- とよたかずひこ/童心社
【このページの目次】
【絵本の内容】
お砂場で遊んでいる「ももんちゃん」のほっぺに、みんながすりすりします。いぬさんがすりすり、きんぎょさんがすりすり、ねずみさんがすりすり。最後にすりすりしたのはサボテンさん。サボテンさんがすりすりしたら、ももんちゃんが「いたっ」。ももんちゃんは…。
【1~2歳】読み聞かせのヒント
子どもからスキンシップを
お子さんが笑顔の時の自然なスキンシップは意外と難しいものです。さらに難しいのは、お子さんが笑顔の時に、お子さんが『自分から』ママやパパに「抱っこして」と言ってくることです。
お子さんが泣いたり甘えたりする時には「抱っこして」なんて言ってくるかもしれませんが、お子さんが笑顔の時はきっとお子さんは走って遊びに行ってしまうと思います。それが子どものふつうの行動ですから。
幼稚園の年中さんくらいになると、ママやパパに「毎日スキンシップはとっていますか?」と聞いても「ええと、お風呂に入っている時くらいでしょうか…」とおっしゃる方が増えてしまいます。
一緒にお風呂に入ることはいいスキンシップになるのですが、お子さんとのボンディングの質を考えると、やはり直に肌と肌をくっつけることがとても大切です。
この絵本を読めば、お子さんはおそらく自分からママの頬に自分の頬をくっつけて「ママぁ、『すりすり』!『ママ、いいにおい』!」と言ってくれるに違いありません。
乳幼児期のスキンシップは、お子さんの心にも体にも、親子の健全な関係のためにも、とても大切です。肌をくっつける習慣を自然な形でずっと続けるためにも、この絵本や他のスキンシップの絵本は特別おすすめです。
ピンク色の心理学的効果
幼児色彩心理学ではピンク色はやさしい心を育てるとされています。ある幼稚園では、ピンク色の効果で子どもたちにやさしい心を育むため、園内のすべての壁をピンク色に塗り替えたそうです。その結果、子どもたち同士のケンカが半分くらいに減ったと感じると、スタッフがアンケート調査に答えています。
明るさや鮮やかさの違うさまざまなピンク色の壁に、かわいい動物たちが貼られたり、季節の行事のものが飾られていたりするのはきっと穏やかでゆったりとした気持ちになることでしょう。しかし、壁をすべてピンク色にするなんて、家で真似することはまず無理です。
女の子なら日常的にピンク色を目にしているでしょう。おそらく靴箱も洋服棚も半分くらいはピンク色なのではないでしょうか。
一方、男の子はピンク色に親しみにくいものです。かっこいい自動車も戦隊ものもメインは青ですから、男の子がふだん目にするのは青や緑や黒などかもしれません。
ですから、男の子には特に、ふだんの遊びの中で、折り紙にきれいなピンク色を使ったり、お絵かきをする時にピンク色の紙に絵を描かせたりしてほしいなと思います。しかし、ママさんにこのようにお勧めすると、「ピンクは子どもが嫌がるんです」となかなか簡単ではないようです。
では、この絵本はいかがでしょうか。この絵本は男の子でも大好きな子が多い絵本です。
実際に「男の子でも1冊はピンク色の絵本を持っていた方がいいですよ」と毎年すべての男の子のママさんにおすすめしていました。そのときに「例えば…」と挙げていたのが、この『すりすり ももんちゃん』です。
もし絵本を買うのであれば、1歳から2歳くらいがおすすめです。2歳までなら、男の子でもより抵抗なくピンク色に親しむことができます。
初めて買うならこの絵本!
この絵本はとても読みやすいので、絵本を読み慣れていないママ&パパにも特におすすめです。初めて絵本を買う時におすすめしたい特別な一冊です。
『ももんちゃん』シリーズは、題材が日常の一場面で、添えられている文が非常に読みやすいのが特徴です。独特のリズムがあり、文字を追って読んでいるだけで、感情を乗せることができます。ママやパパが抑揚をつけて絵本を読んであげると、お子さんはより喜ぶと思います。
【3~4歳】語りかけのヒント
なぜ、みんながももんちゃんに「すりすり」するの?
他の動物たちはどうして、ももんちゃんにすりすりするのでしょうか。「みんな、どうしてももんちゃんにすりすりするのかな?」と聞いてみてください。
お子さんが答えに迷うようだったら、「◯◯ちゃんはどうしてママにすりすりしてくれるの?」と聞いてみてください。「ママが大好きだから」とか「ママがいいにおいだから」なんて答えが返ってくるかもしれません。
答えを返してくれても返してくれなくても、ママの言葉で改めて「ももんちゃんのことが、みんな大好きなんだね」と言ってあげてください。ママが言うことでお子さんの心の奥深くに届きます。
なぜ、ももんちゃんはみんなに好かれているの?
みんながももんちゃんのことを大好きだということを、ママとお子さんで確認したら、次は「なぜ、ももんちゃんがみんなに好かれているのか」を話題にしてみませんか。
これは絵本には描かれていない部分ですから、お子さんの想像力で話が広がるでしょうし、お子さんに教えたいことがあれば教えることができます。
例えば、お子さんがお友だちをたたいてしまったとしましょう。「みんな、ももんちゃんのことが大好きなんだね。どうして、みんなはももんちゃんのことが大好きなんだろう。ももんちゃんはきっと優しいんだろうね。お友だちのこともたたいたりしないんだろうな。ゆうくんも、お友だちのことをたたいたりしないで、お友だちに優しくしようね」と誘導してみてください。
発育が早くも遅くもなければ、お子さんが4歳くらいまでなら、おそらくお子さんは素直に「うん」と受け入れてくれると思います。そして、こうして絵本から学んだルールには自発的に従おうとしてくれます。お友だちを叩いたその場で「叩いちゃダメよ」と言うより何倍も効果的です。
お子さんが4歳半を過ぎると「いやだ!ゆうくんは優しくしないもん。優しいの嫌いだもん」などと言うかもしれません。それで構いません。お子さんの言葉を受け入れてください。「そうなの。ゆうくんは優しいの嫌なんだ」とお子さんの言葉をそのままくり返して、「ママが意見を受け入れた」ことをお子さんに伝えてあげてください。
もし余裕があれば「ママは優しいのが好きだけどな」と少し悲しそうに付け加えれば、お子さんの心に残ります。できれば毎日絵本を読み、毎日このやりとりをくり返します。
反抗期であっても、お子さんはママのことが大好きですし、ママに自分を好きでいてほしいと願っているものなので、いつかお友だちを叩かなくなります。それどころか、ある日突然、他の子を叩いているお友だちに「叩いちゃダメ!」などと言うようになったりします。
絵本の読み聞かせ&語りかけの効果がすぐに現れるとは限りません。お子さんの成長や体験や性格などによって、時間がかかったり手間がかかったりします。しかし、時間と手間がかかればかかるほど心の奥深くに根付いてくれますので、デメリットばかりではありません。お子さんの心の成長を信じて、今日も絵本を読んであげませんか。
この記事がお子さんへの読み聞かせに役立てれば嬉しく思います。
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