今は「歴史学習は歴史マンガで始めるべし」は常識!? 小学1年生から楽しく読める日本の歴史のマンガをご紹介。
【このページの目次】
易しい順にご紹介します
こちらでは、低学年におすすめできる内容の歴史漫画を簡単で読みやすい作品から順にご紹介しています。
いずれは4大『日本の歴史』へ
こちらでご紹介する歴史マンガは(たとえ「中学受験に対応」がウリの『朝日小学生新聞きのうのあしたは』であっても)こちら1冊では十分とは言い難く、歴史への興味と読書力が十分に育ったら4大『日本の歴史』へすすまれることをお勧めいたします。
『スタディスタジアム』
この本は、主人公の少年がパズルを集めるという冒険物語です。各章末には「もっとくわしく」という解説と練習問題がついています。
この本の強みとおすすめ度
メリット
この本は、後ほどご紹介いたします『歴史漫画タイムワープ』と同じく、架空の主人公が冒険するタイプの歴史漫画です。キャラクターものではないけれど、キャラクターの立った主人公がいることで読みやすくなっています。
こちらの『スタディスタジアム』は「おばあさんが川で洗濯をしていると空から桃(の形をした何か)が落ちてきて、中から少年が登場する」という、なんともインパクトの強い始まり方をしています。現在の小学生向け歴史漫画の中では学習性と娯楽性のバランスがもっとも良く、子どもにはもっとも娯楽漫画のような感覚で読める本ではないかと私は感じています。そのためか、「他の歴史漫画は見向きもしなかったのに、この本だけは『ジャンプ』と同じくらい夢中になって読んでいる」などといった口コミも多く見受けられます。
また、後ほどご紹介いたします『ドラえもんの社会科おもしろ攻略』の大きなメリットである「全3巻にコンパクトにまとまっている」という特徴も合わせ持っています。小学生に歴史漫画を買い与える場合、中学受験が目前に迫っているという状況でなければ「歴史がなんたるかもわかっていないのに一気に十何巻もそろえるのは心配」という方が多くいらっしゃいます。そのような方に全3巻の『ドラえもん』シリーズは人気だったのですが、『ドラえもん』シリーズは若干難解です。低学年で読むには親のサポートが必要でした。こちらの『スタディスタジアム』は、早いうちから歴史に触れさせてあげたいというご家庭や、キャラクターものの学習漫画を敬遠したいというご家庭に絶大な人気があります。
デメリット
この本のデメリットは『コナン』シリーズに比べると求心力が弱く(漫画としての娯楽性は同程度かもしれませんが)、『ドラえもん』シリーズに比べると学習要素に欠けるところです。
今ではボロボロになってしまったほど貪るように読んだというご家庭でも「最初は『よくわからない』と言って反応が良くなかった」という方も少なくありません。また、各章末に解説と練習問題がついていますが、こちらを活用しているというご家庭はほとんどいらっしゃいません。口コミを見ても「解説や練習問題は飛ばしてマンガ部分しか読んでいませんが、子どもが喜んで読んでいるので買ってよかったです」などという内容です。
まさに、デメリットはメリットの裏返しと言ったところでしょうか。
『日本史探偵コナン』
この本は、過去に飛ばされてしまった現代の子どもたちをコナンたちが助けてくれるというタイムスリップ系の歴史マンガです。どの巻からでも読み始めることができ、小学生の日本史デビューにはぴったりの本です。小学1年生から読めます。
全12冊 参考価格12,700円
この本の強みとおすすめ度
メリット
キャラクター学習本には賛否両論ありますが、子供にとってはやはり「手に取りやすい本」と言えます。この本の強みは、コナンが好きな子であれば小学1年生からでも楽しく読み進められることです。原作が青山剛昌氏ですから『名探偵コナン』の魅力をそのまま引き継いでいます。
各巻のマンガの始まりも原作漫画やアニメによく出てくる「蘭姉ちゃんと小五郎のおっちゃんの毛利探偵事務所」や「少年探偵団がいる小学校」ですからスムーズに読み始められます。
また「どの巻からでも読み始められること」は嬉しいメリットです。歴史を学ぶのだと気負うことなく、たまたま目にした歴史的資料や歴史上の人物について疑問に思ったその時にその時代のマンガを開けます。
低学年のうちから歴史に興味を持ってもらいたいご家庭にはピッタリの1冊です。どの巻からでも読めますし、お子さんが歴史に興味を持つことができたら全巻を読まずとも2~3巻でも十分な役割を果たしてくれます。
デメリット
コナンの絵に関しまして、表紙のみ原作者である青山剛昌氏の手によるものですが、中身は他の方が作画をしていますので大人は違和感を感じます。
