ビリギャルが読んだ『日本の歴史』は小学館でした。漫画で慶応合格できる小学館のけれの強みとデメリット。ビリギャルと同じ漫画を買ったのに成績が上がらなかった失敗例。
【このページの目次】
『ビリギャル』とは
『ビリギャル』とは偏差値30の学年ビリから慶應大学現役合格を勝ち取った実話。単行本の大ヒット後、有村架純主演で映画化されています。
マンガで慶応に現役合格
小学館を読み込めばセンター試験で70〜80点は取れます。実際に『ビリギャル』の主人公落ちこぼれ女子高生も小学館を読み込むことで大逆転でしています。
単行本には勉強テク満載
ビリギャルちゃんを指導したのは有名進学塾講師坪田信貴先生ですが、本の中には「歴史はマンガで勉強する」以外にも坪田先生の受験必勝テクが満載です。ただし、本の発行が2013年であるため歴史漫画についての情報は「集英社の『日本の歴史』は使えない」など大改訂以前の古い情報も含まれるので注意が必要です。(2015年のものは文庫特別版)
ビリギャル効果で人気&売上No1
小学館の『日本の歴史』は受験業界を席巻した『ビリギャル』をきっかけに再注目され知名度はNo1。知名度の上昇に伴って人気も再燃しており、累計2002万部を突破しています。
小学館は正直、最強!
マンガだけで受験できる
監修は学習院大学児玉幸多教授
小学館の『日本の歴史』は「日本近世史の泰斗」などと呼ばれた国史学の権威学習院大学名誉教授故児玉幸多氏によって監修されています。こちらは小学館『日本の歴史』に寄せられた児玉先生のメッセージです。
ちなみに、2018年に追加出版された『平成の30年』の監修は東進ハイスクール講師であり歴史コメンテーターである金谷俊一郎です。
マンガだけでセンター試験7割
小学館の『日本の歴史』は「マンガを読んでいればセンター試験は7割取れる」と言われるほどです。まぁ、センター試験は廃止されますが。
実際に小学館が毎年検証しています。
高校教科書レベルの情報量
小学館の『日本の歴史』の情報量は高校の教科書レベルです。
どの巻のどの時代でも、特に難関大学入試で狙われやすい人物関連図や地図、重要語句などが丁寧に説明されています。
歴史の便覧資料にも強い
小学館なら資料問題にも十分に対応できます。日本史便覧で国宝などの写真の羅列を眺めていてもなかなか記憶には残りませんが、小学館の『日本の歴史』なら入試に頻出の重要文化財も生き生きと蘇ります。例えば、国宝である東大寺南大門の金剛力士像は入試頻出ですが、
小学館の『日本の歴史』では金剛力士像を作っている最中の一コマが挿入されてあり、よくある写真画像を見て確認するだけよりもずっと記憶に残りますし、歴史資料がより身近に感じられます。
小学館の『日本の歴史』を選ぶご家庭は、長期休暇に史跡や国宝巡りをする家族旅行をよくされているなと感じていましたが、このような金剛力士像の姿を見てしまうと「本物を見てみたい!」と自然と思ってしまうというものでしょう。
登場人物はキャラクター豊か
小学館の『日本の歴史』は1990年代の漫画の描き方をそのまま踏襲しているので、絵も文も小さなコマに小さくびっしりと詰め込まれています。その小さな絵と字をじっくりと読み込んでみると登場人物一人ひとりが親しみやすいキャラクターに仕上がっています。
例えば、蝦夷討伐の功績で有名な征夷大将軍坂上田村麻呂は武芸の神として親しまれて軍神として信仰の対象にもなっていますが、小学館では子ども好きで心やさしい人柄が描かれています。
“軍神”坂上田村麻呂といえば、一般的にはこちらのようにギロッと睨んで「目で射る」というような強くてイカつい威厳ある人物描写がなされます。
歴史考証も細部までこだわりが
定評がある歴史考証ですが、小学館の『日本の歴史』は国を動かした偉人たちだけでなく市井の人々の着ているものや食べているもの、住んでいる建物や集落周辺の自然の様子まで、それはそれは細部までこだわって描かれています。
