読めば歴史の勉強が好きになる! 小学生におすすめできる日本の歴史を学べる漫画10冊のご紹介。小学1年生から読めるものから通史漫画『日本の歴史』大手4社(角川, 集英社, 小学館, 学研)の違いまで。小学生のあいだに読ませてあげたい10冊です。
【このページの目次】
歴史というものを知るために
『スタディスタジアム』
この本は、主人公の少年がパズルを集めるという冒険物語です。各章末には「もっとくわしく」という解説と練習問題がついています。
この本の強みとおすすめ度
メリット
この本は、後ほどご紹介いたします『歴史漫画タイムワープ』と同じく、架空の主人公が冒険するタイプの歴史漫画です。キャラクターものではないけれど、キャラクターの立った主人公がいることで読みやすくなっています。
こちらの『スタディスタジアム』は「おばあさんが川で洗濯をしていると空から桃(の形をした何か)が落ちてきて、中から少年が登場する」という、なんともインパクトの強い始まり方をしています。
現在の小学生向け歴史漫画の中では学習性と娯楽性のバランスがもっとも良く、子どもにはもっとも娯楽漫画のような感覚で読める本ではないかと私は感じています。そのためか、「他の歴史漫画は見向きもしなかったのに、この本だけは『ジャンプ』と同じくらい夢中になって読んでいる」などといった口コミも多く見受けられます。
また、後ほどご紹介いたします『ドラえもんの社会科おもしろ攻略』の大きなメリットである「全3巻にコンパクトにまとまっている」という特徴も合わせ持っています。小学生に歴史漫画を買い与える場合、中学受験が目前に迫っているという状況でなければ「歴史がなんたるかもわかっていないのに一気に十何巻もそろえるのは心配」という方が多くいらっしゃいます。そのような方に全3巻の『ドラえもん』シリーズは人気だったのですが、『ドラえもん』シリーズは若干難解です。低学年で読むには親のサポートが必要でした。こちらの『スタディスタジアム』は、早いうちから歴史に触れさせてあげたいというご家庭や、キャラクターものの学習漫画を敬遠したいというご家庭に絶大な人気があります。
デメリット
この本のデメリットは『コナン』シリーズに比べると求心力が弱く(漫画としての娯楽性は同程度かもしれませんが)、『ドラえもん』シリーズに比べると学習要素に欠けるところです。
今ではボロボロになってしまったほど貪るように読んだというご家庭でも「最初は『よくわからない』と言って反応が良くなかった」という方も少なくありません。また、各章末に解説と練習問題がついていますが、こちらを活用しているというご家庭はほとんどいらっしゃいません。口コミを見ても「解説や練習問題は飛ばしてマンガ部分しか読んでいませんが、子どもが喜んで読んでいるので買ってよかったです」などという内容です。
まさに、デメリットはメリットの裏返しと言ったところでしょうか。
『日本史探偵コナン』
この本は、過去に飛ばされてしまった現代の子どもたちをコナンたちが助けてくれるというタイムスリップ系の歴史マンガです。どの巻からでも読み始めることができ、小学生の日本史デビューにはぴったりの本です。小学1年生から読めます。
全12冊 参考価格12,700円
この本の強みとおすすめ度
メリット
キャラクター学習本には賛否両論ありますが、子供にとってはやはり「手に取りやすい本」と言えます。この本の強みは、コナンが好きな子であれば小学1年生からでも楽しく読み進められることです。原作が青山剛昌氏ですから『名探偵コナン』の魅力をそのまま引き継いでいます。
各巻のマンガの始まりも原作漫画やアニメによく出てくる「蘭姉ちゃんと小五郎のおっちゃんの毛利探偵事務所」や「少年探偵団がいる小学校」ですからスムーズに読み始められます。
また「どの巻からでも読み始められること」は嬉しいメリットです。歴史を学ぶのだと気負うことなく、たまたま目にした歴史的資料や歴史上の人物について疑問に思ったその時にその時代のマンガを開けます。
低学年のうちから歴史に興味を持ってもらいたいご家庭にはピッタリの1冊です。どの巻からでも読めますし、お子さんが歴史に興味を持つことができたら全巻を読まずとも2~3巻でも十分な役割を果たしてくれます。
