大人気のDVD付き恐竜図鑑。図鑑御三家「小学館NEO」「講談社MOVE」「学研LIVE」のうち、どの図鑑を買うべきか…。なかでも、小学館NEOと講談社MOVEの2冊で迷う方が多い! そんな時のために、気になるDVDの中身と、図鑑本体の見開きページを分かりやすく比較できるようにしてみました。
DVD付き「恐竜」図鑑比較
2冊とも価格は2000円(税抜き)。対象年齢はどれも幼児から小学生までで、すべての漢字にルビが振られています。
小学館の図鑑NEOの中身
もっとも低年齢児向けの図鑑。
DVD収録時間は70分
恐竜図鑑に付属しているDVDは70分で、恐竜図鑑付属DVDの中では最長です。(学研は約50分、講談社は約60分)
DVDはオリジナル映像
「小学館の図鑑NEO」のDVDには、ドラえもんがナビゲーターとして登場します。
映像はオリジナルCG映像です。(学研はBBC、講談社はNHK)
全体的に明度や彩度が高く、画面が明るい印象。恐竜の動きをより魅力的に魅せるような工夫も。
肉食動物が草食動物を襲うシーンも3冊の中ではもっとも幼児向け。グロテクスさはほとんと感じません。幼児でも十分に楽しめる内容です。
ドラえもんの話が長い
ただし、DVDの収録時間には(恐竜ではなく)小学館を紹介しているドラえもんの話が長く、ドキュメンタリーとしての恐竜映像が70分収録されているわけではない。
70分のDVDにしては、少し大きなお子さんや恐竜好きのお子さんの知識欲を満たすには非常に物足りない内容だと思います。また、幼児であっても何度もDVDを観ていると、おそらく飽きてしまうと思います(加えまして、早送りはできない設定になっています)。
ドラえもんはただの案内役
逆に、ドラえもんの漫画やアニメで恐竜を見て、ドラえもんと恐竜との絡みを期待して図鑑を買うのは要注意。
あくまでも図鑑なので、ドラえもんはただの案内役です。ドラえもんが恐竜と遊んだり、恐竜を助けたりはしません。
図鑑は「期待どおり」
図鑑の中身は、良くも悪くも普通の図鑑です。
絵が、少しみやすい構成になっていたり、解説に、少し新しい研究を加えた程度のバージョンアップ。
良くも悪くも「一般人が期待している図鑑」の域を超えない王道の図鑑。
図鑑とDVDの整合性は微妙
DVDに登場する恐竜の中に図鑑には載っていない種類がいたり、同じ恐竜でも色が違っていたり。
▼ 小学館の図鑑NEOの化石のページ
小学館は、茶色一色になりがちな化石ページをページデザインでカラフルに。
▼ 講談社の動く図鑑MOVEのティラノサウルス
「生きている恐竜」図鑑にこだわる講談社は、化石さえ動きの大きなものを採用。
編集長おすすめポイントは3点
① 図鑑に収録した恐竜は約400種。
② イラストにリアルさを追求。
③ 最新の学説も紹介。
▼ 小学館の図鑑NEO
王道の図鑑のイメージを外さない構成。
▼ 講談社の動く図鑑MOVE
「生きている恐竜を図鑑に収めたい」という信念で製作した(後述の編集者インタビューより)というだけあって、4種のなかま紹介で、同じ体勢の恐竜などいない。
講談社の動く図鑑MOVEの中身
最新の学説が反映され、ダイナミックな構造のイラストが多い写真集のような図鑑。
DVD収録時間は61分
恐竜図鑑に付属しているDVDは61分(監修者のことばを含む。恐竜映像だけなら48分)。
「小学館の図鑑NEO」より10分短く、「学研の図鑑LIVE」より10分長い。
DVDはNHKのドキュメンタリー
「講談社の動く図鑑 MOVE」のDVDは、NHKのドキュメンタリー番組の映像をもとにしています。
恐竜の誕生から絶滅までと、恐竜たちの、動いて、戦う姿が観られます。
恐竜のDVDは内容が古い
DVDの内容がかなり古い印象です。画質も悪く、日頃からドキュメンタリー番組を見慣れたご家庭であれば大きな違和感を感じるかもしれません。
DVDの元になっているのが、昔のNHK番組ですから、映像が古いのは仕方ありません。
当然、現在では異なる学説が一般的となっている当時の通説が修正されていなかったりします。最新の学説については、図鑑の中に解説があります。
案内役のキャラクターはもはや素人レベル
おそらく、プログラミング教室に通っている小学生で、もっと上手に映像処理ができる子はたくさんいるはず。
これはこれで、私は可愛らしいと思いますが。
恐竜が現代に生き返ったら…
