赤ちゃんから乳幼児期の「考える力」はママやパパとの会話の中で育まれます。毎日いかにたくさんの言葉を交わすか、それが子どもの思考力を左右します。毎日読み聞かせている絵本は会話の格好の話題を提供してくれます。「考える力」を鍛えるのに絵本を使わないのはもったいない!
【このページの目次】
思考力を伸ばす語りかけとは
語りかけは知育の原点
語りかけをすると言葉を覚えるだけでなく、他の能力もぐんぐんと伸びていきます。子ども自身が興味をもって、自発的に学ぼうとしますから成長速度もとても速いのが特徴です。これが「語りかけが知育の原点」などと言われる理由です。
語りかけは会話のきっかけ
子どもを伸ばす語りかけにはいろいろありますが、私が働いていた幼児教室では、子どもへの「語りかけ知育」とは「子どもの成長を目的として子どもと会話をすること」と考えていました。
「語りかけ」という名前ではありますが一方的に語りかけるのは赤ちゃん時代までです。子どもが話せるようになれば、子どもと会話をしながら子どもの発達や興味を促す言葉をかけてあげるのが語りかけです。
語りかけの方法は2種類
語りかけには《言葉かけ》と《問いかけ》という2種類の方法があります。
《言葉かけ》をしても《問いかけ》をしても、子どもはさまざまな言葉を返してくれます。どちらも子どもと会話をするための良いきっかけになります。
語りかけの効果
語りかけは理解の手助け
子どもは感じることには長けていますが、理解することはできません。理解するには言葉で考える必要があるからです。
語りかければ考えられる
語りかけの目的は「子どもの成長」です。子どもを成長させてあげるには「子どもに考えさせること」が必要です。
語りかけは「子どもに自分で考えさせるため」のものです。自分で考えられれば子どもは自分で学べます。当たり前のことも1つずつ丁寧に言葉で説明してあげれば、子どもは一人で考えられるようになります。
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考える力を育む読み聞かせ方
1. 《事実》を語りかける
例えばちょうちょが飛んでいて「あ、見て!」と指をさしても、子どもにはなかなか伝わらないものです。公園に普段はちょうちょがいないからママが「あ、見て!」と言いたくなるのですが、お子さんにとっては普段のちょうちょがいない公園も十分に刺激的ですから、ママが「あ、見て!」と言うほどの何かが何なのか、すぐには判断できません。
ですから、まずはお子さんに目に見えている状況を伝えてあげてください。気持ちのいい風が吹いてきたら「うわー、風が吹いてきたね」と、空に虹がかかっていれば「あっ、虹が出てるよ」と、てんとう虫を見つけたら「ここにてんとう虫がいるね」と、当たり前のことを言葉にしてみてください。
目の前の事実を言葉で説明してあげると、2歳くらいまでのお子さんは言葉を覚えますし、3歳以上のお子さんは日本語の表現を覚えられます。
2. 《感覚》を語りかける
日本語は擬音語や擬態語の多い言葉ですから、感覚をあらわす日本語はたくさんあります。しかし感覚をあらわす日本語というものは子どもにはなかなか高度な言葉です。なぜなら感じることができなければ分からないからです。
「さらさら」と「ざらざら」の違いは、いくら絵本で読み聞かせても、いくら説明しても子どもが理解するのは難しいかもしれません。しかし例えば、砂場で一緒に遊んでいるときには「砂がさらさらしてるね」と、砂が洋服についたままおうちに上がってしまったら「砂で床がざらざらするね」と言ってあげれば、お子さんはすぐに覚えてしまいます。
五感をつかって感じることも、それを言葉で理解することも表現することも、お子さんには大切な訓練であり学びです。
3. 《因果関係》を語りかける
語りかけをするときには原因と理由に気をつけてみてください。公園の花壇にお花が咲いていれば「お花がたくさん咲いていてきれいだね」と、気持ちのいい風が吹けば「風が肌に当たってとても気持ちいいね」と言ってみてください。
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語りかけと「考える力」
語りかけの効果は非常に幅広く、詳細は他のページにゆずります。ここでは語りかけの三大効果をご紹介したいと思います。
抽象的な言葉を覚える
一つひとつ言葉にしてあげると、例えば、上の例では子どもは「風に当たる」ということは「気持ちいい」ことなんだと学べます。
大人はよく使いますが、実は「気持ちいい」という言葉は抽象的ですから、子どもには難しい言葉です。風が吹いても「気持ちいい」し、暑い日に冷たい麦茶を飲んでも「気持ちいい」し、お風呂に入っても「気持ちいい」のですから。
しかし、暮らしの中でママが気持ちよく感じることをすべて言葉にしてあげることで、お子さんは「気持ちいい」がどのような感情なのかを学んでいきます。
このような言語感覚は、日本人として日本でふつうに暮らしていればいつかは身につくものですが、ママやパパが少し意識して語りかけをしてあげると数年待たなくてもお子さんはすぐに身につけることができます。
論理的に考えられるように
「風が吹いたら気持ちがいいな」「上手に焼けたからホットケーキがおいしいね」「◯◯ちゃんと一緒にいるから、ママ、すごく楽しい」
「気持ちがいい」のは「風が吹いた」から。「おいしい」のは「上手に焼けた」から。ふだんから感情や感覚の原因や理由を言うようにすると、お子さんは自然と論理的な思考力を身につけることができます。
語りかけをたくさんしてもらっていたお子さんは語彙が豊富なので、文章を読んだり書いたりすることが上手になるのですが、特に因果関係の語りかけをしてもらっていたお子さんは作文が上手になります。理路整然としていて、しっかりとした文章が書けるようになります。
言葉を覚える
たくさん語りかけをすれば言葉を覚えることは言うまでもありません。英語の勉強と同じく、言葉の習得には大量のインプットが必要です。ふつうの会話に加えて語りかけをしていれば、語りかけをした分だけ語彙も表現も学ぶことができます。
感性が伸びる
子どもはすべてのことに敏感ですから、「気持ちいい」と言う感情を学ぶと「気持ちよくなること」に敏感になります。お風呂に入ったら気持ちいい。裸足であるくと気持ちいい。風で葉っぱが揺れる音を聞くのが気持ちいい。こうして、お子さんは知らず知らずのうちに「感じる心」を磨いていきます。
好奇心が広がる
子どもは言葉を知るとその対象に対して興味をもちます。
例えば壁に「あいうえお表」を貼っているだけではお子さんにとっては壁紙の模様と大差ありませんが、お子さんの名前のひらがなを一文字教えてあげると、お子さんは「あいうえお表」に一気に興味をもちます。
「さらさら」と「ざらざら」を知った子どもは「さらさら」探し「ざらざら」探しを始めることがあります。「これは『さらさら』?」「これは『ざらざら』?」と興味がわくだけでなく、触感そのものに興味をもち「これは『さらさら』じゃなくて何?」と新しい言葉を覚えようとしたりもします。
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