英検2級の難易度とはどのくらいでしょうか。英検2級といえば履歴書に書ける最低級だと言われ、入試優遇や単位免除に英検2級を利用している大学も多く、一般的に「英語ができる人」の最低ラインと見なされます。通訳翻訳学校の入学資格が英検2級であることが多いのも特徴です。合格に必要な勉強時間は勉強できる環境次第ですが、今回は社会人、高校生、中学生の3つのライフスタイルの場合を考えてみます。
英検2級のレベルとは
2級のレベルは「大学受験」
英検2級のレベルは「高校卒業程度」とされています(公式サイト「各級の目安(一覧内の英検2級の欄)」より)。つまり、センター試験で必要になる英語力と同じくらいです。一般的な高校で使う英文法の参考書に載っている文法事項が範囲ですので、難関大学で出題されるような細かい英文法の知識を求められることはありませんし、ひねった出題などもありせん。
2級から「履歴書」に書ける
英検2級から履歴書に書けることになっていますが、新卒では英検2級を履歴書に書くことはあまりありません。新卒では通常履歴書に書いて有利になるのは英検準1級以上と言われています。しかし、もちろん役に立たないわけではありません。 英検2級は「英文法を一通り身につけている」ことの証明になりますから、社会人の転職や派遣会社の面接、主婦のバイトなどでは「ペラペラではないけれど英語を使うことにストレスを感じないくらいの英語力」として、同じくらいの希望者がいる場合には英検2級を持っていることがアピールポイントになったケースを知っています。
2級に合格したらできること
英検2級合格者の「Can-doリスト」というものが公式サイト上で公開されています。英検2級合格者を対象に、実際に英語を使う場面で自分の英語にどのていどの自信を持っているのかをアンケート調査したものです。英検2級の「Can-doリスト」によりますと、英検2級に合格している人はこのような場面であれば、ほぼ問題なく英語で対応できる自信があるということです。
▼ 読む英語力
旅行者向けのガイドブック、料理のレシピ、Asahi Weekly、セールの情報、講義や研修での課題図書や資料などを理解することができる。
▼ 聞く英語力
相手の学校や会社について場所や特徴、人数などを理解したり、天気予報や授業、研修、館内放送を理解したり、地域のイベントやセールの情報、買い物に必要な店員との会話を理解したりすることができる。
▼ 話す英語力
旅行やイベント、遅刻欠席の理由など身の回りの出来事や状況を説明したり、道案内をしたり、店員に買いたいものについて質問したり、簡単な伝言をすることができる。
▼ 書く英語力
印象に残った出来事や読んだ本、見た映画について内容や感想を書いたり、自分の学校や会社、住んでいる地域などを紹介文などを書いたりすることができ、メールはある程度の長さの内容をまとめることができる。
英検2級の難易度とは
2級とTOEICを比較する
英語力の国際基準規格であるCEFR(セファール)によれば、英検2級合格者の英語力は「TOEIC550点〜775点」相当であるとされています。
しかしながら、TOEIC試験は出題傾向に非常にクセのある試験であるため、初受験の結果にはそれぞれ次のような特徴があります。
英検2級 → TOEIC の場合
英検2級に合格して始めてTOEICに挑戦するケースでは、TOEIC500点前後という方が大多数を占めていました。たとえ英検2級に合格できても、TOEIC700点を取るには相応の準備が必要だと言えます。
TOEIC → 英検2級 の場合
TOEICに挑戦し続けている社会人や主婦が英検2級に挑戦した場合、英検2級に合格できる目安はTOEIC600点前後でした。TOEIC500点前後の人でもライティングやスピーキングといったアウトプット力が高い人は準備さえできれば英検2級に合格できます。
2級とTOEFLを比較する
TOEFLとは英語圏の大学に進学するために必要になる英語資格です。点数は「57点〜120点」と中途半端な数に感じられるかもしれませんが、英語圏の一般的な大学入学に必要な点数は「61点前後」、難関大学や大学院では「80点前後」、難関大学の大学院では「100点前後」、MBAの最難関校では「109点前後」であるとされる試験です。
さて、英語力の国際基準規格であるCEFR(セファール)によれば、英検2級合格者の英語力は「TOEFL57点~86点」相当であるとされています。
TOEFLは大学入学という目的のための試験ですから、試験に出題される英単語や長文は大学で学ぶ内容に関するものです。例えば「肉食動物(carnivore)」「分泌(secretion)」「鳥類学(ornithology)」など文系理系を問わず、大学生の一般教養科目として授業に出てくるであろう難しめの単語がバンバン出題されます。