内容も原作が青山剛昌氏ですから『名探偵コナン』によくあるトラブルに巻き込まれはするものの、歴史を学ぶ内容にするためにコナンを過去へ連れて行かなくてはいけないという制約がありますから、大人にとってはそれほど展開が面白いわけではありません。お子さんが中高生になれば恐らく楽しめなくなるのではないでしょうか。
コナン漫画の部分は高学年になってからでも読めるようなのですが、歴史漫画としての内容はそれほど深くはありませんから高学年の子には易しすぎます。おすすめは、日本史に初めてふれる低学年から中学年まででしょう。
キャラクター本の強みは子どもの興味をひきやすいことですが、その魅力が逆にデメリットになることもあります。低学年のうちにこちらのようなコナン漫画を読み始めた場合、「しばらく子ども任せにしていたらコナンの原作漫画を読むようになり学習漫画(および勉強そのもの)に見向きもしなくなった」というケースも少なくありません。声かけなどでキャラクターではなく、歴史の方に興味を持たせるような声かけをしたり、お子さんが歴史に興味をもったらすぐに次のレベルの歴史学習本に切り替えたりするなど、ご家庭で何か工夫をされた方がよろしいのかもしれません。
低学年のうちから歴史に興味を持ってもらいたいご家庭にはピッタリの1冊ですが、この1冊では足りません。この日本史探偵コナンシリーズはサクッと卒業して、より本格的な通史マンガに移行されてください。
『はじめての日本の歴史』
タイトルのとおり「初めての」日本の歴史の学習にぴったりです。簡単で読みやすいのに内容はしっかりとしていますから、歴史を先取りする1年生にも、歴史に苦手意識を持ってしまった6年生にもおすすめできます。
全15冊 参考価格12,600円
この本の強みとおすすめ度
メリット
こちらの本の難易度は『日本史探偵コナン』シリーズとほぼ変わりませんが、表紙に見慣れたキャラクターがいる方が万人受けするためにコナンシリーズを先にご紹介しました。特定のアニメキャラクターによる学習漫画を避けたいご家庭にはこちらがおすすめです。
この本のメリットは、歴史に関係のない場面が多いことです。歴史の流れを追ったマンガはどうしても複雑になってしまい、小学生には読みづらくなってしまいがちです。
しかし、このマンガは史実を伝える少々退屈な部分と、歴史とはまったく関係のない楽しい会話やギャグ場面の部分が絶妙に絡められています。
「他の『日本の歴史』はダメだったけれど、この本は最後まで読んでくれた」という口コミ多数。
デメリット
内容は小学歴史レベルですが、情報量は多くはありません。この本で中学受験対策をするのは無理があると思います。中学受験を目指す低学年から中学年のお子さんの先取り入門書にはおすすめです。
『歴史漫画タイムワープ 通史編』
『日本史探偵コナン』と同じくタイムスリップ物。各時代にタイムワープする3人の小学生がそれぞれの時代独特のトラブルに巻き込まれながら現代に戻る方法を模索するマンガです。旧『歴史漫画サバイバル』よりも学習コラムが充実。
全14冊 参考価格16,800円
この本の強みとおすすめ度
メリット
主人公の小学生3人が歴史の重要人物たちと出会いながらピンチを切り抜けます。マンガを読みながらタイムスリップを疑似体験することで歴史を学べます。低学年の子どもにぴったりのストーリー展開と楽しいギャグが満載で、各巻のストーリーも「中だるみすることなく最後まで読み通せる」との口コミ多数。
こちらの『タイムワープ』シリーズは、先ほどのコナンシリーズやはじめての日本の歴史シリーズよりも解説が充実していますので、漫画と教科書の橋渡しをしやすいのが特徴です。
デメリット
歴史上の人物よりも主人公である小学生のストーリーが中心に展開されますので、歴史マンガとしての内容はそれほど深くはありません。歴史学習の詳しい解説や注釈は欄外やまとめページに記載されていますが、これをお子さんがすすんで読むかどうかは疑問です。また、セット売りされていますが「縄文時代」と「江戸文化」の2冊が含まれていませんので別途購入する必要があります。14冊で16,800円というのも少々お高めでしょうか。
『ドラえもんの社会科おもしろ攻略 日本の歴史』
ドラえもんが各時代に行って、のび太と一緒に大活躍するストーリー歴史マンガです。内容はかなり本格的。
全3冊 参考価格2,800円
この本の強みとおすすめ度
メリット
監修は中学受験連勝校である浜学園です。内容は、表紙のドラえもんからイメージするよりも難しいと思いますのでご注意ください。小学1年生は親のサポートが必要になるかもしれません。読書好きのお子さんでしたら2年生くらいから一人で読めます。「この本にハマったのは4年生や5年生」と、低学年からも読めますがこの本にすっかり夢中になるのは中学年以降かもしれません。
