英検2級のライティングにはテンプレートがあり、書き方が決まっています。ライティング対策が後手に回っている方に向けて、合格のための最もシンプルなテンプレートと、さらに直前で「あと10点(おおよその点数です)」取るための裏ワザを紹介しています。
英検2級ライティングのコツ
勉強するコツ
ライティング対策は最初に始める
ライティング対策は真っ先に始めましょう。理由は「対策に時間がかかる」からです。ライティング問題で合格点を取るためには、英語力をアップさせるより先に、まず論理的思考力を養わなければいけません。
論理的思考力とは「根拠」
英語のライティング試験では「論理的思考力」がキーワードになりますが、論理的思考力とは平たく言えば「根拠」です。例えば、英作文を「私はこう思います」という一文で始めたら、次に「なぜそう思うのか」その理由を書かなくてはいけません。「なぜそう思うのか」理由を書いたら、その理由を裏付ける具体例を書かなくてはいけません。こう書けば自ずと文章に説得力が生まれます。
「根拠さがし」に時間がかかる
英検2級のライティング問題で合格点を取るためには、この「根拠を続けていく考え方」に慣れる必要があります。そのために日頃から「根拠を考える」ことを習慣にしましょう。例えば、挨拶をしない無愛想な人を見かけて「挨拶もしないなんて(怒)」と思ったら、すぐに「なぜ挨拶をしないといけないんだろう」と考えるようにします。すぐに理由が2つ、思い浮かびますか?理由や具体例などの「根拠」を素早く見つけられるようになるのに時間がかかります。
ライティング対策に英語は必要ない
ライティング対策と言っても、まず必要なのは「理由や具体例などの根拠を素早く見つけられるようになること」です。つまり英語力は必要ありません。日本語ですぐに(3分以内に)根拠を見つけられるようにならないと、英作文の練習をしても時間ばかりが必要になります。まずは今すぐにでも「日本語で考える」ライティング対策を始めましょう。
リスニングより先に始める
試験勉強の王道の勉強法は「リスニング対策」「リーディング対策」「ライティング対策」「スピーキング対策」の順だと言われますが、私はライティング対策はリスニング対策よりも先に始めた方がいいと思います。
リスニング問題はテンプレートの宝庫
リスニング問題は、ライティングに使える表現やテンプレートが詰まっています。先にライティング対策を始めないと、この「使える表現」や「便利なテンプレート」の存在に気づかないままリスニング問題を解くことになります。それでは少々もったいない!せっかくなので、良質なリスニング英文から「使える表現」や「便利なテンプレート」をたくさん盗んでしまいましょう。
書き方のコツ
テンプレートに沿って書くこと
ライティングの書き方のコツは「テンプレートどおりに書くこと」それだけです。かっこいい英語を書こうとしたり、ウィットに富んだ英作文にしようとするとほぼ減点されてしまいます。(減点理由は論理性の欠如、一貫性の希薄さ、ケアレスミスなど)
100%自信がある英語を使う
英作文で使う英語は100%減点されない自信があるものにしましょう。採点基準には「語彙」の項目があり、豊富な語彙力をもっていることをアピールするために難しい英語を使うことは大切なのですが(それはテンプレートでしましょう=これが裏ワザです)、それでも難しくて自信がない英語を使うよりも、たとえ、簡単すぎる英単語や幼稚な言い回しになっても100%自信がある英語を使う方が合格率は高くなります。幼稚な英語が原因で減点されることはありません。試験中に怖いのはケアレスミスです。
100%自信がある英語を増やす
「100%自信がある英語」を増やすために語彙力を強化し、リスニング問題やリーディング問題から使える表現をたくさん集めます。ライティング対策から始めると、リスニング問題やリーディング問題を解く姿勢や記憶の定着率がまったく違ってきます。試験勉強全体の質が上がりますから、ライティング対策は最初に始めるのがおすすめです。
テンプレートは2級レベルを選ぶ
巷では「ライティング対策のテンプレート集」のような対策本がたくさん売られていますが、注意したい点は「英検2級のレベルに合ったテンプレートを使うこと」です。「こういう書き方もできるし、こういう書き方もできる」などというテンプレートの種類は必要ありません。
テンプレートは1つを完璧に
英検2級のライティング問題なら、覚えるテンプレートは1つで十分です。こちらでご紹介する合格に必要な基本テンプレートを徹底的に覚えましょう(100%間違えずに書ける自信がついたら他のテンプレートに進んでくださいね。難しいテンプレートは使える文脈が限られますから、覚える「1つ」を選ぶときには注意が必要です)。
テンプレートはできるだけ長く