英検の公式サイトによれば、英検2級は「社会生活に必要な英語を理解し、またしようすることができる」レベルが基準です。その内容は「教育や科学、医療、テクノロジー」に関する内容も出題されますがあくまでも暮らしに必要な範囲の英語です。一方でTOEFLは学問研究に必要な英語力が求められますから、仮に英検2級合格者がTOEFLを受験した場合(私はそのような人をまだ見たことがありません)、試験を解き終えることもできないと思います。
TOEFLを受験するために必要な語彙力は8000語レベルではないかと感じています。8000語というと英検準1級の語彙力です。私が知っている範囲のケースですが、英検準1級に合格したら「TOEFL60点前後」、英検1級に合格したら「TOEFL80点前後」という結果が出ていたようです。これはだいたい各試験で必要とされる語彙力に対応している結果と言えます。
2級とセンター試験を比較する
英検2級に合格すれば、センター試験ではほぼ確実に200点満点中150点以上は取れるはずです(ちなみに英検準1級合格者がセンター試験を受けた場合はほぼ満点です)。逆も言えます。センター試験で150点以上取れた場合、大学入学直後に英検2級を受験したらおそらく合格するはずです(ちなみにセンター試験が満点だった人でも英検準1級に一発合格できるとは限りません)。
文部科学省は中高生の英語力向上政策の一環として高校生の英語力を英検で測る側面もあり、英検2級の出題範囲や出題内容はセンター試験ととてもよく似ていますので、英検2級合格とセンター試験の点数は相互に参考にすることができます。多くの大学で英検2級が入試優遇や単位優遇に利用されている所以です。 英検の公式サイトには「英検2・準2級&センター試験 一石二鳥の英語対策講座」という全10回の連載記事が掲載されています(2018年春現在)。高校生は必読です。せっかく大学受験のために勉強を頑張ったので、ついでに英検も受験してみることをおすすめしたいです。
英検2級に必要な英語力
2級に必要な語彙力
英検2級に必要な語彙力は「3500語〜4000語」だと言われます。英検準2級に必要な語彙力は「2500語〜3000語」ですから、新しく1000語を覚える必要があります。英検準2級に必要な「2500語〜3000語」には「this」や「you」などの基本単語も含まれますから、語彙力を2500語から3500語にするためには知っている英単語をおよそ2倍にする必要があります。必死に勉強をして覚えた英単語以外のをさらに3000語覚えるのは並大抵ではありません。
英検2級の基準は「社会生活に必要な英語」なので、英単語も日常生活でよく使う言葉に限られます。日本語でも意味が分かるようでよく分からない英単語は出題されません(例えば「互換性(compatibility)」など)。身近な言葉ばかりなので比較的覚えやすいはずです。
▼ 現在の語彙力が分かる無料サイト
現在の語彙力を測定できる無料サイトがあります。いくつもあるのですが、おすすめはこちらです。
【ワードエンジン「英単語力測定V-Check」】
「英単語力測定V-Check」は測定結果が詳細で、知っている英単語数を「一般英単語」のほかに「TOEIC」「TOEFL」「英検」などのテーマ別に結果を表示してくれる。無料会員登録が必要なのが煩わしいが、測定された語彙力から「TOEIC」「TOEFL」「IELTS」の換算スコアまで出してくれるのは嬉しい。
▼診断結果画面
たとえ無料でも会員登録が面倒な場合はこちらがおすすめです。
【Weblio「英語語彙力診断テスト」】
▼テスト画面
「診断テスト」では表示される英単語の日本語訳を5択の中から選ぶ形式。診断結果は「推定語彙数」として具体的な数字が表示されるのでわかりやすい。無料で使えるので便利。
▼診断結果画面
2級に必要な文法力
英検2級のレベルは「高校卒業程度」とされています。高校のレベルもさまざまですが、英検2級が想定しているのは難関大学を目指すような進学校ではなく、一般的な高校です(難関校に合格できる高校生は英検準1級に一発合格していました)。
出題範囲も一般的な英文法で、難関大学向けの重箱の隅をつつくような意地悪な問題は出されません。ふだん日本語でしている日常会話の内容を英語で言う際には必ず必要になる基本文法ばかりです。TOEICのような社会人独特のビジネス英語や、TOEFLのような研究者独特の専門的な英語(日本語でも意味が分からないような専門用語はTOEFLでも出題されませんが…)などは出題されません。
2級に必要な速読力
英検2級になると長文の長さもかなり長くなります。高校の教科書の1単元分くらいの分量です。長い長文が出題される試験で時間内に正答するには速読力が必要になります。速読力というのは1分間に何文字読めるかで表されることが多いのですが、ネイティブスピーカーはおよそ毎分250字ほど読めるそうです。英検1級レベルで毎分180語ほどだと言われています。