デメリット
コナンの絵に関しまして、表紙のみ原作者である青山剛昌氏の手によるものですが、中身は他の方が作画をしていますので大人は違和感を感じます。
内容も原作が青山剛昌氏ですから『名探偵コナン』によくあるトラブルに巻き込まれはするものの、歴史を学ぶ内容にするためにコナンを過去へ連れて行かなくてはいけないという制約がありますから、大人にとってはそれほど展開が面白いわけではありません。お子さんが中高生になれば恐らく楽しめなくなるのではないでしょうか。
コナン漫画の部分は高学年になってからでも読めるようなのですが、歴史漫画としての内容はそれほど深くはありませんから高学年の子には易しすぎます。おすすめは、日本史に初めてふれる低学年から中学年まででしょう。
キャラクター本の強みは子どもの興味をひきやすいことですが、その魅力が逆にデメリットになることもあります。低学年のうちにこちらのようなコナン漫画を読み始めた場合、「しばらく子ども任せにしていたらコナンの原作漫画を読むようになり学習漫画(および勉強そのもの)に見向きもしなくなった」というケースも少なくありません。声かけなどでキャラクターではなく、歴史の方に興味を持たせるような声かけをしたり、お子さんが歴史に興味をもったらすぐに次のレベルの歴史学習本に切り替えたりするなど、ご家庭で何か工夫をされた方がよろしいのかもしれません。
低学年のうちから歴史に興味を持ってもらいたいご家庭にはピッタリの1冊ですが、この1冊では足りません。この日本史探偵コナンシリーズはサクッと卒業して、より本格的な通史マンガに移行されてください。
『歴史漫画タイムワープ』
『日本史探偵コナン』と同じくタイムスリップ物。各時代にタイムワープする3人の小学生がそれぞれの時代独特のトラブルに巻き込まれながら現代に戻る方法を模索するマンガです。旧『歴史漫画サバイバル』よりも学習コラムが充実。
全14冊 参考価格16,800円
この本の強みとおすすめ度
メリット
主人公の小学生3人が歴史の重要人物たちと出会いながらピンチを切り抜けます。マンガを読みながらタイムスリップを疑似体験することで歴史を学べます。低学年の子どもにぴったりのストーリー展開と楽しいギャグが満載で、各巻のストーリーも「中だるみすることなく最後まで読み通せる」との口コミ多数。
こちらの『タイムワープ』シリーズは、先ほどのコナンシリーズやはじめての日本の歴史シリーズよりも解説が充実していますので、漫画と教科書の橋渡しをしやすいのが特徴です。
デメリット
歴史上の人物よりも主人公である小学生のストーリーが中心に展開されますので、歴史マンガとしての内容はそれほど深くはありません。歴史学習の詳しい解説や注釈は欄外やまとめページに記載されていますが、これをお子さんがすすんで読むかどうかは疑問です。また、セット売りされていますが「縄文時代」と「江戸文化」の2冊が含まれていませんので別途購入する必要があります。14冊で16,800円というのも少々お高めでしょうか。
日本史の流れを掴むために
『はじめての日本の歴史』
タイトルのとおり「初めての」日本の歴史の学習にぴったりです。簡単で読みやすいのに内容はしっかりとしていますから、歴史を先取りする1年生にも、歴史に苦手意識を持ってしまった6年生にもおすすめできます。
全15冊 参考価格12,600円
この本の強みとおすすめ度
メリット
こちらの本の難易度は『日本史探偵コナン』シリーズとほぼ変わりませんが、表紙に見慣れたキャラクターがいる方が万人受けするためにコナンシリーズを先にご紹介しました。特定のアニメキャラクターによる学習漫画を避けたいご家庭にはこちらがおすすめです。
この本のメリットは、歴史に関係のない場面が多いことです。歴史の流れを追ったマンガはどうしても複雑になってしまい、小学生には読みづらくなってしまいがちです。
しかし、このマンガは史実を伝える少々退屈な部分と、歴史とはまったく関係のない楽しい会話やギャグ場面の部分が絶妙に絡められています。
「他の『日本の歴史』はダメだったけれど、この本は最後まで読んでくれた」という口コミ多数。