ライティング試験に苦手意識を持っている方には長いテンプレートをおすすめします。テンプレートが長ければ、その分、自分で考える英文の量を減らすことができます。これは本物の英語力を伸ばすという点からは邪道なテクニックですが、テンプレートがある程度の量がある方が落ち着いてライティングに臨めるという方もいらっしゃいますので、ここでは1番長いテンプレートをご紹介します。
合格しやすいテンプレート
合格するために必要なテンプレートは「序論、本論、結論」の三段構成です。
I agree with the opinion that …
「私はこう思います(6語)」
書き出しは「私はこう思います」という意見表明の一文で始めます。書き方はいろいろありますが「I agree with the opinion that …」が長くて丁寧な印象でおすすめです(英検1級レベルで使うと冗長で印象が悪くなる書き方です)。否定意見を書く場合は「I do not agree with the opinion that …」と始めます。
慣れたらレベルアップ
ライティング問題に慣れてきて、自分でもある程度自由に英作文ができる方は「I think that …」に副詞を加えて
「Personally I think that …」
「I strongly believe that …」
としたり、次の書き方のように少々込み入った英語にすることもできます。
「Although some people say that…, but I believe that …」
「Some people say that …, but I do not think so.」
There are two reasons why I think so.
「私がこう思う理由は2つあります(8語)」
書き出しで「私はこう思います」と意見表明をしたら、英語の文章では、具体的な理由を書き始める前に、この文章の中でいくつの理由を書くつもりなのかを予め書いておきます。英検2級のライティングでは理由を2つ挙げるので「There are two reasons why I think so.」をこのまま覚えてしまいましょう。この文章で「文法」点も加点が見込める一文です。
First of all, …
「1つ目の理由は、(3語)」
冒頭で示した「私はこう思います」という意見を支える理由を書く部分では、理由を二つ挙げます。1つ目の理由の文章では「最初の理由は」と書き出します。
Second of all, …
「2つ目の理由は、(3語)」
2つ目の理由の文章では「Second of all, …」と書き出します。
慣れたらレベルアップ
2つの理由を書く文章の書き出しはいろいろなバリエーションがあります。
「First, …. Second, ….」
「Firstly, …. Secondly, ….」
「The first reason is that …. The second reason is that ….」
「One reason is that …. Another reason is that ….」
For those reasons, I think that …
「このような理由から、私はこう思うのです」
最後の一文には、冒頭の意見表明をくり返す内容を書きます。
慣れたらレベルアップ
他にもこのような書き方があります。
「Therefore, I think that …」
「That is why I think that …」
「In summary, I think that …」
「In conclusion, I think that …」
「To summarize, I think that …」
「For all of these reasons, I think that …」
「For these reasons mentioned above, I think that …」
「あと10点UP」できる裏ワザ
(注意)英検はCSEスコアで採点されます。CSEスコアは偏差値のように他の受験者の点数の分布や平均点など、いろいろな要素が考慮され算出されます。問題に「1問正答すれば5点ずつアップする」という単純なものではなく非常に複雑なので、「あと10点アップ」というのはおおよその点数上昇幅です。
「あと10点」を語彙で稼ぐ
語彙力アピールで「語彙」点UP
先ほど「たとえ、簡単すぎる英単語や幼稚な言い回しになっても、英作文で使う英語は100%減点されない自信があるものにしましょう」とご紹介しました。しかし、採点基準に「語彙」の項目があるのも事実。少しは難しい英単語も織り交ぜて「語彙力あります」アピールも必要です。
1. 同じ英単語は使わない
英語の文章では同じ言葉をくり返し使うことを嫌います。同じ意味を持つ英単語や英語表現を日頃からストックしておきましょう。
