幼児のためのひらがなの教え方。「1ヶ月で読めるようになる」某幼児教室のコツを家庭学習のためにアレンジしてご紹介。
【このページの目次】
3歳でひらがなが読めちゃう
1ヶ月で読めるように
幼児教室では3歳児クラスでひらがなを読む練習をしていました。およそ1ヶ月でほとんどのひらがなを読めるようになり、残りの時間をかけて長い文章を読む練習をしまして、4歳児クラスに上がる頃には絵本を1冊読む体力が付いていました。
ひとり読みと読み聞かせを
子どもが絵本を1冊まるまる一人で読めるようになると途端に絵本の読み聞かせをやめてしまう方がいらっしゃいますが、読み聞かせの効果を考えますと10歳くらいは推奨されています。
▼ 例えば麻生学園の国語教師も
ひらがなを教えるコツ
楽しくなければ覚えない
子どもは楽しくなければ覚えてくれません。楽しささえ演出できれば、どんなに難解なものでもスッと記憶してくれます。ポイントは「ひらがなをどのように楽しませてあげるか」です。
ほんの少しだけ難しいものを
子供が楽しいと感じるのは「できた!」という瞬間です。「できた!」体験をたくさんさせてあげるには、ほんの少しだけ難しくしてあげるのがコツです。教育情報誌で最近よく見聞するようになった「スモールステップ」という教育手法です。
50音は少なくとも3周させる
「ほんの少しだけ」難しくしていくのであれば、50音を何周かさせてあげる必要があります。1周目で読めるようになり、2周でたいだい書けるレベル、3周でほぼ完璧にマスターできます。4周目以降はきれいな字の練習…というのが最も早く最も国語を好きになれるルートだと思います。
ひらながの教え方と進め方
こちらでご紹介しますのは某幼児教室の手法を「教えるのが先生」「クラスメイトと一緒」という条件ではない家庭での英語育児で効果が出るようにアレンジしています。
❶ 文字の存在に気づかせる
ひらがなの読みの導入として、まずは「文字の存在」について意識させてあげましょう。些細なことですが、これをしてもらったお子さんといきなり読みや書きの練習に入ったお子さんとでは、文字への興味のみならず読解力や説明力の伸びが大きく違います。この地味なステップはかなり重要です。
→おすすめのやり方
やり方と言いましても、手順はとてもシンプルです。以下のように進めますとスムーズにレベルアップができます。目安はおよそ1週間です。
ステップ1. 目に付いた文字を読む
暮らしの中で目に付いた文字を読んであげます。例えば、
「あ、見てごらん。ここにりっちゃんの「り」だよ。りっちゃんの「り」ってこんな形をしているんだね。かわいいね」
などと話してあげます。まずは、お子さんの名前の文字から始めましょう。お子さんの反応を見ながらお子さんの関心と記憶力に合わせまして、ママの名前、パパの名前、兄弟の名前などと「知っているひらがな」の数を増やしていきます。このような声かけを何日か続けましたら、声かけを以下のように膨らませてあげます。
「あ、見てごらん。ここにりっちゃんの「り」っていう『ひらがな』があるよ。りっちゃんの「り」っていう『字』は『片方が短くて、片方が長い』んだね」
この声かけのポイントは2つです。1つ目は「ひらがな」や「字」という言葉を日常会話に落とし込んであげること。2つ目は「ひらがなの形の特徴」を説明する言葉を含ませてあげること。ひらがなの形や特徴の説明をするときには、できるだけ書き順のとおりに描写してあげると書き順をより早く覚えます(「り」の例では「片方が長くて、もう片方が短いんだね」ではなく「片方が短くて、もう片方が長いんだね」の順番で)。
毎日の絵本の読み聞かせを5冊しているのであれば、そのうちの1冊はすでに何度も読んだことのある絵本を選んで、ひらがなの練習にあててみてください。また、お散歩に出れば標識や看板など、外食すればお店の名前やメニューなど、この時期は身の周りのすべての文字が練習材料になります。
ステップ2. その文字から始まる言葉を
反応の早いお子さんでは数日で、文字にさほど興味のないお子さんでも数週間で
「あ! あそこにボクの「か」があるよ!」
などと言ってくれるようになります。お子さんが文字に関心を見せましたら、目にしたひらがなから連想する言葉を加えてあげましょう。「り」なら「りんごの り だね」などと、「か」なら「かゆい! の か だね」などです。「りんご」という一般名詞よりも「かゆい」という五感の想起をともなう言葉の方が脳への刺激は高いと考えられます。