デメリット
内容は小学歴史レベルですが、情報量は多くはありません。この本で中学受験対策をするのは無理があると思います。中学受験を目指す低学年から中学年のお子さんの先取り入門書にはおすすめです。
『ドラえもんの社会科おもしろ攻略 日本の歴史』
ドラえもんが各時代に行って、のび太と一緒に大活躍するストーリー歴史マンガです。内容はかなり本格的。
全3冊 参考価格2,800円
この本の強みとおすすめ度
メリット
監修は中学受験連勝校である浜学園です。内容は、表紙のドラえもんからイメージするよりも難しいと思いますのでご注意ください。小学1年生は親のサポートが必要になるかもしれません。読書好きのお子さんでしたら2年生くらいから一人で読めます。「この本にハマったのは4年生や5年生」と、低学年からも読めますがこの本にすっかり夢中になるのは中学年以降かもしれません。
内容は非常にしっかりしていて、中学受験対策の最初の1冊におすすめです。この本の強みは全3冊と巻数が少ないことです。これだけの充実した内容がコンパクトにまとめていますので、時代の流れをとらえることができます。マンガ自体が読みやすいので歴史が苦手な中学生のイメージづくりにも使えます。
小学館のドラえもん学習漫画シリーズはAmazonなどの販売サイトでは「試し読み」がないことが多いのですが、小学館の公式サイトから中身を確認することができます。
デメリット
中学受験で有名な浜学園の監修というと、中学受験の参考書のように使えると思われる方もいらっしゃるようですが、この本だけで中学受験をするのは少々難しいかもしれません。この本は歴史の流れをつかみやすい分、成績に直結する歴史用語などの記憶定着率はそれほどよろしくはありません。こちらはあくまでも入門書としておすすめです。
本格的な受験準備のために
『マンガ×くり返しでスイスイ覚えられる日本の歴史人物100』
この本は、教科書に出てくる日本の歴史の重要人物をマンガでわかりやすく紹介してくれています。見開きページにマンガが半分、解説が半分といった具合です。
この本の強みとデメリット
メリット
この本の監修は「百ます計算」「徹底反復シリーズ」で有名な隂山英男氏です。この本の中にも楽しくくり返し学習ができる工夫が凝らされています(読んだ日チェック欄など)。別冊で「隂山式反復ドリル」が付いており、人物や出来事のチェックができるようになっています。
興味の導入あり、解説あり、復習ドリルあり…のこの本は、一般の参考書より敷居が低く、一般の歴史マンガよりも学習要素の強い内容になっています。こちらの本を特におすすめしたいのは少々急ぎ足で歴史の学習を進めなくてはいけないお子さん(急に中学受験をすることに決めた場合など)や、歴史マンガは易しく感じてしまう偏差値の高い低学年のお子さんなど、学習と娯楽のバランスが半々の本をお探しのご家庭です。
デメリット
この本のデメリットは学習面も娯楽面も弱いことです。歴史とは何かを知らない中学年までのお子さんがこの本だけで歴史の流れをつかむことは難しいですし、歴史には興味がなくても「この本を」読みたいと思わせる訴求力はありません。
この本は歴史知識の骨格を作れるように歴史上の人物に焦点が当てられているため、この本だけでは中学受験はおろか、学校の授業にも不十分ですから他の本で補う必要があります(中学受験をしない場合は教科書にプラスしましてこちらの本で補足という形で十分な場合もあるかもしれません)。
『朝日小学生新聞 日本の歴史』
現代の小学生が過去の時代にさかのぼり歴史を体験していくタイムスリップ物。第1巻の旧石器時代から最終巻では明治、大正、昭和、そして平成まで読むことができます。
全7冊 参考価格9,000円
この本の強みとおすすめ度
メリット
この本の特徴は公式に「中学受験に対応」と銘打っていることです。そのため、歴史マンガだけではなく、学習教材としての要素も盛り込んでいて、各章の終わりには「音読シート」「歴史用語書き取りプリント」「確認テスト」がついていて知識の確認ができるようになっています。
