こちらは「年間何冊の絵本を読み聞かせるか」のページです。「1日に何冊を読み聞かせるか」については下の記事をどうぞ。
【このページの目次】
絵本は何冊読むべき?
幼児教室では毎年多くの方がこのような質問をされていました。
英語の勉強でも似た質問をいただきます。「精読と多読ではどちらが大切ですか?」と。答えは両方です。絵本でも英語でも、精読と多読ではその目的が違うからです。
「年に3冊」の幼児教室
ある幼児教室は「年に3冊の絵本だけを暗唱できるまで読むこと」を指導されます。他の絵本に触れない方が早く暗唱できるからという理由で「年に3冊」なのだとか。
「年に300冊」の幼児教室
ある幼児教室は「年に300冊の絵本の読み聞かせ」を指導されます。1年365日で300冊の絵本を読むためにはほぼ毎日新しい絵本を読み聞かせなければいけません。その幼児教室では10冊以上の絵本の読み聞かせが毎日の自宅課題だそうです。
「年に100冊」がおすすめ
私がおすすめするのは「年に100冊」です。0歳児から6年間「年100冊」の絵本を読めば「小学校入学までに600冊」読めます。理由は私が働いていた幼児教室では多方面で最もよい成果が見られたのが「600冊」だったからです。参考記事『小学校入学までに600冊の絵本を読み聞かせたい3つの理由が子どもの可能性を伸ばす』
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広く深くのT字型読み聞かせ
乳幼児の絵本の読み聞かせは「広く深く」がおすすめです。絵本選びも語りかけも、できるだけ「広く深く」読み聞かせT字型の読書経験をさせてあげましょう。
「広い」読み聞かせとは
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たくさんの絵本を読む
「広い」読み聞かせとは平たく言えば多読です。某幼児教室のように「年に300冊」とは読まずとも、絵本の多読をしてみようと思ったらこちらの絵本から読み聞かせることをオススメします。『乳幼児期にぜひ読んでおきたい絵本』をまとめたリストです。
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偏りのない「絵」と「文」を選ぶ
絵本は絵と文の芸術作品ですから、できるだけ種類の異なる「絵」と「文」の絵本を選んであげましょう。
▼ 乳幼児向け絵本を「絵」で選ぶ選び方
▼ 乳幼児向け絵本を「文」で選ぶ選び方
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偏りのない「題材」を選ぶ
絵本の題材は実にさまざまです。下は一例ですが、子ども向け絵本と侮ることは決してできません。
- 思いやりの心や友情を描く心を育む絵本
- 行事の由来や伝統を学べる行事の絵本
- 植物や動物や人体など自然科学の絵本
- 地球科学や宇宙科学の絵本
- 生と死を描いた哲学の絵本
- 神さまを題材にした宗教の絵本
幅広い絵本経験をさせてあげるため、より多くのより偏りのない絵本を選んであげましょう。
「深い」読み聞かせとは
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同じ絵本を何度も読む
新しい絵本をたくさん読み聞かせるだけでは子どもの心の成長へのアプローチが不足しています。乳幼児期には同じ絵本をくり返し読むことはとても大切です。
《心をゆたかに育むために》
親子の絆をつよめ、心をゆたかに育んでくれます。
▼ なぜ子どもは同じ絵本を読みたいのか
《知能を高めるために》
絵本と知育を関連づけると気分を害する方が時々いらっしゃいます。確かに絵本というのは「楽しく」なければ意味がありませんが、子どもの「楽しく読む」というのは大人の「娯楽の読書」とは異なります。
0歳から5歳までの乳幼児にとって絵本は、語彙を増やせる場であり、さまざまな知識と経験を得られる機会です。子どもの感性を邪魔しない程度に、絵本に出てきた言葉や知識を少し補足してあげると、子どもはすぐに学びとり成長の糧にします。
(注)教えようとしないこと
読み聞かせの時に言葉や知識を教えはじめると子どもがすいすいと覚えていくことが楽しくて「もっと!もっと!」と欲が出てしまいます。気づけば、絵本を楽しむという本来の目的から離れてしまっていたというケースも少なくありません。絵本は楽しむ配慮を怠らずに読み聞かせましょう。
▼ 子どもを絵本嫌いにしては意味がない
