読書感想文が1時間で書ける簡単な本と書き方のご紹介。せっかくなので2学期からの国語力UPも。
読書感想文あるある
理想は子供が好きな本!
読書感想文の理想を申し上げれば「子どもが好きな本」を子どもが自分で選び、その本を読んで「思ったことを自由に書く」ことですが実際はほぼ不可能です。読書に慣れていない子はどんな本を見せてもあまり良い反応は見せませんし、本が好きな子はたいていの本であれば親が勧めると興味を示してくれるからです。
現実は親が書きやすい本…
小学校の間は(特に低学年のうちは)親が誘導して感想というものの持ち方を教えてあげる側面もありますから、結局は親がよい(書きやすい)と思う本を選ぶことになる場合はほとんどです。
ならば子供によりよい本を
親が書きやすい本を選ぶのであれば、子どもによりよい本を選んであげたいものです。子どもに読んでもらいたい良い本はたくさんありますが、夏休みが残り少なくなって読書感想文を書かなければいけないのならば「大人になる前に一度は読みたい本」がよろしいと思います。
おすすめは「イソップ」
寓話だから書きやすい
1~2年生の読書感想文におすすめしたいのはイソップ寓話です。グリム童話、アンデルセン童話と違ってイソップ物語は寓話ですから、物語自体が人生の教訓を含んでいます。非常に感想文が書きやすいです。
親が内容を知ってるから早い
「ウサギとカメ」や「北風と太陽」などお母さまなら知っている話がたくさんあります。読書感想文は親が話の内容を知っているというだけでかなり時間が節約できます。
「ウサギとカメ」
「北風と太陽」
他の子ともカブりにくい
イソップ物語は400とも500とも言われる大小のストーリーが存在します。おすすめは「お子さんが似たような体験・発言をしたことがあるもの」です。すぐに原稿用紙が埋まります。
イソップ物語集やイソップ全集のようなものもたくさん出版されています。多少の書きやすさや書きにくさはありますが、いずれを選んでも他の童話本に比べると書きたいことを見つけるのにそれほど時間はかかりません。
全集があったり
CD付きであったり
アレンジ版があったり
おすすめの1冊はこちら!
時間がないならこれ1択
イソップ本は作風や言い回しにこだわれば名作とよべる本がたくさんありますが、読書感想文に取り組む時間がない場合のおすすめ本は何をおいてもこちらしかありません!
斎藤孝氏の「子どものための要約力トレーニング本」です。35のイソップ寓話が収録され、本文は5〜8歳くらいを対象にしたと思われる内容で、すべての漢字には読み仮名がふられています。内容は見開き1ページ前後の量に大幅に短く改編されており、およそ1分で読み終えることができます。挿絵はまったくありませんが、代わりに、まとめる練習のために4コマ漫画が描かれています。
まとめ方が載っていて簡単
35のイソップ寓話のすべてに「おはなしのまとめ方」が載っています。おはなしの概要が4コマ漫画で再現されて、絵を見ながら再話し、話を要約するトレーニングができるようになっています。つまり、読書感想文には不可欠なあらすじの書き方が解説されているわけです。これだけで読書感想文も半分以上終わったようなものでしょう!
