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【このページの目次】
ラマーズ法との違い
ソフロロジー出産とラマーズ法との一番の違いは「陣痛を受け入れるか、戦うか」です。痛みを受け入れる呼吸法の「ソフロロジー」と、痛みと戦う呼吸法の「ラマーズ法」。どちらで出産してみたいですか?
ソフロロジー出産の呼吸法
ソフロロジー出産は陣痛中にママがリラックスすることで、痛い陣痛を「痛い」とは感じなくなる分娩法です。リラックスすると痛みを感じなくなるホルモンがたくさん分泌されますし、陣痛中に陣痛の痛みではなくママの意識を他のことに集中させることによって、痛いはずの陣痛がなぜか「痛い」とは感じなくなります。
ラマーズ法の呼吸法
ラマーズ法の「ひっひっふー」という有名な呼吸法は「闘う呼吸法」と言われます。詳しくはこれから。
陣痛が「痛い」理由
陣痛はなぜ「痛い」のでしょうか。もちろん、陣痛はいつの時代も痛かったでしょう。しかし、女性が何人もの子どもを産むことができていたのは陣痛の痛みよりも出産の感動の方が大きかったからではないでしょうか。
いつから「感動のお産」よりも「陣痛が痛いお産」へとイメージが変わってきてしまったのでしょうか。いえ、そもそも陣痛というのは「痛い」ものだったのでしょうか。
「お産」から「分娩」へ
陣痛が「痛い」ものになったのは中世ヨーロッパで医師が出産現場に進出してからではないかという説があります。医師が出産に介入するようになって「お産」が「分娩」に変わりました。「お産」は「お産をする」という動詞になりますから「ママがする」ものです。対して「分娩」は「分娩する」とは使えません。「分娩」はママがするものではなく、医者が「分娩させる」ものです。
お産婆さんから男性医師へ
もともと、日本ではお産婆さんがママの「辛くない姿勢」を一緒に探しながら、陣痛を見守り、励ましながら、赤ちゃんを取り上げてくれていました。
中世のヨーロッパで医師が出産の現場に登場したとき、出産に立ち会った医師は全員が男性でした。男性医師により、ママは「分娩台」という名の狭くて硬いベッドに、あおむけの姿勢で寝かされました。あおむけの姿勢は多くのママにとっては「辛くない姿勢」ではありません。むしろ一番辛い姿勢の一つです。しかし、あおむけの姿勢には男性医師には「処置のしやすい姿勢」ですし、男性医師は毎日何人もの患者をベッドの上で治療し手術をしていたのですから「慣れた姿勢」でもありました。ママを分娩台に寝かせておけば、何時間も続く陣痛の間も男性医師は椅子に座って、赤ちゃんが出てくるのを診ることができますので「楽な姿勢」でもあり、あおむけの姿勢以外の姿勢を取ることなど考えられもしませんでした。そして中世ヨーロッパで始まった分娩法が日本にも伝わり、陣痛の「痛み」とともに広まりました。
死亡率の低下と陣痛の痛み
この画像は日本の古いお産(座産)を描いた昔の絵巻物です。右中央で苦しそうにうずくまり、多量に出血しているのが産婦ですが、左横には魔物か妖怪かこの世のものではないものが描かれています。昔の出産は常に死と背中合わせだったことが伺えます。
(そのため昔は陣痛が「痛い」ことが注目されなかった一因に、安産で子どもを産むことができた女性しかお産から生還することができなかったという事実もあることだと思われます)
確かに、出産に医師が介入することでママの死亡率は格段に下がりました。多少の難産でもママが生還できるようになったからです。しかし、まだまだ男尊女卑の時代に、出産に男性が登場したことによって出産時のママの痛みや気持ちがどんどん軽視されていったことは想像に難くありません。死亡率が下がった代わりに、陣痛はどんどん「痛い」ものになっていったのだと思います。
痛みか、愛しさか
出産に医師が同席していなかった大昔だって、もちろん、陣痛は痛かったのだろうと思います。出産というのは一人の人間の体の中から、小さな赤ちゃんとはいえ、もう一人の別の人間が出てくるのですから痛くないわけはなかったでしょう。しかしながら、昔は陣痛の痛みよりも出産の感動と赤ちゃんへの愛しさの方が優っていたのではないかと思うのです。
ママを守る人間の4つの機能
女性の体には、陣痛から身を守る4つの機能が備わっていました。それはおそらく母から娘へ、産婆さんから妊婦さんへと伝えられてきたであろう智恵だったのではないでしょうか。