字が大きくて、1ページを読むのに時間がかかりません。さくさくとページをめくって読み進めることができますので、途中で飽きずに歴史の流れをつかめます。歴史の流れをつかむという点では先ほどの『ドラえもんの社会科おもしろ攻略日本の歴史(全3巻)』よりも、こちらの朝日小学生新聞のものの方がおすすめです。
漢字にはルビがついていますし、注釈も易しく解説してくれています。小学1年生は親のサポートが必要になるかもしれませんが、「中学受験に対応」している本ながら、読書好きのお子さんでしたら2年生くらいから一人で読めます。
朝日小学生新聞では人気No1で、このマンガが読みたくて朝日小学生新聞を購読しているという人も。また、このマンガはタブレット学習教材「スマイルゼミ」でも配信されていますがスマイルゼミでも非常に人気で、「タブレットで読むだけでは満足できずに子どもにせがまれて全巻購入することになった」などの口コミ多数。
デメリット
「音読シート」「歴史用語書き取りプリント」「確認テスト」など参考書的な雰囲気が強いマンガですので、マンガ作品としてではなく学習マンガとして見せてあげる必要があるかもしれません。
内容は「中学受験に対応」していますので、各時代で学ぶべき重要項目はしっかりと押さえることができますが難関中学受験には簡単すぎます。(難関中学を目指す場合は集英社レベルが必要になります)
『集英社 日本の歴史』
全20冊 参考価格19,500円
集英社の『日本の歴史』は1冊1000円(税抜)です。全巻20冊ですから全巻を買うと20,000円のところ、一括購入であれば税抜き18,000円(税込19,500円)で購入できます。また、集英社は毎年変わる一括購入特典も豪華です。
集英社の『日本の歴史』で一番有名な口コミは「集英社は中学受験に強い」だと思います。
監修は進学塾講師野島博之氏
近現代史が多く全体の40%
巷の口コミでは、集英社が中学受験に強いと言われている一番の理由は近現代史の分量が多いからと認識されているようにも見受けられます。確かに集英社の近現代史比率は4大マンガ(小学館, 集英社, 角川, 学研)の中で一番です。
ご覧のように全20巻のうち近現代史は8巻を占めますから、全体のおよそ40%です。近現代史の巻は上部にが付いている緑色の帯で示されています。
中学受験は近現代史が大切
中学受験で歴史が出題される場合は近現代史が合否を分けると言っても過言ではないほどです。また、一般的に近現代史の成績は歴史の成績、ひいては中学受験の試金石になります。
学校の授業では近現代史の授業は駆け足で終わらせることになってしまうケースが多い上に、中世のような時代としての特色も薄く流れをイメージしにくいためにできる子とできない子の差がつきやすく、近現代史に強くなると合格がぐっと近づきます。
中学受験で中学範囲が出題される
中学受験で歴史の試験がある場合、ほとんどの試験は小学生で学ぶ範囲を大きく逸脱していて、中学生になるための試験なのに中学生が中学校で学ぶべき語句や事象や当然のように出題されます。中学受験の歴史は小学校の授業だけでは足りません。
集英社のレベルは中学歴史以上
集英社の『日本の歴史』は、小学館ほどではないものの小中学生レベルは軽く超えています。集英社の『日本の歴史』の内容が頭に入っていれば、中学受験の歴史は問題ないはずです。
読めばすぐに成績が上がる
集英社の『日本の歴史』を読めば、その「充実している内容」のおかげで比較的すぐに成績に反映されます。マンガを読んだだけで成績が上がりますから子どもは喜び、アッという間に「歴史が好き」「歴史が得意」になっていきます。
成績が上がる理由は重要語句
歴史的偉人の名前から各時代を特徴付ける社会構造まで、歴史の勉強には覚えなくてはいけない重要語句というものが各時代に存在します。そのとても重要な言葉の意味を、集英社の『日本の歴史』には中学受験で必要な重要語句がとても自然にマンガの中に組み込まれ、太字で示されています。
重要語句だけに着目すればまるで日本史の重要語句集をマンガにしたかのようにも感じられるほどで、集英社の『日本の歴史』を一読すれば重要語句の意味はほぼ把握できます。