❷ あいうえお表を学ぶ
身の回りにひらがながたくさん存在していることを教えてあげると、自分の名前や家族の名前のひらがなはすでに覚えているかもしれません。ひらがなを何文字が覚え出したら「あいうえお表」を見せてあげて、ひらがなは順番に並んでいることを教えてあげます。
「あいうえお表」は何でも構いませんが、文字の形が教科書体に近いものの方がおすすめです。「さ」や「き」が繋がっているものはおすすめできませんし、可能であればカタカナの「シ」や「ツ」の書き終わりが細くなっていて、どちらから書いているのかが分かるものが後々便利だと思います。
しかし、この段階で一番大切なのはお子さんが興味を持てることですから、アンパンマンや機関車トーマスなどお子さんと一緒に選んでみてください。お風呂に貼れるタイプもよろしいかもしれません。
→おすすめのやり方
やり方と言いましても「あいうえお表」で楽しく遊ぶことができれば、どのようなやり方でもよろしいです。幼児教室でよく用いられるやり方は次の2種類かと思います。どちらのやり方でも、1日に1回(できれば朝と夜2回)ひらがなを1つ1つ指差しながら「あいうえお表」を声に出していますと2~4週間でほとんどのひらがなを覚えてくれます。
やり方1. あいうえお表を歌う
「あいうえお表」にメロディーをつけて歌う方法です。メロディーは何かの替え歌でもよろしいですし、単に「ドドドドドー、レレレレレー、…」と一音ずつ音程を上げたり、「ドドソソドー、レレララレー、…」としてみたり、「ドファミレドー、レラソファミー、…」としてみたり、お母さまの口馴染みのよいものでよろしいと思います。
やり方2. あいうえお表を読む
稀に「あいうえお表」で歌を歌うことを楽しめないお子さんやお母さまがいらっしゃいます。その場合は素読で構いません。ひらがなを一文字一文字指で追いながら、素読(ただ読み上げるだけ)を続けても同じような効果が得られます。
あいうえお音読の嬉しい副産物
この「あいうえお表」練習をしますと、滑舌が大変よくなります。ひらがな学習の嬉しい副産物です。
❸ 一文字一文字を読む
「あいうえお表」学習では、かけ算九九と同じような過程を踏みます。お子さんはこの段階では「あいうえお、かきくけこ、…」の順番ならば読めるけれど、一文字一文字が単発で出てくると読みに迷うというレベルに到達しているはずです。
→おすすめのやり方
この段階では、ひらがなを使ったゲームがおすすめです。ゲームも少しずつ難しくしていくのがポイントです。
レベル1. 一文字カルタ遊び
まずは、5枚のカードで遊びます。5枚の中の1枚をお子さんの名前のひらがなにしてあげるとさらに易しくなります。読み札は特に必要ありません。「りんごの『り』。分かるかな?」「次は…いぬの『い』!」などで構いません。できるお子さんは10枚くらいから始めてもよろしいでしょう。
レベル2. 移動カルタ遊び
カルタ遊びに歩くという動作を加えた遊びです。このゲームでは子ども達は自然と「わ、わ、わ…」などと探すカードに書かれたひらがなの音を歩いている間ずっと繰り返し呟きます。体を動かしながら記憶する行為が記憶の定着を早めるものと考えられますが、何よりとても盛り上がるゲームなので学習効率がよいのは楽しいからだと思います。
やり方は簡単です。ひらがなカードを2組用意して、1組は遠く離れた場所に広げておき、もう1組は箱に入れてくじ引きのようにお子さんが自分で引けるようにしておきます。お子さんが箱からひらがなカードを1枚引いたらゲーム開始です。引いたカードはお母さまが預かります。お子さんはカードの字を読んで覚えます。取り札のところまで歩いて行って、自分が引いたひらがなと同じカードを選んで持ってきます。
タイムを計ってあげると成長を感じやすくなります。お誕生日会などでお友だちとチームを組んで競ってもとても楽しいです。
ちなみに、この遊びではカードには絵が描かれていない方が学習効率は上がります。絵をヒントにすることなく、純粋にひらがなを読まなければいけない状況が作れるからです。市販のひらがなカードではくもんのカードがもっともおすすめできます。
