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読み聞かせ知育とは
小学校入学までに600冊の絵本を読み聞かせ、多読と精読の読み聞かせ方を使い分けることで心と知性を育て、論理的思考力を鍛える絵本を使った知育法です。
五感で感じる読み聞かせ
読み聞かせ知育の読み聞かせ法にはいくつかのやり方があります。その中の一つをご紹介します。絵本を使って五感を働かせる「体感型読み聞かせ法」つまり「絵本を読んだあとに、絵本の中に描かれていたことを子どもが実際に体で感じてみる」方法です。
絵本を体で感じると…
読んだことを体で感じ、自分の経験として蓄積できれば、理解が深まるだけでなく、知識が経験に裏打ちされることで自分の知恵として応用し利用することができるようになります。
子どもの感性は鋭いですから、絵本の中で体験した世界をすみずみまで感じとっています。しかし子どもの言語的理解は不十分ですから、せっかく感じとった貴重なものもすぐに忘れ去られてしまいます。
絵本の世界を実際に体で感じることができれば、絵本で感じとったものは理解になり、知識になり、記憶に残り、お子さんのこれからの学びの土台となってくれるでしょう。
絵本を体で感じるには…
すてきな絵本を読んだら、ちょっとだけ親が手助けをしてあげましょう。絵本の中で感じたものを、実際に体で感じさせてあげるのです。
「ちょっと一緒にやってみようか」とお子さんを誘ってあげてください。難しい説明をする必要はありませんし、知識を与えようと何かを押し付ける必要もありません。
ママ&パパの「ちょっと一緒にやってみようか」が、お子さんにとって十分な学びになります。ママ&パパと一緒に何かをする経験とき、お子さんの脳は最も活発に働きます。
ママ&パパに詳しい知識がある分野であれば、お子さんはママ&パパの専門知識をすぐにぬすんでしまうことでしょう。ママ&パパにも初めての経験であれば、一緒に興味をもち「もっと知ろう」とすることでお子さんは「知らないことを知る」楽しさと学ぶ姿勢を学びます。しかし時にはママ&パパが事前に「予習」をする必要があることもあるかもしれません。
体感型読み聞かせのやり方
0歳から3歳までの未就学児の体感型読み聞かせは3ステップでおこないます。まず「理解を深め」、それから「絵本をもっと楽しんで」、最後に理解したことと楽しんだことを「記録に残す」の3ステップです。
1 絵本の理解を深める
絵本の中の日本語は子どもにとって意外と難しいものです。0歳から3歳の乳幼児にとっては初めて聞く言葉も多いものです。
しかし絵本を味わう上では問題ありません。ママやパパがやさしく読み聞かせてくれますし、絵本には絵という最高のヒントがありますから。
せっかく絵本を読み聞かせるのですから、ただ味わうだけでなくお子さん知識の糧になってほしいと思います。ですから、まずは絵本の理解を深めましょう。
やり方は主に二通りです。
① 難しい日本語表現を体験させる
絵本の中に難しい日本語が出てきたら、その日本語をお子さんに体験させてあげてみてください。
例えば『はなをくんくん』という絵本の「くんくん」という表現は、2~3歳くらいの子どもには難しい表現です。ママやパパと一緒に「くんくん」とすることで、それが「においを嗅いでいる動作」であることを楽しく学ぶことができます。
② 難しい日本語表現を表現させる
絵本の中にある難しい日本語で体験しにくいものは、表現してあげるのがおすすめです。
例えば『てんてんてん』という赤ちゃん絵本には基本的な擬態語が出てきます。「てんてんてん」では、指で赤ちゃんのお腹を「てんてんてん」と3回指で押してあげます。次の「ぐるぐるぐる」では、赤ちゃんのお腹に「ぐるぐるぐる」と指でうずまきを書いてあげます。
お子さんが絵本に書かれている日本語を十分に理解できたら、いよいよ絵本を「楽しむ」ステップへ進んでみましょう。
2 絵本で想像を楽しむ
絵本は、絵本の中に描かれていないことを楽しむとき、お子さんの想像力をぐんぐん育んでくれます。
