子どもはなぜ同じ絵本を何度も何度もくり返し読んでもらいたがるのでしょうか。子どもの気持ちが分かれば毎日の読み聞かせの助けになるかもしれません。
同じ絵本を読みたがる理由
私が働いていた幼児教室では精読の時間に語りかけを行なっていました。自分の意見を伝えることに慣れた子どもはとても饒舌にいろいろなことを教えてくれます。「なぜ同じ絵本ばかりを読みたいと思うのか」を教えてくれた子がいましたので、ここでご紹介したいと思います。
例1.『わたしのワンピース』
4歳のある女の子は『わたしのワンピース』という絵本を毎日毎日「読んで」と持ってきていました。
この絵本は30年ものロングセラー絵本で、うさぎさん手作りのワンピースの模様が、うさぎさんが歩いてゆくお花畑や空の模様に次々に変わっていくというファンタジー絵本の代表格です。
その子は、模様が次々に変わるうさぎさんのワンピースを、自分の大好きなピンク色の水玉模様にしてあげたくて、何度も絵本を読んだそうです。もちろん絵本を何度読んでもうさぎさんのワンピースはピンク色の水玉模様にならないのですが、次の日には「もしかしたら…」と思い、また絵本を読んでもらいたくなったのだそうです。
例2.『あーんあん』
5歳の男の子は『あーんあん』という絵本が大好きで、先生全員の膝の上でこの作品を読み聞かせてもらったという先生コンプリートの記録保持者でした。
この作品は幼稚園で男の子が泣き出してしまうのですが、泣きすぎて涙が海になり、先生もお友だちも魚になってしまい、最後にはお母さんが幼稚園に意外な方法で迎えに来てくれるというお話しです。
その男の子はみんなが魚になるのがどうしても怖くて「次に読んでもらったら、みんな、魚にならずにすむかもしれない」との願いをこめて、何度も読み聞かせてもらっていたんだと答えてくれました。その絵本が好きだったと言うよりも、その絵本の物語が怖くて読まずにはいられなかったと言う方がその子の気持ちに近かったようです。
▼ 『あーんあん』
まとめ
子どもは感性がゆたかなですから、子どもにとって一度読んだ絵本は「ストーリーを知っている絵本」ではなく、読むたびに「違う物語を体験できるかもしれない」と期待してしまう宝箱のようです。
大人には想像しがたい気持ちですが、このような子どもの気持ちを知っていると、同じ絵本を何度も読んでもらいたいと願う子どもに「その絵本はもう知っているでしょ」と言うこともなくなるのではないでしょうか。
お子さんが何度も何度もくり返し読んでほしがるほど気に入っている絵本は、ぜひ何度も読んであげてください。そして機会があれば「どうして、その絵本をそんなに何度も読みたいの?」とお子さんに聞いてみてください。ママやパパがハッとする意外な答えが返ってくるかもしれません。
絵本の精読に興味のある方へ
絵本の精読をする時には、お子さんがその日に体験したことやお子さんの絵本への反応などに応じて精読のいろいろな手法を使い分けると、お子さんが退屈しにくくなるのでオススメです。
- 精読の始め方:『論理的思考力を鍛える絵本の読み聞かせの始め方!絵本を読んで子どもに言葉をかけよう』
- 精読のやり方:『論理的思考力を鍛えられる絵本の読み聞かせって?絵本を読んで子どもと話したいことの探し方』
- 体感型精読法:『心も知能も伸ばす読み聞かせ!絵本を読んだら絵本の世界を体感しよう』
体験談募集中
このようなエピソードは非常に含蓄があり、後輩ママ&パパに大きな助けとなることでしょう。もしお子さんの気持ちを聞く機会があれば是非こちらで紹介させてください。ご連絡はコメント欄でも『お問い合わせ』でも結構です。折り返しご連絡をさせていただきます。
ブログをされている方へ:こちらでの掲載許可をいただけましたら、該当ページとブログのトップページを画像キャプチャ付きでご紹介させていただきます。
▼ 関連記事
コメントを残す