小学館は読み込めば蘊蓄を語れるマニアの域に達しますから、大人になれば時代劇ドラマや大河ドラマにダメ出しができるようになるほどです。
近現代史が弱いという口コミ
「小学館の『日本の歴史』は近現代史が弱い」という口コミがあります。2018年に「平成の30年」を追加発行したので、近現代史は第19巻から第24巻の6巻分です。確かに他社に比べれば若干少なめです。
中学受験のために『日本の歴史』を買う場合、4社のうちどこを選んでも近現代史はもう1社買い足すというのがセオリーですから、小学館を選んだ上で角川か集英社の近現代史を買い足したとしても「小学館だから損」ということはありません。(特に中学受験をされる場合、ほとんどのご家庭で4社のうちどこを選んでも角川と集英社の近現代史は持っていらっしゃるようにお見受けします)
小学館のデメリット
全24冊 参考価格21,500円
小学館は4大日本の歴史まんが(小学館, 角川, 集英社, 学研)の中でもっとも巻数が多く、もっとも高額です。
本棚に並べた時の圧迫感は大きい
その金額分の価値はある内容ではありますが、本棚に収めた時の圧迫感はかなりあります。
「絵も作風も古臭い」という口コミ
子どもが読みにくいと感じる原因に作風が古いという点も挙げられます。1ページの中で分けられたコマ数も文字数も多く、そして文字は小さい。
買っても読めない
小学館が1998年の大改訂(『日本の歴史』発行は1981年)以来ほぼ手を加えていないほど緻密に作り込まれたこの歴史マンガを、今の学生が「楽しめるか」というと非常に難しいのが現実です。勉強のために読むという姿勢がひつようになるかもしれません。
高校教科書並みに退屈な内容
小学館の『日本の歴史まんが』は高校の教科書並みの情報量で、マンガだけでセンター試験で7割は取れます。
しかし、言葉を返せば小学館の『日本の歴史まんが』は高校教科書並みに難しい言葉が並んでいるということでもあります。情報量も高校教科書並みなら、マンガとしての娯楽性も(特に小中学生にとっては)高校教科書並みと言えるかもしれません。
挫折率が高い
小学館の『日本の歴史』は挫折する子が多いという点でも有名です。『ビリギャル』主人公のように本気で勉強する覚悟のある学生が「教科書よりは読みやすいから」という理由で真剣に取り組むのでなければ、なかなか読み進められないマンガかもしれません。稀に「この古臭い絵が好き」「この字がつまっている感じが好き」という人もいますが。
小学館を買って失敗した例
失敗例「読みきれない」
第一の失敗例は、小学館の『日本の歴史』全24巻セットを買っても「読みきれなかった」というものです。『ビリギャル』を読んで、もしくは映画を見て、24巻セットを大人買いしたものの「平安時代の4巻目あたりで読まなくなってしまった」という口コミが少なくありませんでした。
失敗例「繰り返せない」
第二の失敗例は、最後まで読みきることはできても「何度も読む気になれない」というものです。
確かに、小学館の昭和時代の画風は読者を選ぶかもしれません。特に「古い漫画は親がたくさん持っていて読み慣れている」などという場合を除くと、絵もコマも小さく、1コマに当てられた字が多い昔の漫画は読みにくいものがあります。
せっかくの教科書並みの情報も読み込めなければ意味がありません。なんとか、読みにくさに慣れられるくらいに没頭して読めると良いのですが…。
失敗例「マンガに流れる」
次の失敗例も『日本の歴史』の内容に没頭しきれないことが要因になっている事例ですが、「勉強のためにと漫画を遠ざけていたのに『日本の歴史』を読み始めたら、ついつい本棚の漫画に手が伸びてしまった」というものです。
ビリギャルさやかちゃんはもともと塾の先生に勧められて『日本の歴史』を読み始めていますから、漫画とは言え『日本の歴史』は参考書のような認識であった可能性があります。さらに、やる気が停滞した時や成績が上がり切らない時など適切なタイミングで「もっと繰り返し読みなさい」と叱咤激励してくれる指導者の存在は偉大です。