0歳から3歳の乳幼児にとって、絵本に描かれていないことを想像し、想像したことを言葉にするというのはとても難しいことです。
例えば「このウサギさん、このときどんな気持ちだったと思う?」などと聞いても、お子さんはきっと何も答えられないと思います。それはお子さんが何も考えていないわけではありません。感じていることを説明する言葉の力が追いついていないだけです。
ですから、お子さんに馴染みのあることから少しずつ言葉にすることで、親子で会話をしながら少しずつ絵本の外を想像できるようにステップを踏んであげましょう。
0歳から3歳までの乳幼児への語りかけでおすすめのステップは3段階です。『思い出す』『想像する』『記録する』です。
① 読んだことを『思い出す』
小さなお子さんに以前読んだ絵本を思い出させる方法には、主に2つあります。
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他の絵本を使う方法
絵本を読んでいる時に、以前ほかの絵本で読んだものに出会ったら、以前読んだその絵本を手元にもってきて、2冊の絵本を並べて「これもウサギさんだよ、こっちもウサギさんだね」と同じだということを一緒に確認してあげましょう。
慣れてきたら「でも、耳の色がちょっと違うね」などと違うところを探して、言葉に出して確認してみるのもおすすめです。お子さんの語彙が増えますし、観察力や比較力がつきます。
例えば『かくかくしかく』という絵本には「えんぴつ」や「どあ」など家の中にある身近なものの名前がたくさん出てきます。絵本を読んでいて「この部屋のドアはアレだよ、しかくいね」などと語りかけたり、玄関を出るときに「かくかくしかくなーんだ」と絵本の中のフレーズを言ってあげると、お子さんは想像以上に喜ぶかもしれませんよ。
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外で出会いを利用する方法
絵本を読みながら、お子さんが近所で似た経験ができないかどうか注意して読んでみましょう。
花が咲く絵本を読んだら花の咲くころに出かけてみたり、動物の絵本を読んだら動物園に連れていってみたり、絵本の世界を外で体験できるような機会を作ってあげてください。
些細なことで構いません。例えば「かささしてあげるね」という絵本のテーマは「雨」であり「かさ」ですが、雨の降った日に道ばたの草に「かささしてあげるね」と言ってみてください。このたった一言で、お子さんは絵本に出てきた動物やかさや雨のようすや、ママの声やぬくもりをすべて思い出すことでしょう。
1歳から3歳までは「思い出す」ことを上手にできませんから、日頃から少しずつ練習してみましょう。思い出すことに慣れますと、記憶することにも意識が向くようになります。そのため記憶力と想起力の両方が鍛えられますし、知的好奇心も広がります。なにより親子の会話がはずみます。
② 絵本に描かれていないことを『想像する』
絵本での語りかけは親子の自由な会話ですから、想像することも何でもいいのです。ふと頭に浮かんだことやお子さんに聞いてみたいことを何でも「語りかけ」てみてください。
そうは言いましても、自由に想像するというのは大人でも難しいことがあるものです。
ここで絵本に描かれていないことを『想像する』ためのヒントを2つ、ご紹介します。一つは「登場人物の行動」からアプローチする方法、もう一つは「絵本のその後」からアプローチする方法です。
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「登場人物の行動」からアプローチする方法
登場人物の行動の理由を想像してみましょう。
例えば『すりすりももんちゃん』という絵本では、みんながももんちゃんに「すりすり」するのですが、なぜ、みんなはももんちゃんに「すりすり」したがるのでしょう。
こう考えると、ももんちゃんの性格や日頃の行動などに想像を広げることができないでしょうか。
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「絵本のその後」からアプローチする方法
