え方だって赤ちゃんのために、物事をすべてよい方に考えるようにしています。そして数ヶ月後には、今よりももっと幸せで、自信にあふれ、希望に満ちた自分がいます。
(「お産」をイメージする)
陣痛が来ました。陣痛の痛みは生理痛のようにも感じますが、生理痛よりももっと体の奥がひびく感じです。陣痛の波に合わせて子宮が収縮しています。私の体が赤ちゃんを外へ出す準備を始めました。しかし、痛みはすぐに収まります。50秒も続きません。
陣痛は赤ちゃんが外に出ようとしている証しです。赤ちゃんが私に「ママに会いたいよ」とメッセージを送ってくれています。赤ちゃんは子宮のどこが出口なのか分かりませんから、子宮は収縮しながら赤ちゃんを子宮の出口に誘導してくれています。
子宮の中は羊水でいっぱいです。衝撃は羊水が吸収してしまうため、赤ちゃんに届きません。破水をして羊水を外に出してしまいましょう。そうしたら赤ちゃんは子宮の出口へと迷わずに進むことができます。
迷わずに進むことはできますが、羊水がなくなったら子宮の圧が赤ちゃんに直に伝わります。赤ちゃんは理由も分からず全身を圧迫されて、さぞ心細いことでしょう。それはもしかしたら、すやすやと布団の中で寝ていたら、突然、布団がキューっと縮み出して体が押し潰されるような痛みかもしれません。それはもしかしたら、エベレーターに乗っていたら、突然、四面の壁が迫って来て押し潰されそうな恐怖かもしれません。
赤ちゃんが痛みや恐怖に長い間さらされずに済むように、私は赤ちゃんをすぐに産んであげます。また陣痛の波が来ました。私がリラックするすればするほど、赤ちゃんは生まれやすくなります。私がリラックスをすればするほど、赤ちゃんへたくさんの酸素が送れます。赤ちゃんは今一生懸命生まれでようとしています。
陣痛の波は50秒も続きません。すぐに休息の時間がやってきます。陣痛の間、全身を押し潰されていた赤ちゃんはホッとしていることでしょう。次の陣痛まで赤ちゃんが休めるように、私は筋肉を十分に緩めてあげてます。筋肉を緩めてあげるので、子宮がやわらかくなり、赤ちゃんは束の間の安心を得ることでしょう。
また陣痛の波がやってきます。陣痛のたびに赤ちゃんはゆっくりと産道へと導かれます。陣痛のたびに赤ちゃんは姿勢を変え、体勢を変えて、出産に備えてくれています。赤ちゃんがこんなに賢明に外に出ようとしているので、私も一生懸命に赤ちゃんを助けてあげます。
いよいよ陣痛が強くなってきました。赤ちゃんが下りてきています。大きな赤ちゃんがせまい産道を通るのですから、赤ちゃんも私もきっと痛くないことはないでしょう。しかし、少しでも赤ちゃんが痛い思いをしないように私はリラックスをしてあげます。
赤ちゃんは陣痛中の子宮の収縮によって下へ下へと押され、出口まで誘導されました。しかし、出口の近くでは、陣痛で固くなる子宮の筋肉に邪魔をされて上手く外へ出られません。だから私は陣痛が収まっている時間にはリラックスをして、子宮をやわらかくしてあげます。そうしたら、子宮の筋肉がやわらかくなり、赤ちゃんの頭がすっぽりと出口にはまってくれます。
赤ちゃんの頭は10センチ。赤ちゃんの頭が通れるように、10センチの出口を作ってあげます。陣痛のおかげで、私の腰の骨は少しずつ動き、赤ちゃんが通れるように準備ができました。腰の骨なんて自分では動かせませんから、陣痛の力が代わりにやってくれていたのです。
赤ちゃんは産道を通る時には、頭蓋骨の骨をずらして重ねて、自分の頭をギリギリまで小さくして生まれて来てくれます。赤ちゃんはきっと「これ以上小さくしたら頭が壊れちゃう」というくらいにまで頭を小さくしてくれていますから、私も産道を「これ以上大きく開いたら体が壊れちゃう」というギリギリまで大きく伸ばし広げてあげます。
私がリラックスをしていたら、赤ちゃんはするりと生まれて来てくれます。赤ちゃんが外に出たら、陣痛はそれまでの痛みが嘘のようにピタリと止まります。
(イメトレを終える)
ソフロロジー出産のイメージトレーニングはこれでおしまいです。意識の奥にある自分の意識を呼び戻しましょう。
呼吸を元に戻していきます。少しずつ深く息をしていきましょう。何度も深く呼吸をして、顔の筋肉、特に口の周りの筋肉に少しずつ力を入れてみます。チューインガムを噛んでいる時のように口を動かしてみます。口を動かしたら、指を動かしてみましょう。ピアノをひく時のように指を少し動かします。次に顔、手足の緊張を意識します。体の緊張が戻ったら、最後に両手を高く伸ばして背伸びをします。
イメトレのやり方
イメトレのやり方は『ソフロロジー出産イメージトレーニングのやり方』でご紹介しています。そちらの記事でご紹介しているように、ソフロロジー出産のためのイメージトレーニングは毎日する必要はありません。CDを聞きながら途中で寝てしまっても構いません。とても簡単で気楽なトレーニングです。
▼ ソフロロジー出産イメトレのやり方
まとめ
以上が、私がアレンジしたソフロロジー出産の「ソフロリミナルな意識段階」と言われる状態でのイメージトレーニングです。
「聞き流すだけ」で十分
ご紹介したトレーニングのための「言葉」を一度録音してしまえば、あとは音源を「聞き流すだけ」で十分なイメージトレーニングができます。ソフロロジーのリラックス法は一度マスターすればとても役に立ちます。ご自身の子育てにも役立つでしょうし、将来は大切な入試や就職面接にそなえてお子さんに教えてあげれば、お子さんはきっと上手にリラックスできるようになるはずです。この機会に一度トレーニングされてみてはいかがでしょうか。
