最近、リラックスすることの健康効果がテレビや雑誌で注目されています。イライラ防止、頭痛解消や慢性疲労の予防、血液サラサラ効果に鬱の予防と改善…リラックスは健康の要かもしれません。リラックスは陣痛の痛みにだって効果的!
▼ソフロロジー出産について最初から読む
【このページの目次】
ソフロロジー出産とは
体にやさしいお産
「リラックスをすれば陣痛の痛みが和らぐ」という効果をお産に取り入れたのがソフロロジー式分娩法です。ソフロロジー式分娩法での出産をソフロロジー出産と言うのですが、ソフロロジー出産は麻酔薬を使わずに、ママの体が持っている本来のお産の力を最大限に使って陣痛の痛みを和らげます。ママと赤ちゃんにやさしいナチュラルなお産です。
「陣痛が痛くない」の真相
ソフロロジー出産は無痛分娩ではありません。なのに、陣痛がなぜか痛くない。私はソフロロジー出産を3回経験しました。確かに「痛い」陣痛が「痛い」とは感じないという不思議な体験をしました。
ママの体の自然なお産の力
麻酔薬を使わないのに「痛い」はずの陣痛が「痛い」とは感じなくなる秘密はママの体にありました。ママの体には、陣痛の痛みからママを守るお産の力が備わっています。ソフロロジー出産でその本来の力を引き出せたら「痛くない」陣痛のスピード安産ができます。
陣痛が和らぐ3つの理由
① 伸縮する筋肉
リラックスしたら筋肉は伸びる
筋肉は、力を抜いてリラックスした状態ではびよーんとよく伸びます。ストレッチをする時のように。子宮も産道も筋肉でできていますので、リラックスをして筋肉の緊張をといてあげれば、赤ちゃんはぐんぐん下がってきます。筋肉は、力を入れればカチカチに固くなります。ボディビルダーのように。陣痛中に体に力を入れてしまうと産道が固くこわばり、赤ちゃんの進入をはじいてしまいます。
陣痛の力によって、ママが自分でコントロールできるよりはるかに強く子宮は収縮することができます。
もし、陣痛と陣痛の合間にママが上手にリラックスできれば、産道の筋肉はゆるみます。産道の筋肉は伸びれば、赤ちゃんの頭が下がってくるたびに産道が赤ちゃんの頭でゆっくりと押し広げられます。赤ちゃんの頭に押され自然な力で伸びた産道の筋肉は自然にゆっくりと戻り、リラックスすれば自然に伸びて自然に縮んでくれるのでママの体への負担が最小限ですみます。
もし、ママが力をいれてしまうと産道の筋肉も固くなります。いくら陣痛の力で外へ押し出そうとしても出口である産道が固く、赤ちゃんの頭が入りません。頭が入らなければ、陣痛で全身を押され続けても赤ちゃんは外に出られません。それでも無理に外に出ようとするのでママの固くなった産道には無理な力が入り、産道の入り口が避けたり(会陰裂傷)、産道の入り口を切り開かなければいけなくなったり(会陰切開)します。
難産の原因に
ママが力を入れてしまうことが病気のないママの自然分娩での典型的な難産の原因の一つです。力を入れてしまっては、ママが自分でお産を長引かせているようなものなのですが、陣痛中に上手にリラックスするのは簡単ではありません。そのためにソフロロジー出産では事前にトレーニングをします。
ママの体力も大切
お産が長引けば長引くほど、ママは体力を使います。ママの体力がなければ陣痛の力が弱まるので、子宮が十分に収縮できません。「陣痛が来たら、とりあえずカロリーの高いものを口に入れましょう」と言われるのは、ママの体力を保たせるためです。
陣痛中は赤ちゃんの体は子宮に圧迫されていますが、へその緒も押しつぶされています。赤ちゃんの酸素はへその緒を通して運ばれますから、陣痛中はそれでなくても赤ちゃんは酸欠気味です。長時間続く陣痛のためにママの体力が落ちるとママは息を十分に吸えなくなり、赤ちゃんはさらに酸欠になってしまいます。生まれたばかりの赤ちゃんの顔が青白いことがありますが、これは酸欠になってしまったせいです。
陣痛の力だけで出産するのが理想
ママが上手にリラックスできれば、赤ちゃんは陣痛の力だけで外に出てくることができます。薬を使わず、陣痛という自然の力でゆっくりと体が順応できるスピードでお産がすすむのでママの会陰にも負担がかかりません。
「陣痛中は赤ちゃんも痛い思いをしています。でもママに会うために頑張ってくれています。ママも頑張ってリラックスしてあげましょう」私はこの話を聞いたから、陣痛が痛くないお産をすることができたと思っています。こちらの記事を読めばきっとパワーをもらえます。
② お産を助けるホルモン
ホルモンは人間の体に備わったオーガニックな薬たち。ソフロロジー出産ではホルモンの力を最大限に引き出して安産を実現します。
鎮痛&麻酔ホルモン
陣痛の痛みを軽減させるホルモンとして最も大切なのがエンドルフィンと呼ばれる鎮痛ホルモンです。麻酔薬ほどに強力な鎮痛作用を持つエンドルフィンは「脳内麻酔」とも呼ばれ、ママの体がリラックスしていればしているほど分泌量が多くなります。
エンドルフィンはまたの名を「脳内モルヒネ」ともいい、鎮痛効果と同時に快楽感ももたらしてくれます。まさに、陣痛の痛みを「赤ちゃんに会える」という幸せなイメージで受け入れようとするソフロロジ出産には欠かせないホルモンです。