英検2級を目指すのであれば、一応の目安として、1分以内に100語を読めるようになりたいものです。(しかし、毎分100字などと言われてもおそらくピンとくることはありませんよね。興味のある方は『速読英単語』など英単語数が表記されている長文を時間を測って読んでみてください。現在の速読力が計算できます)
もっと大まかな感覚としては「返り読みをしないこと」です。英文を読み始めて、途中で意味が分からなくなって、また文頭から読み直したり、接続詞や関係代名詞で文章の関係性が分からなくなり、文末から文頭へ向かって逆方向に読んだりすることを止めましょう。「返り読み」をせずに英文を最初から最後まで読み切ることができれば、たとえ速度は遅くとも毎分100語くらいで長文を読めるようになっているはずです。
英検2級に必要な勉強時間
社会人が必要な勉強時間
およそ100時間〜200時間
学生時代に英語が得意だった方
およそ100時間〜130時間
これまでご紹介してきた通り、英検2級は基本的な英単語と基本的な英文法が出題される試験です。学生時代に英語が得意だった方はたとえ今は忘れてしまっていても、勉強を始めればすぐに感覚を思い出すと思います。仮に、1日30分の勉強を週に5日、1年間続ければ勉強時間の合計は130時間です。あとは通勤時間に英語を聞いて勉強時間を確保できれば合格できると思います。行き帰りの通勤中に1日20分の集中できる時間が取れれば1年間に85時間も勉強できることになります。多忙な社会人の場合、だいたい1年くらいかかると考えられるのではないでしょうか。
学生時代に英語が苦手だった方
およそ150時間〜200時間
学生時代に英語が苦手だった方はまず英文法をやり直さなければいけません。これは時間がかかってしまうと思います。英検2級に合格するためには「200時間」くらい必要かもしれません。文法書を眺めてみて理解が乏しく感じられれば英検準2級から受験するか、準2級と2級を併願することをおすすめします。週に5日、平日しか勉強できない場合、1日に「1時間〜1時間30分」近くも勉強しなければいけない計算になります。平日には数十分、週末には数時間勉強するなど、週末をうまく活用できれば1年で英検2級合格というのも可能でしょう。
高校生が必要な勉強時間
およそ80時間〜100時間
英検2級の試験は高校生が毎日勉強している英語から出題されますから、高校生であれば学校の勉強以外に、英検2級用の勉強を「100時間」程度すれば合格できると思います。学校の英語の授業を真面目に受けていればおそらく3ヶ月〜半年で合格できるはずです。
現役高校生が足りないのは語彙力ですから、1日5分、週に5日英検のために英単語を覚えましょう。すると、半年間の勉強時間の合計は10時間になります。週末など、まとまった時間が取れるときに英検2級の試験形式に慣れるための対策を毎週3時間〜4時間ほど(問題を解くのに2時間弱、答え合わせに2時間弱)できれば、半年間の勉強時間は80時間〜100時間に達します。
高校生の英検2級の合格率
ちなみに高校生の英検2級の合格率はおよそ35%程度だと言われています。現在の合格率は非公表ですが、35%前後という合格率は2016年度に導入された新形式の試験後に発表された高校生の合格率から推測されている数値です。合格率は今後高くなることはあっても、極端に低くなったり、低くなり続けたりする内容の試験にはならないはずです。
中学生が必要な勉強時間
およそ100時間〜150時間
ふつうの中学生は英検2級を受けようとは思わないはずですので、すでに英検準2級(高校1年生終了程度)に合格していることを前提とします。中学生であれば、どんなに偏差値の高い進学校に通っていても、どんなに幼い時から英語学習をしていても、語彙力と文法力が足りていないはずです。
英検準2級と英検2級の大きな違いは英語を使うと想定されている場面で、英検準2級は「日常生活」で必要な英語力であるのに対して、英検2級では「社会生活」で必要な英語力に変わります。英単語も英文法も、時事問題としても注目される社会性のあるレベルが求められます。
しかしながら、中学生で英検2級を受験しようとするくらいですから英語好きな場合が多いでしょうし、英検準2級にすでに合格していますから勉強習慣もついているはずです。英検2級合格のために必要な勉強時間は「150時間」前後ではないかと思います。週に5日、1日1時間弱、語彙強化と英文法の勉強をすることができれば1年間弱で150時間強の勉強時間を積めることになります。中学生であれば英検2級合格に半年〜1年ほどかかるのが標準的だと思います。
中学生の英検2級の合格率
ちなみに、中学生の英検2級の合格率は例年、高校生とほぼ同じ合格率でした。現在の合格率は非公表ですが、高校生の合格率が35%前後だと推測されていますので、中学生の合格率もおそらく35%前後でしょう。中学と高校という学力差がありながら合格率が同じというのは脅威です。英語が好きな子どもばかりでしょうから当然なのかもしれません。
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