「絵本のその後」からアプローチする方法では、絵本の物語のその後のストーリーを想像するやり方です。
例えば『さんぽのしるし』という絵本では、最後に「ふたりのしるし」というしるしが出てきて、ウサギさんとネズミさんが二人で仲良く小舟に乗ります。
仲良くなったウサギさんとネズミさんはこの後どうしたでしょうか。
ウサギさんは小舟に乗せてくれたお礼に、ネズミさんを自分の家に招待してごちそうしたかもしれません。もしかしたら今流行の「海賊王」になるために、このまま小舟で大海原へ冒険に出かけたかもしれません。
答えなどありません。お子さんの自由でたくましい想像力にきっと驚かれることでしょう。これから知識や常識を身につけると徐々に薄れていく力でもあります。今の時期のお子さんの無限の想像力を満喫してください。
お子さんが少々トンチンカンなことを言ったとしても否定しないであげてくださいね。他愛ない絵本の空想話ですが、「自分の意見をきちんと言葉で伝えること」「他人の意見に素直に耳を傾けること」につながる大切な練習です。自分の意見を否定された子どもは、人の意見を否定する大人になってしまう可能性があります。
絵本のもう一つの楽しみ方
最後に、絵本のもう一つの楽しみ方をご紹介します。
絵本には語りかけをしやすい絵本と語りかけをしづらい絵本があります。後者は、絵本を読んだ後に言葉をつけ加えてしまうと絵本の世界や余韻や感動を壊してしまう可能性があります。そのような絵本は黙って言葉のない時間を楽しんでください。
例えば『どんなにきみがすきだかあててごらん』という絵本があります。チビウサギが寝てしまった後のデカウザギの最後の一言が秀逸です。この絵本は、言葉で語りかけるのではなく、この物語自体をただただ何度も何度もくり返し読んであげたい絵本です。
同じ絵本を何度も何度も読んでもらいながら、お子さんは想像力をかき立てて、絵本の世界を味わっています。ただ残念なことに、子どもの想像力がフル稼働しているさまを大人は知るすべがありません。
③ 学びを記録と記憶に残す
絵本の読み聞かせをした記録を取ってみませんか。きっとお子さんの大切な記憶になることでしょう。
絵本に、その絵本を買った日付を書いたり、その絵本を読んでいる写真を貼ったり、ママとパパからのメッセージを残したり、その絵本に関連するすてきなエピソードを記録しておいたり。ママ&パパなりの工夫をして残しておいてあげると、お子さんは自分がいかに愛されていたのかを目で見て、手で触ることができますよ。
絵本の教育的効果
時おり、絵本と知育を組み合わせてお話をすると、知育の教育的な効果に拒否反応を示すママ&パパがいらっしゃいます。無理に「知育だ」「教育だ」と構える必要はまったくありません。絵本を読んであげるだけでお子さんはたくさんのことを感じ、学び取るに違いありません。
絵本の読み聞かせのねらい
絵本の読み聞かせの一番のねらいは、子どもに絵本の楽しさを教えてあげることです。絵本は作家がたくさんの思いを込めた絵と文の芸術作品ですから、読んであげればお子さんは必ず何かを感じとります。それこそが大きな学びです。
子どもが絵本を好きになる瞬間
子どもが絵本をもっと好きになるのは「本を開くと、そこには知らない世界が広がっていること」「絵本を読んだら、知らなかったことを知ることができる」そして「『知らなかったことを知る』って「楽しい」んだ!」ということを経験した時です。
絵本が好きになれば、本を読むこと、つまり知識を得ることに積極的になります。絵本が好きな子どもは義務教育期の成績が優秀であるという報告もあります。
ママとパパが毎日くり返し読んでくれるからこそ、絵本はずっと楽しく、新しい発見に満ち、お子さんは知らず知らずに多くのことを学びます。これができるのはお子さんが一緒に暮らしているママとパパだけです。すてきな絵本をどうぞたくさん読み聞かせてあげてください。
この記事がお子さんへの絵本の読み聞かせに役立てば嬉しく思います。
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