「リラックス」とホルモン
陣痛の痛みからママを守ってくれる2種類のホルモンは「オキシトシン」と「エンドルフィン」ですが、このホルモンはどちらもママがリラックスすればするほど分泌量が多くなり、分泌されればされるほど鎮痛剤としての役目を果たしてくれます。つまり、痛くない陣痛のためのキーワードは「リラックス」でした。
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誤ったラマーズ法の普及
ラマーズ法は1960年代に日本に持ち込まれ、朝日新聞で「お産革命」などと取り上げられたことで全国的に広まりました。当時画期的だったのは、分娩室にパパが入り、ママと一緒に「ヒッヒッフー」と出産の呼吸をし、ママを助け、励まし、パパとママが一緒に出産の感動を味わえたことでした。
「ヒッヒッフー」その後は
しかしながら急速に広まりすぎたのか、正しいラマーズ法が伝わらず「ヒッヒッフー」という特徴的な呼吸法だけが有名になってしまった感があります。「ヒッヒッフー」自体は正しい呼吸法で、ラマーズ法もソフロロジー式と同じく陣痛中に上手に呼吸をするための呼吸法でした。本来はこの「ヒッヒッフー」で息を長く吐くことで体の力を抜き、いきみ逃しをしなければいけません。しかし、多くのママは「ヒッヒッフー」のあと「ウーン」といきんでしまったのです。
ラマーズ法とアドレナリン
誤ったラマーズ法による分娩では多くの場合に「アドレナリン」が分泌されてしまいました。「ヒッヒッフー」では「ヒッヒッ」と短く吸って、「フー」と長く吐かなくてはいけないのですが、「ヒッヒッ」と短くすったあと、勢いよく力を込めて息を「フーッ」吐いてしまい、体に力が入ってしまいました。
戦うためのホルモン
「アドレナリン」は「闘争ホルモン」とも呼ばれ、生死をかけた「逃げるか戦うか」という危機的な状況で分泌されるホルモンで、緊急時に対応するために必要なホルモンです。ジェットコースターなどに乗った後の興奮状態がそれです。「アドレナリンが出て興奮しちゃった」などと日常的に言われますが、アドレナリンが出た状態は実は体には良くありません。
緊張すると陣痛の痛みは倍増
体には良くないアドレナリンは「安産」の天敵でもあります。「全身に力を入れて戦うためのホルモン」と「リラックスが必要な安産」ですから自明の理です。そして先ほどご紹介した、出産の時にママを助けてくれる「オキシトシン」と「エンドルフィン」という2種類のホルモンの天敵でもあります。アドレナリンが分泌されてしまうと、オキシトシンやエンドルフィンの分泌は少なくなってしまいます。つまり、体に力が入っていると陣痛の痛みが倍増することになります。
力が入ると産道が狭くなる
力を入れてしまうラマーズ法には、ママの体にとって、まだ悪いことがありました。体に力が入り、筋肉が硬直してしまうと、筋肉でできている産道もキュッと締まってしまいました。出口がキュッと閉じているところへ、赤ちゃんの頭を無理やり押し出そうと「ウーン」といきんだので、出口が壊れて(=会陰が避け)、赤ちゃんに負担がかかってしまいました(青白い顔の赤ちゃんの誕生)。ご年配の助産師さんの話ではラマーズ法全盛期のころには酸欠で青白い顔の赤ちゃんばかりだったと言います。
さまざまな分娩法の普及
医療の進歩により出産にかかるママの死亡率は激減しました。安全に出産ができる素晴らしい環境が整ったのです。今こそ、ママが「辛くない」「痛くない」お産を考えていい時代です。昔はラマーズ法一辺倒だった分娩法ですが、今では水中出産法や自己催眠分娩法などいろいろな分娩法が紹介されていますし、麻酔薬という医療技術を使った無痛分娩も増えてきました。
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最高の分娩法とは
ママの数だけ「最高の分娩法」はあります。どんなママにも安産を約束してくれる分娩法はありません。ママが心から納得でき、出産を心待ちにできるような分娩法が一番だと思います。もしまだピンとくる分娩法が見つかっていなければ「ソフロロジー出産」はいかがですか。
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