DVDの中では「恐竜が今、街に現れたら」というコーナーがあります。幼児に大ウケだったという口コミ多数。
突然、恐竜がのそーっとあらわれ…
街の中を散歩します。
電話ボックスや駅の横を通り過ぎるので、実際の大きさを強くイメージできます。
図鑑はまるで写真集
写真集のような図鑑をめざしたと公言するだけあって紙面は非常に印象的かつ芸術的。
絵を魅せるページと、解説を読ませるページのコントラストが強い。絵を魅せたいページの解説は最小限に抑えられていて、絵に集中できるようになっています。
恐竜の生息地が地図入りで明記
全ページにわたり、該当恐竜の化石の発見地が地図入りで明記されているので非常に分かりやすいです。
図鑑のイラストがいい
恐竜の絵は「小学館の図鑑NEO」よりも動きがあります。
色が鮮やかなのは、図恐竜の最新の研究で恐竜が非常に原色・発光色ゆたかだったとされているらしいので、その最新の研究結果を反映させた結果ではないかと推察します。
▼ 小学館の図鑑NEOのティラノサウルス
解説文も眺めで、化石や生態の情報も踏まれており、図鑑らしい紙面づくりが分かる。
▼ 講談社の動く図鑑MOVEのティラノサウルス
小学館の図鑑NEOに比べて、解説文が短めなのが特徴。文章が短い代わりに、絵の迫力はまるで写真のそれ。いつ動き出してもおかしくない躍動感にこだわったのが「講談社の動く図鑑MOVE」。
最新の研究を反映
海外の新進気鋭の研究者の寄稿コラムもあり、最新の研究結果に基づいた図鑑です。
Amazon商品紹介「2015年、2016年の最新の発見も網羅した、恐竜図鑑」と紹介されています。
編集者インタビュー
以下、『絵本ナビ』『講談社の動く図鑑MOVE』(DVD付) 編集者インタビューより抜粋。
───2000円というほぼ従来の価格なのに、NHKのスペシャル映像DVD付というので、驚く方も多いと思います。
「動画連動」をどうしようかといろいろ考えているときに、NHKと協力できないかという話が出ました。最終的にはNHKエンタープライズの方にプレゼンをして、こちらの企画に乗っていただけるようにお願いをしたわけです。
海外に先行している動画連動の図鑑に触発されて作りはじめましたが、出来上がってみると、実は『MOVE』のほうが書籍・映像ともに内容がずーっと充実したものになりました。というのも、NHKさんのすごいところは、すべてのジャンルで豊富に自前の映像を持っていることなんです。
たとえば海外で、BBC(イギリスの大手メディア)がDVD付図鑑を作る、『ナショナルジオグラフィック』が作るとなれば、同じくらいの充実度のものが作れるかもしれませんけれど、じっさいは写真や映像の権利関係が複雑でむずかしい。だから『MOVE』はすごい。世界でもなかなかできないクオリティだと思います。
DVD付で2000円という値段は、現場の人間がつけたものではありません。原価計算するとあの値段はつけられない。僕は正直なところ2400円くらいでなんとかできないかな、と思っていた。でもテレビCMなどを一切やらない代わりに価格で読者にアピールしよう、そのぶん読者に還元しよう、と会社のトップの人間たちが決断して、2000円の値段が実現したんです。つまり講談社は、これではあまり儲けていないということなんですけどね(笑)。
公式サイトの該当ページはこちら
【まとめ】
こんな人におすすめ
小学館の図鑑NEOは…
DVDのドラえもん効果により、恐竜に興味を持ち始めたお子さんや、お子さんにこれから恐竜好きになってもらいたいと願うママやパパにおすすめ。図鑑は(子供向けとは言え)解説のレベルはそこそこ高いので、コスパがいいと言えるかもしれません。
講談社の動く図鑑MOVEは…
写真集を鑑賞するのが好きな方。恐竜の生態を「調べたい」というより、恐竜に「親しみを持ちたい」「恐竜の存在を身近に感じたい」という方におすすめ。また、恐竜が住んでいた地域に興味のある方はMOVE一択です。
見る価値あり!なDVD
こちらは、学研の図鑑「恐竜」のDVD映像の元になっているBBD小学館のドキュメンタリー番組の完全版です。イギリスの大人向けの恐竜ドキュメンタリーですから、かなり本格的ですが、子ども向け図鑑に慣れ親しんだら、1度は観ておきたい「名作」ではあります。
▼ こちらもオススメ
長文を最後までお読みくださいありがとうございました。
コメントを残す