「古事記が家にあると歴史の成績が落ちない」というジンクスをご存知ですか? 実は「古事記」と「日本書紀」は日本史につまずく最初の壁とも言われています。そんな「古事記」をマンガで読みたい方へ。
【このページの目次】
「古事記」は “お守り”
「古事記」で成績アップ!?
「古事記が家にあると歴史の成績が落ちない」というジンクスは、実際には、古事記を読んだことがあると飛鳥奈良時代で歴史嫌いになることが少ないために、結果として「歴史が好き」だから「成績がいい」のではないかと私は思っています。
古事記と日本書紀が最初の壁
小中学生にとって古事記と日本書紀は日本史で最初につまずく壁であるとも言えます。歴史が苦手だという学生にどの辺りが分からないのかを問うと多くの子が「古事記とか日本書紀とかから分からなくなった」「古事記とか日本書紀とか出てきてから難しくなった」などと答えます。
古事記と日本書紀は小中学生にとっては、縄文土器から始まる歴史用語の暗記が始まり、推古天皇や大化の改新くらいまで何とか喰らい付いてきた子が古事記と日本書紀の「き」の漢字で大きくつまずきます。
高校生になるとさらに難解に
高校生になるとさらに知識が付加されて、古事記は太安麻呂が編纂して推古天皇までを、日本書紀は舎人親王らの撰で持統天皇の時代までを扱っている違いや、古事記は日本書紀とは違って勅撰の正史ではないけれど元明天皇に献上されていることなどを学び、「やはり歴史は暗記教科だ」と日本史が苦手になってしまう学生が多くなります。
日本人としての教養
学者の方の中には「古事記や日本書記は日本人としての最低限の教養であるから全ての子供たちに読んでもらいたい」とおっしゃる方もいらっしゃいます。確かに、その土地のルーツとなる神話の類は人間の深層心理に深く関わっているという研究結果もあり臨床心理学のある分野では重要だとされていますし、国際化社会ではアイデンティティの一つとして重要視される場合もあります。
おすすめ『古事記』のマンガ
読みやすい順にご紹介します
小学校低学年からでも読める楽しく平易な本から順にご紹介したいと思います。
学研まんが日本の古典
(Amazon商品紹介)「古事記」をまんが化。話の流れがつかめるまんがと、まんがを補足解説したコラムで、楽しみながら「古事記」の世界を知ることができる。初めて「古事記」を読む人でもすらすらと読めるので、入門に最適。手軽に学習したい中・高生、大人にもお勧め。
『古事記』を漫画にした本は数多くありますが、個人的にはこちらの本がもっとも万人受けしやすい絵なのではないかなと思っています。男性にも女性にもそれほどストレスを感じないのではないでしょうか。
内容はかなり簡潔にまとまっています。全1巻ですから仕方ありませんが、内容の物足りなさは章末の解説で補われています。内容としましては小学校低学年におすすめできるレベルです。「年長の時から楽しく読んでいます」という口コミも。
子どものためのまんがで読む古事記
(Amazon商品紹介)平成24年神道文化賞受賞作品。 わかりやすいと好評の「まんがで読む古事記」を総ルビにしてお子様でも読めるように編集いたしました。 古事記の原典に最も忠実なまんが作品ですので、古事記の内容をしっかりと理解することができます。
こちらの本の元となっている『まんがで読む古事記』は次に詳しくご紹介していますが、青林堂の『まんがで読む古事記』はひたすら古事記に忠実にマンガ化しています。他の本のように、読者の興味を引くために現代の話を挿入したり、古事記編纂のきっかけとなった奈良時代のエピソードを描いたりなどは一切していません。古事記そのものを楽しめる良書です。小学校低学年から読めます。
まんがで読む古事記
(Amazon商品紹介)今、最も読まれている古事記漫画作品です。 どなたでも古事記の物語が理解できるように、古事記に忠実でありながら大変わかりやすく描かれています。平成24年5月、著者の久松文雄氏が、本作品の功績にて神道文化賞を受賞いたしました。
注釈が厳選されていて、あまり古事記に詳しくない人が入門書として読むのに最適な量だと思います。また、こちらの本は絵の描写が非常に細かくて精密なので、すでに古事記マンガ本を持っていらっしゃる方でも楽しめるのではないかと思います。