ただし、くもんのカードは少し大きすぎるので使いにくく感じられるかもしれません。「片面にひらがなのみで絵が描かれていないカード」としましては、いもとようこ氏のあいうえおカードもよろしいと思います。
画像には「ん」が見えていますが、うら面は片側半分に大きくひらがなが、もう半分には書き順が記されています。おもて面は「あひるさんが ありさんに ありがとう」と該当ひらがなを使った短文が載っているので、学習が進めば文章を読む練習にも使えますのでコスパは良いのかもしれません。ただし、いもと氏のイラストは「きつね」なのか「ねずみ」なのか「ねこ」なのか判別がつきにくかったりします。動物の名前を覚えている段階の子どもがこのイラストで動物の名前を覚える場合には、他に図鑑や絵本が必要です。
この段階のゲームでは、新しくカードを買わなくてもお母さまやお父さまの手書きでも構いません(手書きの場合はカードの大きさと厚さにご注意ください。「楽しさ」が随分と変わってきます。)
レベル3. ひらがな指なぞり遊び
このレベルまで到達するとひらがなは完璧に読めるはずですので、そろそろ書く練習を始めましょう。お子さんの成長が早ければもっと早くから書く練習を始めることもできます。
書く練習としましてはまず迷路などで運筆力を高める必要がありますが、運筆力や迷路遊びの活用法につきましては別記事にてまとめさせていただきましたので、ここではひらがなで遊ぶ部分だけをご紹介いたします。
ひらがなを楽しく書くことができる最初の遊びにおすすめなのは指なぞりです。指の感触を楽しみながらひらがなを覚えることができます。モンテッソーリ教育では砂文字を使ったりもしますが、砂が床にこぼれないように改良した家庭向けのものもあります。参考価格3500円。
もう少し手軽に使えるものならば「ゆびなぞりカード」がおすすめです。参考価格1800円。
レベル4. カルタ遊び
大人ともかなり対等に遊べるようになっているはずです。文字に馴染みながら、カルタ遊びで近い将来に暗記しなければいけないものを、幼児期から少しずつ楽しく覚えられれば受験期に大きなアドバンテージになり得ます。
▼ ことわざカルタ
幼児期の論語の素読のように意味は完全には分からなくても音だけを覚えておいて、小学生になって「ああ! こういう意味だったのか」と本当の意味に気付ければ絶対に忘れません。国語ならば「ことわざ」→「慣用句」→「名作の言葉」などとレベルアップできます。
▼ 都道府県かるた
都道府県の暗記は避けては通れません。社会ならば「都道府県」→「国旗」→「世界遺産」などとレベルアップできます。
▼ モルカ(分子カルタ)
「植物の食べ物 二酸化炭素」「空気中いちばん多い 窒素分子」など、とても楽しいカルタです。分子カルタで分子に親しんだら「原子モデルゲーム」や「元素ファミリーゲーム」などと化学の世界へ入っていけます。
❹ 文章の音読を始める
「あいうえお表」学習では、かけ算九九と同じような過程を踏みます。お子さんはこの段階では「あいうえお、かきくけこ、…」の順番ならば読めるけれど、一文字一文字が単発で出てくると読みに迷うというレベルに到達しているはずです。
→おすすめのやり方
声に出して読めれば、読む文章はカルタの読み札でも絵本でも何でもよろしいのですが、おすすめはやはり音読用に編集された教材です。文字の大きさや行間、文章量など対象年齢の子どもがちょうど読みやすいように作られているので失敗のリスクがほとんどありません。
▼ 七田
▼ 学研
▼ 陰山式
さいごに
語学は早ければ早いほど
日本語も英語と同じ語学です。英語の幼児教育が注目されているように、日本語も早く始めれば始めるほどに「国語好き」「読書好き」「作文好き」にしてあげることができます。できるだけ早く始めて(テストの点数など)結果を求めずに純粋に楽しむことに集中できる幼児期を有効に使う一助になれば幸いです。
日本語も英語も大好きに
ちなみに、家庭での英語育児の良書が2019年12月に出版されました。日本語習得と英語習得との違いなども論理的に解説されていたり、家庭で何をすべきなのかが明確に示されていたり、子どもの成長に合わせて何度も読み返したい英語育児のバイブルです。日本語も英語も大好きになってもらいたいご家庭におすすめです。
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