大学受験とは違い、歴史の勉強を始めたばかりでの中学受験では歴史の流れをいかにつかんでいるかよりも、どれだけ多くの重要語句の意味を正確に知っているかの方がより成績に直結します。集英社のマンガは「読めば歴史の成績が上がる」という小学生の口コミが多いのは容易に首肯できます。
「小学生には難しすぎる」という口コミ
集英社の『日本の歴史』には稀に「書かれている日本語が小学生には難しすぎる」という口コミがあります。これは入試頻出語句を組み込んで物語を展開させたデメリットと言えると思います。歴史用語はふだんの会話では使われませんから、小学生にとっては慣れるまでは非常に読みづらく「読んでも意味がわからない」という感想を持つかもしれません。
確かに集英社の難易度は小学歴史レベルと大幅に超えているのですが、中学受験には必要な内容ですし、いずれも歴史学習の基礎になる大切な歴史用語ですから、慣れるまでは親と一緒に音読してみたり、親が一言添えてあげたり、問題集や用語集を併用したりなどと工夫して、歴史用語に慣れていくことが必要になると思います。
中学受験のために集英社の『日本の歴史』と併用するなら、例えば、このような本があります。
▼ 上下2巻で読みやすいです
(※) 4大漫画『日本の歴史』
4強は「集英社, 小学館, 角川, 学研」
小学生におすすめの日本の歴史の通史マンガはたくさんありますが、大学受験まで使えて全巻揃えてあげたいシリーズといえば、やはり大手4社(角川, 集英社, 小学館, 学研)です。
4大『日本の歴史』のレベル
中学受験をする小学生におすすめするのであれば集英社がおすすめですが(理由は後述)、すでに日本史の基礎知識のあるお子さんやすでに合格レベルに達しているお子さんには集英社ではなく、より難易度の高い『日本の歴史』がおすすめかもしれません。こちらでは4大『マンガ日本の歴史』シリーズの特徴を大まかにご紹介させていただきます。
集英社も含めまして4社ともに大学受験まで使えますから小学生には内容は難しめ。難しい言葉を読みたいと思えるほど歴史が好きであったり、すでに十分な読書力(読解力ではなく普通の本を普通に楽しむ力)が身についていたりするお子さんであれば小学生からでも読めています。
口コミは2016年以降に注目
小学生向けの「日本の歴史まんが」は2016年までに業界勢力図がガラリと変わっています。角川も集英社も学研も2016年までに大幅な刷新を行っていますので、口コミを調べる場合にはご注意ください。
【集英社】
「集英社」は何と言っても中学受験に強いことで有名です。集英社の重要語句インプット効果は中学受験を希望する小学生におすすめです。(2016年, 全20冊, 参考価格19,500円, 監修は進学塾講師野島博之氏)
特に、志望校ぎりぎりのラインを推移している子にとっては集英社の『日本の歴史』が成績アップの起爆剤になることがあります。(すでに志望中学の合格ラインを超えている成績優秀者なら角川の方をおすすめするかもしれません)
【小学館】
もっとも難易度が高いのは「小学館」です。小学館は高校の歴史の教科書がわりになるほどで注釈などを暗記できれば、マンガだけでセンター試験が7割取れます。(1998年, 全24冊, 参考価格21,500円, 監修は学習院大学名誉教授児玉幸多氏)
小中学生の場合は一番におすすめするものの、小学館の『日本の歴史』は読者を選ぶので「内容が一番充実しているけれど何度も読まなければ意味がないから、読みたいと強く思えるものを選んでね」などと付け加えます。
【角川】
小学館以外の3社は情報量は同じくらいです。違いは「歴史の何に重きを置いて描いたか」です。「角川」は歴史の流れを重視しています。そのため読んでも点数に直結しづらく、成績アップに時間がかかります。しかし歴史の流れを掴むという歴史的観点は新学習指導要領でも重要視されている要素。私であれば偏差値が高めの子におすすめしたい本です。(2015年, 全19冊, 参考価格16,500円, 監修は東京大学教授山本博文氏)
【学研】
