【このページの目次】
0~6歳児の絵本の文は7段階
【0歳】おもちゃ絵本
0歳児用の赤ちゃん絵本は「おもちゃとして楽しめる絵本」です。絵のみで文がない赤ちゃん絵本もたくさんあります。
絵本であり、おもちゃでもある赤ちゃん絵本は、丈夫で安全なものが一番です。
大半の赤ちゃん絵本は絵本としての物語性はほとんどなく、身近なものが描かれていて、赤ちゃんが身の回りの名前に親しめるようになっています。
文が書いてあっても書いてなくても、ページをめくったら、描かれているものの名前やオノマトペ(擬音語や擬態語)を教えてあげてください。
お子さんは「ページをめくるとママやパパが新しいことを言ってくれる」ことを学びます。絵本というものへの興味の芽生えです。
【0~1歳】絵と色と音の絵本
1歳前後になると、いよいよ本格的な絵本デビューです。この時期の乳幼児用絵本は「絵と色と日本語の音を楽しむ絵本」です。
「絵と色と日本語の音を楽しむ絵本」は、文字どおり、絵の形や色と日本語の音の組み合わせや変化や連続性を楽しむ絵本です。
絵本としての物語性はほとんどありませんが、「起承転結」や「序破急」などの展開が見られ、絵本としての「オチ」が楽しいものもあります。
文はオノマトペ(擬態語や擬音語など)が中心で、名詞や形容詞など基本的な単語が1~2つ、多くても3つ、並ぶ程度です。
お子さんに色あざやかで生き生きとした絵とともに、日本語のオノマトペの美しさや楽しさを味わわせてあげてください。
【1~2歳】同じ言葉のくり返しを楽しむ絵本
1歳児から2歳児を対象にした絵本の多くは「同じ言葉のくり返しを楽しむ絵本」です。今までの絵本は単調な言葉ばかりでしたが、同じ言葉がくり返されながらも絵本の内容は変化して、展開してゆきます。
1歳児から2歳児が対象の「同じ言葉のくり返しを楽しむ絵本」では、文は「ママ」や「ウサギさん」など登場人物のセリフとして書かれているものが多いです。すべてが同じ人物のセリフなのでたいてい「」記号はついていません。
特徴は「同じ言葉がくり返される」こと。言葉がくり返され、展開がくり返され、物語がつむがれます。一文はまだまだ2~3語と短いのですが、述語がつくことで単なる単語の羅列ではなく、ちゃんとした日本語の「文」になっています。
お子さんは一つずつ言葉を覚えています。新しい言葉を覚えるには、その言葉との出会いの《質》と《量》が大切です。素敵な絵本をたくさんよんであげてください。
【2~3歳】生活習慣やしつけの絵本
2歳児から3歳児が対象の絵本には、題材が「あいさつ」や「トイレトレーニング」など生活習慣やマナーやルールを学べるものが多くなります。幼稚園への入園する心の準備が、絵本を使ってもできるというわけです。
2歳児から3歳児が対象の絵本は、まだまだ登場人物のセリフが中心ですが、セリフに状況や気持ちを説明した文がつくこともあります。
絵本の内容にも物語性が出てきます。1~2歳対象の絵本の文に比べると、主語が省略されていないことに気付かれるかもしれません。主語に加え、形容詞や副詞がつくことで文章が少し長くなってきます。
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【3~4歳】ストーリーのくり返しを楽しむ絵本
3歳児くらいを対象にした絵本から、ぐっと、物語としての面白みが増します。絵本の中で、同じできごとや同じやりとりがくり返されながら、物語が進みます。
これはだんだんと長くなる絵本に合わせて、子どもの集中力も長く続くようにと、子どもの集中力を自然と鍛えることができるよう工夫されたものでもあります。
題材も、例えば「おつかい」や「おりょうり」など、日常的ではありながら、子どもにとってはあまり馴染みのないものが増えます。絵本を読み聞かせてもらえば、自然と好奇心が広がり、たくさんの新しい挑戦をしたくなるような絵本ばかりです。
絵本の文はセリフと説明が半分ずつくらいでしょうか。乳幼児では退屈してしまう説明文がこんなに増えました。読む力、聞いて理解する力がついてきた証拠です。
また文には複文や接続詞が入ってくることで、一文がどんどんと長くなります。たくさんの絵本を読むことで、お子さんが理解する文は、短い文から長い文へと少しずつ長さを変えます。少しずつ長くなる文を聞いて理解することで、お子さんは無意識のうちに日本語の基本的な文法構造を学んでいます。これからの「日本語力」「国語力」の基礎になる力を育んでいます。