2. 難単語は決まり文句で
取れる点数はできるだけ取っておくために、難しい英単語は使い回せる決まり文句に仕込んでおきましょう。難しい単語は決まり文句で使うことにすれば、事前に準備できますからスペルを忘れたり、日本語訳を忘れたりする心配もありません。
難しい単語を使う効果
「語彙力あります」アピールをするために、最も簡単で最もインパクトがあるのは英作文の中に2語〜3語、ものすごく難しい英単語を混ぜることです。他の英文が多少拙くても「お、この受験者は英単語を知ってるな」という印象を残すことができます。
研究で実証された裏ワザ
「英作文でほんの一部、難しい単語を使う」というのは、マサチューセッツ工科大学のペレルマン教授が研究で明らかにした「ライティングテストでいい点を取る」ための裏ワザです。教授はライティングテストの成績が悪い学生16人に「次のライティングテストでは内容はどうでもいいから、“plethora (過剰な)” ”myriad (無数の)”といった普段は使わないが洒落た言葉を散りばめ、偉人の名言を最低2回引用しなさい」と指示しました。試験結果はなんと16人中15人がライティングテストで上位10%に入るという快挙(?)だったと言います。実験の最後に教授は「この書き方は文章力を落とすから今後は絶対にしないように」と念を押しましたが、この方法はまさに邪道な「裏ワザ」です。
英検2級ライティング問題において2級レベル以上の難単語は、教授の実験における偉人の名言の役割を果たします。他の英文が拙くても、難しい単語が2〜3語入っているだけで十分に「語彙力あるな」と思わせることができます。
10点UPできる難単語とは
言い換えられる言葉
「〜ができる」can = be able to
「〜がしたい」want to = would like to
「〜の傾向にある」tend to = be apt to
「だから」
「so」と書きたいところで「hence」を使ってみましょう。細かいニュアンスの違いはありますが、「hence」は「だから」という意味で「so」の代わりとして使えます。
「しかし」
「but」と書きたいところで「nevertheless」を使ってみましょう。細かいニュアンスの違いはありますが、「nevertheless」は「しかし」という意味で「but」の代わりとして使えます。
「例えば」
「例えば」という英語表現には「for example」と「for instance」という有名な2種類がありますが、「namely」を使ってみませんか?「namely」は「すなわち」という意味です。英作文で「例えば、こんなことがあります」と書くところを「すなわち、こんなことがあるのです」と書くことになり、同じ文脈で使うことができます。英語上級レベルの試験では頻出単語です。
高得点を取るための3つの単語
「だから」「しかし」「例えば」は、どんなトピックでも使う単語です。英検2級レベル以上の英単語(hence, nevertheless, namely は英検準1級レベルの単語です)を織り交ぜて、試験官をびっくりさせてしまいましょう。
さいごに
英検2級が英語人生を決める
邪道な裏ワザをご紹介しましたが、できれば裏ワザなどを使わなくても余裕で合格できる英語力を身につけていただきたいと思います。英検2級は日常会話レベルの最高位ですから、英検2級レベルの英語が使えれば日常会話にはほぼ困りません。
さらに英検2級というと高校までの英文法の総まとめですから、英検2級に合格すれば英文法は一通り勉強し終えたことになります。そして言うまでもなく、この英文法が今後の英語力の礎になりますから、勉強漏れのないようにしたいところです。
英検2級は高得点を狙うべき
英検2級で高得点が取れると、2級合格後も英語力がぐんぐん伸びていきます。逆に英検2級に実力不足でギリギリ合格して、準1級を目指すことになった方はほぼ伸び悩みます。中級基礎の英単語と英文法がしっかりと力になっていませんから当然とも言えます。
これから英検1級やTOEFLなどの試験を目指し、将来は「通訳として働きたい」「MBA留学をしたい」など大きな夢がある方には、英検2級レベルの英語は非常に大切になります。ここで力をつけておいて、大きく飛躍していただきたいと願います。
本気で英語力をつけたいなら
本気で英語力をつけたいなら、英検2級から本格的にライティング対策をすべきです。ライティング対策には添削が不可欠ですが、現在はまだ英検2級のライティング問題に対応している添削講座はほとんどありません。将来を見据えた英語力を鍛えたいのであれば「カナンアカデミー 」のオンライン講座がおすすめです。全6回のエッセイ課題に対して18回もの添削指導をしてくれます。
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