4社の中でもっとも読みやすいのが「学研」です。そのため、通史を読み始めて途中で挫折する子が少ないので歴史が苦手な子や偏差値の低い子にも勧めやすい本です。学研が挫折しにくい理由は人物中心の物語展開だからです。歴史マンガである以上、どのマンガにも人物はかっこよく描かれているのですが、4社の中で学研がもっとも偉人たちの波乱万丈な人生に感情移入しやすいように描かれています。(2012年, 全14冊, 参考価格15,800円, 総監修は東京学芸大学教授大石学氏)
歴史の成績が芳しくない子が学研を読むと成績がぐんと上がる場合があります。また、学研は歴史が好きな子や歴史が好きになりたい子におすすめできます。
4社について詳細はこちら
4大『日本の歴史』につきましては、レベルや難易度、強みや弱点などをこちらで熱く語らせていただきましたのでお時間がありましたらご一読ください。
絵を見て決めたいという方へ。4社の第1巻と第4巻の最初のページをこちらで比較しました。ご興味があればどうぞ。
もっと歴史好きになるために
『ねこねこ日本史コミック』
低学年には少々読みにくいのですが、お兄ちゃんやお姉ちゃんの影響で低学年から読み始めたお子さんは総じて「歴史大好き」になっている良書です。NHK「Eテレ」発のコミック本で、日本の歴史をすべて猫の習性で語った変わり種。
全7冊 参考価格6,000円
この本の強みとおすすめ度
メリット
この本の強みは「忘れないこと」です。「ねこねこ」という強烈な個性がありますから、記憶の奥深くに残ること間違いなし。例えば、関ヶ原の戦いで小早川秀明が裏切るのは「猫は水が嫌いだから」。他にも、千利休役の猫は豊臣秀吉役の「サルと気が合わずに」切腹させられたりしています。
内容は表面的で歴史学習としては語彙習得程度しかありませんが、日本史の重要な内容は網羅されていて、解説も比較的しっかりとしています。そして『ねこねこ日本史』の知識を忘れないとなると、歴史学習はこの本の情報を核にして「知識の肉付け」をしていくことができますので、歴史学習の土台としては非常におすすめです。
「(ねこが)かわいい」「(読んでて)たのしい」「わすれない」と三拍子揃ったこの本は、特に中学受験をしない小学生がゆっくりと楽しく歴史学習を始められます。
デメリット
こちらのコミックは子ども向けに書かれたわけではないので、漢字にルビはふっていませんし、表現も少々大人びているところがあります。
子ども向けでより勉強色の強い『ねこねこ日本史でよくわかる日本の歴史』もありますが、読んでいて面白いのは『ねこねこ日本史』の方だと思います。
強烈なインパクトで一度読むと忘れないのはコミック版。「歴史嫌い」「歴史無関心」になる前の子どもたちに是非読ませてあげたい1冊です。
『やばい日本史』
この本は、日本の歴史を変えた人物の『すごい』と『やばい』を解き明かすというコンセプトの本です。例えば、清少納言の『枕草子』は悪口ばかりだったとか、土方歳三は新撰組イチのモテていて京都中の女性にもらったラブレターを冊子にまとめて自慢したとか…。卑弥呼、聖徳太子、紫式部、織田信長、徳川家康、坂本龍馬、夏目漱石などなど、日本史はざっくりと網羅しています。
この本の強みとデメリット
メリット
この本は日本史を一通り勉強したことのあるお子さんにおすすめです。歴史上の偉人たちに定番通りのイメージを持った上で、この本を読むと歴史への興味がぐっと深まります。
内容は「東大教授がおしえる」と銘打たれているだけあって、書かれている内容はかなりマニアックです。面白いものからそうではないものまで様々で、どのエピソードが琴線に触れるかは人によると思われます。
デメリット
この本はマンガというよりも、イラスト豊富な歴史系エッセイ本と呼べる本です。
この本をおすすめできるのは「日本史を一通り勉強したことのあるお子さん」です。この本を最初に手にとって歴史に興味をもてるというような内容ではないのでご注意ください。
また、中学受験や大学受験に役立つ内容はほとんどありません。ただ、受験勉強をしながら「この人はこんな偉大なことをしている陰であんなこともしてたんだよなぁ」とほくそ笑むことができるくらいですが、このような知識こそが受験勉強のモチベーション維持(あるいは勉強ストレス緩和)に非常に重要になることは間違いありません。
マンガ『古事記』
「古事記」で成績アップ!?