公式イメトレの改良点
公式イメトレCDで、私がいつもリラックス中に集中力が切れてしまっていたところをご紹介します。いつもいつも同じ言葉が気になってしまって、せっかく気持ちよくリラックスしているのに気が散ってしまい不快でした。
「内的世界」への抵抗感
まず「内的世界へ入りましょう」という言葉に抵抗がありました。スペインで生まれ、フランスで発展したソフロロジー式分娩法は現在のスペインやフランスでは「自己催眠分娩法」や「催眠セラピー」に応用されているそうですから、専門用語は直訳されて「内的世界」という言葉になったことは容易に想像できます。
しかし「内的世界へ入ります」と言われると、まやかしの催眠術か霊能力か、そのようなものをイメージしてしまいました。ソフロロジーでは不信や疑惑の感情はイメージトレーニングの妨げになるので、私は好きではありませんでした。
「内的世界へ入りましょう」という部分でいつも意識が覚めてしまっていました。わざわざ「内的世界へ入りましょう」と言わなくてもよい部分なので、この部分をまるまる省いてしまってもイメージトレーニングには何の支障もありませんし、もしこの部分で核心的で重要なトレーニングに入るんだということを示唆したいのであれば、「意識の奥へ」とか「自分の内面へ」とか、もう少し違う言い方をしてくれたらなとずっと思っていました。
「イメージ」することができない
例えば、公式のイメージトレーニングでは最初の方に「何か自然のものをイメージしてください」と言われます。「石でも、空でも、花でも、何でも結構です」なんて言われますが、突然イメージしようとしても私には無理でした。
石をイメージしようと思ったら「どんな石にしようか」「色はどうしよう」「形は?」「重さは?」と気になって気になって、体に力が入りそうになってしまいました。
「幸せな思い出をイメージしてください」という指示もできませんでした。それほど「幸せだ!」と思ったことなんて人生であっただろうか、と気になって気になって。「いや、幸せだ!なんて思ったことなんてなくない?」と思ったら悲しくなってきたりもして。
リラックスには日本語が固い
現在の日本のソフロロジー出産の手法はおよそ松永医師がお一人で創り上げたものだと言われています。公式本と言われている松永医師の著書はもちろん、CDに吹き込まれているナレーションも松永医師監修です。
例えば、イメトレCDに収録されている「精神を穏やかで安定した状態に保ち、意識的に筋肉の弛緩を図り…」や「ソフロリミナルな状態、すなわち眠りに入る前の意識段階で、子宮収縮のイメージトレーニング、つまり筋肉の緊張と弛緩の訓練や呼吸法の練習を…」など難しい言葉がたくさん使われています。
難しい言葉は本で読むのであれば勉強になりますし、分からなければ何度も読み返すことができますし、気分が乗らなければ読み飛ばすこともできますが、CDを聞いている時にあまりにも固い日本語ばかりを聞いていると、リラックスの邪魔になると感じました。ゆったりとリラックスをしている時には簡単な言葉で指示をだしてほしいな、と。
イメトレがお医者さん目線
言葉のニュアンスの問題です。例えば「出産」と「分娩」ですが、両者は大きく違います。「出産」をするのはママです。「ママが出産する」と言いますから。しかし「分娩」を行うのは医者であり助産師です。「ママが分娩する」とは言えません。「医者が分娩させる」のです。
CDに収録されているイメージトレーニングの指示が全体的に、お医者さん目線だなというのがずっと気になりました。「出産」を「分娩」や「娩出」と言っているからと、何が悪いわけでもありませんが、「出産」と「分娩」が一番象徴的だと感じたので例に挙げてみたわけですが。
具体的に、CDを聞いていて私がいつも集中力を切らしてしまっていた箇所をご紹介します。CDでは妊娠中のママの立場からのナレーションになっていますので、「私」とは「CDを聞いているママ」のことです。
- 「…は、私が赤ちゃんの存在に慣れるために、毎日私と赤ちゃんとか共有する特権的な瞬間なのです」
- 「こうやって今、私と赤ちゃんとの間に母子相互作用が構築されていくのです」
- 「陣痛は…中略…お母さんと赤ちゃんとが2人して乗り切らねばならない生命誕生への試練です」
- 「腹圧を加えることにより、赤ちゃんの娩出を助けます」
「〇〇は△△ですよ、だから頑張りましょうね」という意味が込められているのだとは思いますが、リラックスした状態で何度も聞いていると「〇〇は△△である、△△でなければならない」というような、まるで大学の講義でも聞いているような気持ちになって、リラックス中に意識が萎縮してしまうように感じました。
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こちらの記事はソフロロジー出産の生みの親である松永医師の著書『ソフロロジー出産の不安が喜びに変わるーフランス発の分娩法』を参考に、筆者の3回のソフロロジー出産体験に加え、ソフロロジー式分娩法関連書籍の内容を加味して執筆しました。
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