一言コメントが使える
さらに、すべてのストーリーの末尾に斎藤先生が一言コメントを寄せてくれています。この一言が読書感想文に使える内容ばかりで非常に参考になります。この本があるとあらすじの部分も感想の部分もほぼ書けてしまいます。
関連ことわざ・慣用句もいい
それぞれのイソップ物語に関連した日本の慣用句やことわざが紹介されています。読書感想文には例えば、
「イソップものがたりはむかしのギリシャという国(紀元前の古代ギリシャ)のおはなしだそうですが、日本にもこのおはなしににた、◯◯ということわざあるとお母さんがおしえてくれました」
などと書くのもよろしいかもしれません。
読書感想文の書き方
構成は はじめ・なか・おわり
読書感想文の書き方は「はじめ」「なか」「おわり」が基本です。
「はじめ」
書き出しにはいくつかのパターンがありますが、小学1〜2年生では「その本を選んだ理由」が一番書きやすいと思います。疑問文で始めたりするなど王道のテクニックもありますが、きっかけは本人の行動でなくても大丈夫です。
例
「本屋でエリック・カールさんの本を見つけました。まだ読んだことがない本でした。エリック・カールさんの本はとても好きなので、この本も読んでみたいと思いました。」
例
「お父さんが「今度の日曜日は動物園へ行こう」と言ったので、ぼくは動物の本を読みたくなりました。動物を本を探しているとこの本を見つけました。」
例
「お母さんと本屋へ行くと、この本の表紙がとても気になりました。この本を最初に見たときにはアリとハトの絵だとは気づきませんでした。ハトの体がえがかれていなかったし、ハトのくちばしがアリにつきそうなくらいハトとアリが近づいていたからです。」
読書感想文の本文と全く関係のないことでも構いません。賞を狙うのであれば、本文との統一感や本文との一貫性が求められます。
「なか」
一般的には、❶ 登場人物の紹介を書いて、❷ もっとも強く印象に残ったシーンのあらすじを書いて、❸ その部分を読んで感じたことを書いて、❹ その理由などを書くのですが、イソップ物語の場合は場面の展開がほぼないので「なか」のほとんどがストーリーの要約になると思います。
例
この本は肉を口にくわえた犬のおはなしでした。犬は橋をわたっていたときに、川の中に自分と同じように肉をくわえた犬がいるのを見つけます。この犬は川の中の犬がくわえている肉もほしくなって、川の中の犬をおどかすために「ワン」とほえました。すると、くわえていた肉が川の中におちてしまいました。
(『肉をくわえたイヌ』)
例
この本にはキツネとツルが出てきました。ある日、キツネはツルを自分の家にまねきました。そして、スープをわざとひらたいお皿についでツルに出しました。ツルはくちばしが長いので、キツネのスープをのむことはできませんでした。くやしい思いをしたツルは、キツネにしかえしをするためにキツネを家にまねきました。ツルはおいしいスープを細長いびんに入れてキツネに出しました。キツネは少しもスープを飲むことができませんでした。(『キツネとツル』)
「おわり」
最後の「おわり」の部分は、その本を読んで一番強く思ったことやその本から学んだことなどをこれからの決意として書きます。イソップ物語ならだいたい書くべきことは決まっています。
例
かみさまは人間をためしたのだと思います。正直でいることは、その時はそんをしているように見えても、最後にはきっといいことがあるのだと思います。この本を読んで、わたしはどんな時も正直でいたいなと思いました。(『金のおのと銀のおの』)
例
キツネが危ないことに気がついたのは、ライオンのほらあなをよく見ていたからだと思います。よく見ていたから「何かおかしいぞ」と気づけたのだと思います。お母さんが、この「何かおかしいぞ」という気持ちを「いわかん」と言うのだと教えてくれました。わたしはこの本を読んで、いわかんを感じたら、どうしていわかんを感じるのかよくかんさつすることが大切だと思いました。(『ライオンとキツネ』)
書き方は 構想・下書き・清書
読書感想文の取り組み方ですが基本は「構想」「下書き」「清書」です。理想的な時間配分はおよそ「構想」7割、「下書き」2割、「清書」1割です。
一般的に、まずは本を読んで構想を考えます。付箋を貼りながら読んだり、印象が強かった箇所を書き出したり、何から書くか考えたりします。次に、子どもに十分に「またきれいに書き直すからね」と念を押した上で下書きをします。見直しをして、最後に提出用原稿用紙に清書をします。
イソップ物語で読書感想文を書く場合、感想や意見といった読書感想文の肝になる部分がほぼ決まっていますから、やることはストーリーをまとめることだけです。誰が何をしたのかを一つずつお子さんと話してみてください。『まとめ力をつけながら読むイソップ』の4コマ漫画がとても役に立ちます。
「本読み」1分,「構想」30分
『まとめ力をつけながら読むイソップ』で読書感想文を書くならば、本を読むのに1分、あらすじをまとめるのに30分くらいだと思います。字を書くスピードは非常に個人差がありますが平均して下書きに15分、清書に15分くらいではないでしょうか。
さいごに
イソップは読んで損なし
『まとめ力をつけながら読むイソップ』で斎藤孝先生がおっしゃっていますが、イソップ物語は大人になる前に一度は読んでおきたい話ばかりです。読書感想文のために何か読まなくてはいけない状況にとても良い素材だと思います。
読書感想文で学力アップ
夏休みの宿題で『まとめ力をつけながら読むイソップ』を使ったら、この1冊を仕上げてみてはいかがでしょうか。すべてではなくても、この本の8割をやり終えると確実に国語力が伸びます。
来年は頑張ろうという方へ
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▼ まぁ、申込みはあなた次第なのですが…
日英仏文化を読むイソップ本
今回、イソップ寓話にご興味を持たれたお母さまへ。このような本もあります。
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