内容は非常にしっかりしていて、中学受験対策の最初の1冊におすすめです。この本の強みは全3冊と巻数が少ないことです。これだけの充実した内容がコンパクトにまとめていますので、時代の流れをとらえることができます。マンガ自体が読みやすいので歴史が苦手な中学生のイメージづくりにも使えます。
小学館のドラえもん学習漫画シリーズはAmazonなどの販売サイトでは「試し読み」がないことが多いのですが、小学館の公式サイトから中身を確認することができます。
デメリット
中学受験で有名な浜学園の監修というと、中学受験の参考書のように使えると思われる方もいらっしゃるようですが、この本だけで中学受験をするのは少々難しいかもしれません。この本は歴史の流れをつかみやすい分、成績に直結する歴史用語などの記憶定着率はそれほどよろしくはありません。こちらはあくまでも入門書としておすすめです。
『朝日小学生新聞 日本の歴史』
現代の小学生が過去の時代にさかのぼり歴史を体験していくタイムスリップ物。第1巻の旧石器時代から最終巻では明治、大正、昭和、そして平成まで読むことができます。
全7冊 参考価格9,000円
この本の強みとおすすめ度
メリット
この本の特徴は公式に「中学受験に対応」と銘打っていることです。そのため、歴史マンガだけではなく、学習教材としての要素も盛り込んでいて、各章の終わりには「音読シート」「歴史用語書き取りプリント」「確認テスト」がついていて知識の確認ができるようになっています。
字が大きくて、1ページを読むのに時間がかかりません。さくさくとページをめくって読み進めることができますので、途中で飽きずに歴史の流れをつかめます。歴史の流れをつかむという点では先ほどの『ドラえもんの社会科おもしろ攻略日本の歴史(全3巻)』よりも、こちらの朝日小学生新聞のものの方がおすすめです。
漢字にはルビがついていますし、注釈も易しく解説してくれています。小学1年生は親のサポートが必要になるかもしれませんが、「中学受験に対応」している本ながら、読書好きのお子さんでしたら2年生くらいから一人で読めます。
朝日小学生新聞では人気No1で、このマンガが読みたくて朝日小学生新聞を購読しているという人も。また、このマンガはタブレット学習教材「スマイルゼミ」でも配信されていますがスマイルゼミでも非常に人気で、「タブレットで読むだけでは満足できずに子どもにせがまれて全巻購入することになった」などの口コミ多数。
デメリット
「音読シート」「歴史用語書き取りプリント」「確認テスト」など参考書的な雰囲気が強いマンガですので、マンガ作品としてではなく学習マンガとして見せてあげる必要があるかもしれません。
内容は「中学受験に対応」していますので、各時代で学ぶべき重要項目はしっかりと押さえることができますが難関中学受験には簡単すぎます。(難関中学を目指す場合は集英社レベルが必要になります)
『ねこねこ日本史コミック』
低学年には少々読みにくいのですが、お兄ちゃんやお姉ちゃんの影響で低学年から読み始めたお子さんは総じて「歴史大好き」になっている良書です。NHK「Eテレ」発のコミック本で、日本の歴史をすべて猫の習性で語った変わり種。
全7冊 参考価格6,000円
この本の強みとおすすめ度
メリット
この本の強みは「忘れないこと」です。「ねこねこ」という強烈な個性がありますから、記憶の奥深くに残ること間違いなし。例えば、関ヶ原の戦いで小早川秀明が裏切るのは「猫は水が嫌いだから」。他にも、千利休役の猫は豊臣秀吉役の「サルと気が合わずに」切腹させられたりしています。
内容は表面的で歴史学習としては語彙習得程度しかありませんが、日本史の重要な内容は網羅されていて、解説も比較的しっかりとしています。そして『ねこねこ日本史』の知識を忘れないとなると、歴史学習はこの本の情報を核にして「知識の肉付け」をしていくことができますので、歴史学習の土台としては非常におすすめです。
「(ねこが)かわいい」「(読んでて)たのしい」「わすれない」と三拍子揃ったこの本は、特に中学受験をしない小学生がゆっくりと楽しく歴史学習を始められます。
デメリット
こちらのコミックは子ども向けに書かれたわけではないので、漢字にルビはふっていませんし、表現も少々大人びているところがあります。
子ども向けでより勉強色の強い『ねこねこ日本史でよくわかる日本の歴史』もありますが、読んでいて面白いのは『ねこねこ日本史』の方だと思います。
強烈なインパクトで一度読むと忘れないのはコミック版。「歴史嫌い」「歴史無関心」になる前の子どもたちに是非読ませてあげたい1冊です。
マンガ『古事記』
「古事記」で成績アップ!?