【4~5歳】想像を楽しむ絵本
4歳くらいになると絵本の内容にくり返しがなくても、長い物語を好奇心を持ったまま集中して楽しめるようになります。
4歳児から5歳児が対象の絵本は、絵本の内容にも表現にも深みが出てきて、大人が読んでも楽しめる物語が多くなります。想像することで、描かれてない物語をたくさん楽しむことができます。
題材も日常的なものから、子どもたちがふだんの生活では親しむ機会が少ないものまで幅広くなります。そのため、絵本の世界を味わうために想像力が必要になります。
また、題材が親しみのあるものではないため、文もセリフよりも説明する文が多くなってゆきます。「知らないことについての説明を聞いて理解する」という学習の基本を経験することになります。
一冊一冊が長くなりますので、お子さんは集中力が必要になります。小さいときに読み聞かせをしないまま、4歳や5歳でほぼ初めて読み聞かせをするという場合は、「絵本に『4歳から5歳が対象』だと書いてあったから」という理由で絵本を選ぶとお子さんは集中力を切らしてしまうかもしれません。内容的には少々簡単すぎても一つ前の「ストーリーのくり返しを楽しむ絵本」も読んでみてはいかがでしょうか。
一冊一冊が長くなると、ママやパパは読み聞かせをするのに少し疲れるようになるかもしれません。そんなときは読み聞かせをしながら語りかけもする方法もおすすめです。小さいながらお子さんの一人前の考え方に触れられるかもしれません。
絵本を一人で読むことができるようになるのも、4歳から5歳のこの頃です。お子さんが絵本を一人で読めるようになっても、どうぞ、読み聞かせは続けてあげてください。一人で読む絵本と読んで聞かせてもらう絵本では、お子さんへの役割はまったく違います。お子さんにはどちらも必要な遊びであり訓練です。
【5~6歳】小学校で学ぶ準備ができる絵本
小学校に上がる前にお子さんと一緒に楽しんでおきたい絵本がいくつかあります。
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モノクロの絵本
まずは、絵に色のない白黒の絵本です。絵から色が抜けると、子どもは色を想像します。色を想像し、動きを想像し、気持ちを想像し、物語の外を想像するようになります。白黒の絵本は挿絵のない本への入り口です。
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漢字が使われている絵本
また、漢字が使われている絵本も読んであげましょう。字に興味のあるお子さんであれば、絵本の字を真似て自分で書きたがるかもしれません。漢字探しをするのも楽しめます。絵本が楽しければ自分で覚えたがるものですので、無理に教えようとはしないでくださいね。
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出版年が古い絵本
さらに絵本が好きなお子さんであれば、出版年の古い絵本にも挑戦してみてください。昭和の時代の子どもの暮らしや日本の昔話や翻訳絵本のロングセラーなど、お子さんには新しいタイプの絵本に違いありません。
20年前から40年前に出版された絵本の文は、少し古めかしい日本語で書かれていることが少なくありません。今の話し言葉とは少し違う昔の日本語は、お子さんにとってもママ&パパにとっても少し慣れないものですが、親子で楽しむことができればお子さんの大きな財産になります。
少し古い日本語を楽しく読んだ経験は、後に金子みすゞや宮沢賢治など文語調の詩や童話に親しみやすくなりますし、夏目漱石や太宰治など明治の文豪たちの作品へも入りやすくなります。さらに極論を怖れずに言えば将来の古文や漢文の授業への興味と挑戦の第一歩とも言えます。
3年生までは読み聞かせを
お子さんはもう一人で絵本を読めるますが、お子さんが「読んでちょうだい」と言うかぎり、親子の読み聞かせはずっと続けられてください。
ある程度大きくなるまで読み聞かせをしてもらった子どもはまとまった文章の読解力が高い傾向にあります。小学校低学年まではお子さんが嫌がらない限り読み聞かせを続けたいものです。
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この記事が、楽しい読み聞かせの時間をすごすヒントになれば嬉しく思います。
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