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絵本を「深く」読む
「深い」読み聞かせとは平たく言えば精読です。絵本の精読をする時はお子さんの絵本への反応に応じていろいろな精読手法を使い分けると、お子さんが退屈しにくくオススメです。
▼ オススメの精読
精読の始め方:『論理的思考力を鍛える絵本の読み聞かせの始め方!絵本を読んで子どもに言葉をかけよう』
精読のやり方:『論理的思考力を鍛えられる絵本の読み聞かせって?絵本を読んで子どもと話したいことの探し方』
体感型精読法:『心も知能も伸ばす読み聞かせ!絵本を読んだら絵本の世界を体感しよう』
▼ 互いに言葉に敬意を払える親子の関係
絵本以外の大切な知育を
絵本は総合的かつ複合的な能力を鍛えることができるので最高の知育と言われますが、それでも絵本の読み聞かせ「だけ」というのはやはりバランスが悪いものです。
余裕のある読み聞かせを
「年に100冊」であれば週に2冊の読み聞かせで十分です。毎日の読み聞かせは基本的に「1日3冊」をオススメしていますから、きっと余裕をもって読み聞かせを進めていけるでしょう。
●参考記事:『1日に何冊読む?毎日「1日3冊」月一回「1日10冊」の絵本のすすめ』
余力で絵本以外の知育を
絵本の読み聞かせ「だけ」を頑張るのではなく、絵本の読み聞かせは「年100冊」程度にとどめ他の知育環境も与えてあげましょう。
他の知育とは
幼児教育では「五育」のバランスが大切だと言われています。「五育」とは教育の基礎と言われる5分野の総称で、「知育」「体育」「徳育」「美育」「語育」を指します。
「五育」とは
- 知育:知能を鍛える教育。いわゆる「頭の良さ」(知育には広義の「知性教育」と狭義の「知能教育」があります。「知性教育」は五育すべてを含みます。ここでは狭義の知育の意)
- 体育:体を鍛える教育。いわゆる「体の丈夫さ」や「運動神経」
- 徳育:心を鍛える教育。いわゆる「道徳や倫理観」や「性格の良さ」
- 美育:感性を鍛える教育。いわゆる「美的センス」
- 語育:主に英語力を鍛える教育。いわゆる「語学センス」(英育とも呼ばれます)
絵本の読み聞かせは、およそ「体育」以外のすべての知育面を同時に、また複合的に育むことができるために「万能知育」と呼ばれ、家庭での知育に取り入れるにはまずおすすめしたい知育法です。
例えばモンテッソーリの知育
例えばディズニーの英語教育
例えば七田式の英語早期教育
まとめ
残念なことに絵本の読み聞かせの効果は、たとえば運動や楽器の練習の成果ほど目立つものではありません。しかし手間を惜しまずに読み聞かせを続ければ、きっとお子さんの大きな財産になることでしょう。家族みんなが絵本の読み聞かせの時間が大好きで、子どもは読み聞かせをしてもらえることが楽しくて、ママとパパは子どもに絵本を読んであげることが楽しいと、そんなふうに思えたら子どもはきっと読書好きに育つに違いありません。
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ご質問をいただきました
【2017年9月26日追記】
この記事に関しまして、読み聞かせる絵本の数え方について幾つかのご質問をいただきましたので、この場を借りて回答させていただきたいと思います。
その日に読み聞かせた絵本の冊数を記録することは、お子さんのよい思い出のためにも、読み聞かせを続けるためのママやパパのやる気のためにも、とてもよろしいことだと思います。読み聞かせた絵本の数え方につきましては、次の方法をおすすめいたします。
- 同じ日に同じ絵本を何度読んでも「1冊」と数える。
- 同じ絵本でも違う日に読めば、その都度「1冊」と数える。
この方法で数えますので、こちらでご紹介しております「年に100冊」「小学校入学までに600冊」という目安は『(過去に何度も読んだ絵本は数えずに)新しい絵本を』年に100冊であり、小学校入学までに600冊読みましょうということを意味しております。
その日に読み聞かせた絵本の冊数のほかにも、新しい絵本のみの冊数も記録に残してはいかがでしょうか。絵本を初めて読んだ時のお子さんの反応ですとか、くり返し読んでいるうちに気がついたお子さんの成長のようすですとか、簡単なメモも添えておきますとお子さんのよい成長の記録になります。
この記事がお子さんとの楽しい読み聞かせに役立てば嬉しく思います。
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