失敗例「勉強法がわからない」
さらに『日本の歴史』もただ漫然と読むだけではいけません。学習項目はすべて重要度が異なります。重要度の高い語句は選択問題でも記述問題でも設問や回答に使われますので、先に勉強すると成績が上がりやすくモチベーションにつながります。
※心理学的最新最高の勉強法
勉強法にはさまざまなものがありますが、最新の心理学的研究で実証された最良の勉強法は「問題集を解く」という方法でした。ただし、問題集の使い方にポイントがありました。問題集を解く時に「答えがわからなくても教科書のどこにどんな字で(太字なのか注釈の小さな字なのかイタリックなのか明朝体なのか等)書かれていたかを思い出す」のがポイントだそうです。
長くなりましたので詳細は別記事にて書かせていただきました。
失敗例「時間がかかる」
最後の失敗例としましては、一般的な参考書や問題集で勉強するよりも「時間がかかる」というものです。「小学館を使った勉強をやってはみたものの思っていたよりも時間がかかって他教科に使う時間を圧迫した」などの口コミがあります。
『日本の歴史』には、教科書に載っていない重要人物たちの感情の機微や市井の人々の暮らしの様子などが詳細に描写されています。教科書では1文で終わってしまう説明に数十ページが割かれていたりもします。
日本史の流れをつかむだけであれば漫画は非常に有効ですが、一度歴史の流れを頭に入れてしまったら時間的な側面からならば参考書や問題集の方が手早く勉強できます。漫画『日本の歴史』のみで日本史を受験しようと思えば、それ相応の勉強時間を確保する覚悟も必要になるかもしれません。
さいごに
覚悟のある人におすすめ
とどのつまり、小学館は内容が最高だから受験に強いけれど、内容が最高だから読みづらいということになるのだと思います。ビリギャルさやかちゃんのように受験にかける覚悟のある学生さんにはおすすめです。
「小学館」は教科書レベル
「小学館」は読めさえすれば内容は高校生に最適です。『ビリギャル』のように切羽つまった高校生がマンガで歴史を学ぶなら小学館しかありません。しかし、小学館を読み込めるかどうかは吟味する必要があります。
読みやすさなら他社の方が
「漫画で楽して勉強しよう」と思っている学生さんには他社の、もう少し読みやすい漫画で日本史の大まかな流れを掴んだら、その後はセオリー通り問題集で演習をしながら知識の肉付けをする方がもしかしたら「楽」かもしれません。
小学館以外の日本史漫画
小学館以外の4大『日本の歴史』(小学館, 角川, 集英社, 学研)をご紹介します。
「集英社」は歴史用語に強い
集英社は重要語句のインプット効果が高いです。まるで、歴史用語が満遍なく覚えられるようにストーリーを組んだかのようで、読む語彙集とも呼べるほどです。
特に、志望校ぎりぎりのラインを推移している場合、集英社の『日本の歴史』が成績アップの起爆剤になることがあります。
「角川」は成績優秀者へ
角川は「東大流」の歴史マンガです。歴史の流れを大きく捉えながら、時代の推移や社会構造の比較などに目を向ける歴史学的観点をゆっくりと育てることができます。
受験に関して言えば、学研はマンガを読んでから成績に反映されるのに時間がかかるので、受験までまだまだ時間のある高校1, 2年生や成績が安定して少し余裕のある受験生や浪人生にはおすすめしたい本でしょうか。
「学研」は歴史が苦手な子に
学研は人物に大きくスポットが当てられたストーリー展開が非常に読みやすく各時代のイメージがつかみやすいので、歴史が苦手な人や歴史に興味のない人におすすめです。
歴史の成績が芳しくない場合、学研を読むと成績がぐんと上がる場合があります。また、歴史が好きになりたい人におすすめできます。
コメントを残す