「古事記が家にあると歴史の成績が落ちない」というジンクスをご存知ですか? 実際には、古事記を読んだことがあると飛鳥奈良時代で歴史嫌いになることが少ないために、結果として「歴史が好き」だから「成績がいい」のではないかと私は思っています。
古事記と日本書紀が最初の壁
小中学生にとって古事記と日本書紀は日本史で最初につまずく壁であるとも言えます。歴史が苦手だという学生にどの辺りが分からないのかを問うと多くの子が「古事記とか日本書紀とかから分からなくなった」「古事記とか日本書紀とか出てきてから難しくなった」などと答えます。
古事記と日本書紀は小中学生にとっては、縄文土器から始まる歴史用語の暗記が始まり、推古天皇や大化の改新くらいまで何とか喰らい付いてきた子が古事記と日本書紀の「き」の漢字で大きくつまずきます。
高校生になるとさらに難解に
高校生になるとさらに知識が付加されて、古事記は太安麻呂が編纂して推古天皇までを、日本書紀は舎人親王らの撰で持統天皇の時代までを扱っている違いや、古事記は日本書紀とは違って勅撰の正史ではないけれど元明天皇に献上されていることなどを学び、「やはり歴史は暗記教科だ」と日本史が苦手になってしまう学生が多くなります。
マンガ古事記で最初の壁突破
古事記を読んだことがあるお子さんは「古事記」「日本書紀」で日本史につまずくことがほとんどありません。すでに「古事記は神様がたくさん出てくるお話だ」という基礎知識が身についているからです。姉弟のご家庭で「お姉ちゃんは読んだけど弟は見向きもしなかった」という場合でも表紙の「神様」は記憶しているのか、飛鳥奈良時代での脱落率は高くありません。
さらに「古事記」の「記」は日記の記であり記録の記でありますから、小学生には馴染みがある漢字です。日本書紀を学習すれば「授業で習った日本書紀が難しい方の『紀』だったな」と記憶しやすく漢字ミスもほとんどしません。
おすすめはこちら
『学研まんが日本の古典』
(Amazon商品紹介)「古事記」をまんが化。話の流れがつかめるまんがと、まんがを補足解説したコラムで、楽しみながら「古事記」の世界を知ることができる。初めて「古事記」を読む人でもすらすらと読めるので、入門に最適。手軽に学習したい中・高生、大人にもお勧め。
『古事記』を漫画にした本は数多くありますが、個人的にはこちらの本がもっとも万人受けしやすい絵なのではないかなと思っています。男性にも女性にもそれほどストレスを感じないのではないでしょうか。
内容はかなり簡潔にまとまっています。全1巻ですから仕方ありませんが、内容の物足りなさは章末の解説で補われています。内容としましては小学校低学年におすすめできるレベルです。「年長の時から楽しく読んでいます」という口コミも。
易しい本を読み終えたら
歴史への興味が成熟したら『まんが日本の歴史』および『歴史人物マンガ』へと徐々に読む作品を増やしていくと知識が重層的に、理解は多角的に深まりますのでおすすめです。
コメントを残す