「古事記が家にあると歴史の成績が落ちない」というジンクスをご存知ですか? 実際には、古事記を読んだことがあると飛鳥奈良時代で歴史嫌いになることが少ないために、結果として「歴史が好き」だから「成績がいい」のではないかと私は思っています。
古事記と日本書紀が最初の壁
小中学生にとって古事記と日本書紀は日本史で最初につまずく壁であるとも言えます。歴史が苦手だという学生にどの辺りが分からないのかを問うと多くの子が「古事記とか日本書紀とかから分からなくなった」「古事記とか日本書紀とか出てきてから難しくなった」などと答えます。
古事記と日本書紀は小中学生にとっては、縄文土器から始まる歴史用語の暗記が始まり、推古天皇や大化の改新くらいまで何とか喰らい付いてきた子が古事記と日本書紀の「き」の漢字で大きくつまずきます。
高校生になるとさらに難解に
高校生になるとさらに知識が付加されて、古事記は太安麻呂が編纂して推古天皇までを、日本書紀は舎人親王らの撰で持統天皇の時代までを扱っている違いや、古事記は日本書紀とは違って勅撰の正史ではないけれど元明天皇に献上されていることなどを学び、「やはり歴史は暗記教科だ」と日本史が苦手になってしまう学生が多くなります。
マンガ古事記で最初の壁突破
古事記を読んだことがあるお子さんは「古事記」「日本書紀」で日本史につまずくことがほとんどありません。すでに「古事記は神様がたくさん出てくるお話だ」という基礎知識が身についているからです。姉弟のご家庭で「お姉ちゃんは読んだけど弟は見向きもしなかった」という場合でも表紙の「神様」は記憶しているのか、飛鳥奈良時代での脱落率は高くありません。
さらに「古事記」の「記」は日記の記であり記録の記でありますから、小学生には馴染みがある漢字です。日本書紀を学習すれば「授業で習った日本書紀が難しい方の『紀』だったな」と記憶しやすく漢字ミスもほとんどしません。
おすすめはこちら
『子どものためのまんがで読む古事記』
(Amazon商品紹介)平成24年神道文化賞受賞作品。 わかりやすいと好評の「まんがで読む古事記」を総ルビにしてお子様でも読めるように編集いたしました。 古事記の原典に最も忠実なまんが作品ですので、古事記の内容をしっかりと理解することができます。
こちらの本の元となっている『まんがで読む古事記』は次に詳しくご紹介していますが、青林堂の『まんがで読む古事記』はひたすら古事記に忠実にマンガ化しています。他の本のように、読者の興味を引くために現代の話を挿入したり、古事記編纂のきっかけとなった奈良時代のエピソードを描いたりなどは一切していません。すべてに読み仮名が振ってあるので小学校低学年から読めますが、内容がとてもしっかいしていて古事記そのものを楽しめる良書です。
さいごに
歴史はいつ始めるべきか
歴史学習についての記事をお読みになった方から時折、歴史学習の開始時期についてのご質問をお受けします。
おすすめは「小4までに」
社会科教師や歴史講師の本音といたしましては「本当は5年生に上がる前には日本史を知っていてほしい」です。4年生までに歴史という概念を知っていて、日本史の流れを大まかにでも知っていると5年生から始まる地理の勉強も楽しめるようになりますし、メリットは小さくありません。『ビリギャル(注)』を指導した坪田氏も著書の中で「歴史は4年生までに」とおっしゃっています。
【ビリギャル】偏差値30の学年ビリから慶應大学現役合格を勝ち取った実話。単行本の大ヒット後、有村架純主演で映画化されています。
しかしながら、低学年のうちから歴史にまで意識の回るご家庭は多くはありませんし、学年が上がると授業が難しくなりますから時間の捻出が厳しくなりますので、できるだけ早めに歴史学習本などで歴史を身近に感じられる環境を整えられると理想的です。
中学受験では「小5夏まで」
中学受験を目指すご家庭におかれましては、例えばサピックスや日能研などでも(塾の学習方針か講師の個人的なアドバイスかは別といたしまして)小学5年生の夏までに歴史を一通りさらっておくことがオススメされているようです。
小学校では歴史の授業は6年生から始まりますが、中学受験塾ではたいてい5年生の夏から授業が始まります。授業が始まってしまうと余裕がなくなってしまうことが多く、現実的には「小学5年生の夏休みに歴史漫画(4大『日本の歴史』シリーズのうちのいずれか)を全巻そろえてもらった」というお子さんが多いような印象を受けております。
歴史を「勉強」にしないこと
歴史学習におきましては、歴史を学ぶことを「勉強」にしないことが肝要かと思います。歴史は国語や英語と並び、ふだんの日常生活で会話に取り入れやすい学習項目がたくさんあります。夏休みや冬休みの歴史遺産巡り家族旅行は偏差値の高いご家庭ほど人気がありますし、リビングには大人も子どもも楽しめる歴史本を置いておいて家族共通の話題にするリビング学習法なども育児書にはよく載っている内容です。
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