さらに、解説や神々の系統図がとても分かりやすいのも特徴です。神々の系統図は多くの本に掲載されている情報ですが、こちらの本のように「神様の名前・どんな神様なのか・マンガの絵」の三つが載っているものは多くはありません。その上、神様の系統別に分けられて記載されていて、読みながら辞書がわりにも使えます。
デメリットとしましては、マンガの中で神様の名前の読み仮名が初出箇所にしか記載されていません。漢字の読み方を忘れてしまうと気になってしまう方は、その都度、初出ページに戻り戻り読まなければいけなくなるかもしれません。
講談社 まんが古事記
(Amazon商品紹介)天岩戸開き、ヤマタノオロチ、因幡の白兎、海幸彦と山幸彦など、子供のころに読んだ日本の神話はどれも古事記に載っているもの。古事記というと難しそうなイメージがありますが、実は個性的なキャラクターの神様が様々な愛憎劇や冒険活劇を繰り広げる、愛と涙と勇気の一大ストーリー。そんな古事記を大人も子供も楽しめる作品に仕上げたのがこれ。活字の古事記につまずいた人でもすんなり古事記の世界に入れます。
親しみやすい画風ではありますが、文字が多く小さいので小学生が一人で読むには難しいかもしれません。こちらの本がおすすめできるのは活字の好きな小学校高学年や中学生からで、大人の方が楽しめる内容かもしれません。
マンガ面白いほどよくわかる!
(Amazon商品紹介)話しの流れがわかりにくい『古事記』をほぼ全編マンガで解説! 国の誕生から雄略天皇の即位まで、古事記の流れと要点がよくわかります。章ごとに関連マップや「古事記の謎」をひも解く解説ページもあり、流れを理解しつつ、それぞれの物語のつながりまで深堀できる内容です。大人も大満足な教養マンガです。
神々の誕生から古代天皇の伝説まで歴史がつながる33の物語が収録されています。
解説部分は文字ばかりなので大人向けと言えますが、中高生以上なら読めると思います。「古事記」が初めてという方向けの分かりやすい入門本です。
マンガ古典文学シリーズ
この本は里中満智子氏の漫画です。こちらの「マンガ古典文学シリーズ」は小学館が日本古典文学の名作をベテラン漫画家によって原典に沿ってビジュアル化したもので、シリーズの第1弾として『古事記』を里中満智子氏が2巻立てで漫画化した作品です。
里中氏のかぐわしく鮮やかな世界で古事記が楽しめますが、2巻立てで漫画化するという制約のせいで展開が非常に早いため読んでいて窮屈な印象を受けますが、世界観と絵の美しさならこの本で決まりです。
中央文庫 マンガ日本の古典
(Amazon内容BOOKデータベース)イザナキ・イザナミの国生み、天の石屋戸、スサノヲの大蛇退治、因幡の素兎、大国主の国譲り、海幸彦と山幸彦―。昔話としてなじみの深い神話、寓話がちりばめられた日本最古の書物がビジュアルに蘇る。平成九年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞受賞。
古事記マンガには珍しく、太安麻呂や稗田阿礼に加えて天武天皇や元明天皇まで登場し、古事記編纂の始まりとも言えるエピソードから始まっています。最初の見開き2ページのセリフをすべて覚えるだけで、大学受験の奈良時代後期の少々分かりにくい受験用語をすっきり記憶できるほどです。
また、こちらの本は注釈が非常に丁寧で、「桃の木でなければ理由」や「櫛がよく登場する理由」などの雑学的な注釈も多く、読んでいて非常に楽しめます。ただし、このような雑学的知識は大学受験の得点源にはならないであろうと思われます。
石ノ森章太郎氏の漫画ですから字も小さめですし、現代の子供にとっては古臭い漫画かもしれません。各社が出している漫画『日本の歴史』の中で「小学館が好き」という方にはおすすめできます。里中満智子氏の漫画が女性向きなら石ノ森章太郎氏のこちらは男性向きと言えましょう。しかしながら、男性読者からは「老眼にはつらい」という口コミも。
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