陣痛促進&愛情ホルモン
ママがリラックスしているとオキシトシンというホルモンが分泌され、お産をぐんぐん進めます。オキシトシンがたくさん分泌されればスピード安産になります。ママが陣痛にさらされる時間が短くなれば、結果的に陣痛の痛みが軽減されたかのように感じます。
オキシトシンはまたの名を「愛情ホルモン」とも言い、「幸せだなあ」「嬉しいなあ」と感じた時に分泌されるという特徴も持っています。そのため、陣痛を受け入れ幸せのイメージを持ってお産に臨むソフロロジー出産ではオキシトシンの分泌量が増え、安産になりやすくなります。
お産を妨げる闘争ホルモン
お産に関わるホルモンとしてもう一つ大切なホルモンがあります。かの有名なアドレナリンです。アドレナリンは「闘争ホルモン」とも呼ばれ、緊急時や危機的状況で役に立つホルモンで、安産の妨げになるホルモンす。
アドレナリンが分泌されてしまうと「鎮痛ホルモン」エンドルフィンや「陣痛促進ホルモン」オキシトシンの分泌が減ってしまい、陣痛が長引き、痛みが強まります。アドレナリンは、自分の命がかかったような緊迫した状況で全力を出して逃げるためのホルモンですから、リラックスなどしていられるわけもなく当然と言えば当然です。
▼ 実はラマーズ法の呼吸は「闘争の呼吸」と呼ばれ、アドレナリンの分泌を促してしまっていました:
「アドレナリンが出て興奮しちゃったよ」などと日常的に使われるようになった名前ですが、アドレナリンが出ている状態は人の体にはよいことではありません。体によくないことはお産においても同じです。アドレナリンはお産の進行を妨げるだけでなく、血管も収縮させてしまうので赤ちゃんへ送る酸素にも悪影響が出てしまう恐れがあります。
リラックスすれば全て解決
ホルモンの分泌バランスは、ママがリラックスしているとママを守ってくれるホルモンがたくさん分泌され、お産を妨げるホルモンの分泌は抑えられ、お産に最も望ましいホルモンバランスに近づきます。ソフロロジー出産を希望するかどうかに関わらず、安産のためにリラックスできるよう頑張りましょう。
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③ 痛みを緩和させる意識
ママの意識を「痛み」から遠ざけると陣痛の痛みを軽減できます。脳科学的には、脳が知覚する痛みの情報量は本人の意識の有無である程度コントロールすることができるのだそうです。つまり、自分が「痛い、痛い」と思っていると痛みはどんどん強くなり、痛みのことなんか気にしないようにしていると痛みはいつの間にか弱くなるというわけです。
「本人の意識」と「痛みの程度」が関係していることは、例えば、プロ野球選手やオリンピック選手などが大切な試合を前に怪我をしてしまい、怪我をおして試合に出場し、試合後に改めて検査をしたら全治2ヶ月の大怪我だったなどというニュースが最たる例でしょう。
陣痛中のママにとっては、試合前の怪我が「陣痛」で大切な試合が「赤ちゃん」です。陣痛中に「陣痛の痛み」よりも、ママにとってずっと大切な赤ちゃんへ意識を向けることができれば、「陣痛の痛み」は相対的に弱まったように感じられます。
具体的には
お産の間はこのような一種の使命感は大切です。辛い陣痛中でも「自分のやるべきことが分かっている」と精神的に大きな支えになってくれるのは、お産でも同じです。
ともすれば、どんどん強くなる陣痛の痛みに翻弄されて
しかし、自分の置かれている状況をなんとか落ち着いて理解して、「赤ちゃんに酸素を送れるのは自分しかいない」から「深く息を吸わなくてはいけない」と考えてよい呼吸法をします。「赤ちゃんが出ようとしているのを、ママである自分が妨げてはいけない」から「体の力を抜いて筋肉を緩めなければ」と考えてよいリラックスをします。
陣痛という極限の状態でもよい呼吸とよいリラックスができるように妊娠中からお産の模擬練習とイメージトレーニングをしてみませんか?
さいごに
ママがゆったりした気持ちで体の力を抜き、きちんとリラックスできれば、ママの体に備わっている「会陰の伸び」も「ホルモンの助け」も「意識的な麻酔効果」も最大限に活かすことができ、お産はすすみ、陣痛の痛みは軽減され、安産になります。
トレーニングは簡単
ソフロロジー出産のイメージトレーニングは「CDを聞き流すだけ」で、CDを聞きながら寝てしまってもいいし、毎日聞かなくても効果は期待できます。
ソフロロジーCDは作れます
ちなみにイメージトレーニングCDは1050円。CDは手作りすることもできます。
イメトレはしなくてもOK
ソフロロジー出産のイメージトレーニングの「負の感情」や「幸せのイメージ」という考え方が性に合わない方はソフロロジーのイメージトレーニングをしなくても、陣痛中にリラックスをすることさえできればストレスの少ないお産になると思います。
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