妊娠おめでとうございます! 読み聞かせは胎教だけではなく幼児知育にも効果的。良質な昔話絵本は日本古来の美しい音をできるだけ後世に残そうと再話されたものです。先人たちの愛情たっぷりの絵本の中からお気に入りの1冊を選んでみてはいかがですか?
<元幼児教室講師の読み聞かせ知育ブログ>
【このページの目次】
昔話絵本のすすめ
昔話絵本の胎教効果
胎教には科学的根拠が示されていませんが、幼児教室で優秀なお子さんのママはみなさん「胎教が楽しかった」と言っていました。胎教の “胎教”効果には根拠がなくとも、胎教の知育効果には経験則的に効果を感じられます。
おすすめは昔話の「再話」絵本
昔話絵本はできるだけ忠実に再話されている作品がおすすめです。古めかしい日本の響きの中に日本語の美しさがあります。不思議なことに昔話の再話絵本を買ってもらったことのあるお子さんは中学高校での古文漢文の成績が平均的に優秀です。直接にはまったく関係ないのに、人間の脳はもしかしたら母国語の美しさを認知できるのかもしれません。
胎教の昔話絵本の選び方
アニメ的な挿絵や要約版は「自分読み」に
アニメのような挿絵やセリフも状況説明もすべて現代語で書かれた読みやすい昔話絵本には昔話絵本だけが持つ読み聞かせ効果はほとんどなく、ふつうの絵本とまったく同じ読み聞かせになってしまいます。敷居の低いこのような昔話はお子さんがもう少し大きくなられてから「子どもが自分で読む」昔話絵本として使うと効果的です。
胎教としての昔話の選び方
忠実に再話されている昔話絵本の中にはかなり「人が殺される」ストーリーが含まれています。『本当は恐ろしいグリム童話 (WANIBUNKO)』などでも話題になりましたが、昔からの民話や伝承には子どもに人の死を身近に感じさせる役割も含まれます。このような昔話は子どもの知育には重要な面もありますが、妊娠中にママの気分が落ち込むことには大きなデメリットがありますので胎教としての昔話選びには注意が必要かもしれません。
登場人物が殺されてしまう有名な昔話
『かちかち山』『さるかに合戦』など。
胎教におすすめの昔話
『おむすびころりん』
おすすめポイント
この昔話の一番の魅力は「おむすびころりん すっとんとん」という響きのよいリズム。分かりやすく楽しげな響きはお腹の赤ちゃんにも届いています。日本古来のねずみ浄土話を描く『おむすびころりん』絵本は多くの出版社からいろいろな絵本が出ていますが、一番のおすすめはリズミカルな語り口で日本の美しい音を今に伝える与田絵本。与田準一氏は日本の児童文学界・童謡界を開いた人物ですから、絵本を読むなら与田作品に限ります。しかし、与田作品は少々とっつきにくいのも特徴ですから、赤ちゃん自身にまだ好き嫌いのない胎教でこそ与田の日本語をたくさん聞かせてあげたいと考えます。
『桃太郎』
おすすめポイント
胎教としてではなく絵本の読み聞かせのために、仮に「おすすめの絵本を1冊だけ」と聞かれれば『ももたろう』をおすすめされるのではないでしょうか。特に松居直氏と赤羽末吉氏の黄金コンピが組んだ名作中の名作。この作品の中では桃太郎は鬼を殺さずに盗んだものだけ返してもらって許す展開になっているので、妊娠中でもほっこり優しい気持ちになれる気がしておすすめできます。
『笠地蔵』
おすすめポイント
人のやさしい心をじかに感じることができる昔話といえば『笠地蔵』が一番だと思います。昔話にありがちなユーモアも展開のひねりもほとんどなく、お地蔵さまが恩を返してくれるだけという「人にかけた優しさはいつか自分に返ってくる」シンプルなストーリーです。赤羽末吉氏のデビュー作である本作の絵の美しさも、気分の不安定になりがちな妊娠中にとてもおすすめです。
昔話絵本の第一人者である赤羽末吉さんのデビュー作です。当時、赤羽さんの「日本の子どもに日本の雪の美しさを見せたい」という強い思いに触れた編集者が選んだのは、「笠地蔵」の物語でした。昔話を再話するにあたっては、独特の美しい語り口で子どもたちに物語を伝えることのできる瀬田貞二さんにお願いしました。
Amazon.co.jp「かさじぞう」より
『かぐや姫』
おすすめポイント
女の子に大人気の昔話『かぐや姫』は『竹取物語』や『竹取の翁物語』としてずっと日本人に親しまれてきた神仙的女性の離別の物語です。『竹取物語』は高校古文でも頻出作品です。女の子だけでなく男の子にもぜひ親しんでほしい日本最古の創作物語。絵本として読むのであれば、こちらの岩崎書店の『かぐや姫』をおすすめします。この作品は登場人物や宝物の名前など昔の響きがたくさん出てきます。古めかしくなりがちな文章に対して挿絵が現代的すぎたり、挿絵に引きずられるように文章自体が原作を再現することを諦めてしまった感のある絵本が多く、古典の名作に美しくかつ分かりやすい挿絵を添えるのがいかに難しいかがよく分かります。
『文福茶釜』
あらすじ
和尚さんが買った茶釜は洗うと痛がり、火にかけると熱さに耐え切れず動き出す気味が悪い茶釜だった。和尚さんから茶釜を買った古道具屋は茶釜が仲間との化け比べで元に戻れなくなったタヌキだったと知る。同情した古道具屋はタヌキが元に戻れるまでの間家に泊めることにし、タヌキはお礼に綱渡りをする茶釜で見世物小屋を開くことを提案。タヌキの考えは成功して古道具屋は豊かになり、タヌキも寂しい思いをしなくて済むようになったという恩返しの話。
(参考)Wikipedia「文福茶釜」
おすすめポイント
文福茶釜は日本の昔話にはそれほど多くない「笑い話」の昔話ですが、実は、江戸時代までは『鶴の恩返し』のような「恩返し物語」として語り継がれたのだとか。妊娠中に読んで「思わずニヤッと」していただきたい日本のユーモア昔話です。
胎教絵本にはこちらも
『わらしべ長者』
おすすめポイント
『今昔物語集』および『宇治拾遺物語』に原話が見られる日本の古い昔話。貧乏人が最初に持っていたワラを物々交換を経ていくにつれて、最後には大金持ちになるというストーリーですが、このような物々交換により最終的に大金を手にするおとぎ話はイギリスやブータンなどにもあるのだとか。
『ねずみの嫁入り』
おすすめポイント
「娘のために世界一のお婿さんを」と始まったネズミのお婿さん探しの昔話。めぐりめぐって娘はねずみと結婚することになるという頓智のきいた昔話は、古くは古代インドの寓話集にまで遡ることができるのだとか。二俣英五郎氏のイラストによるこちらの『ねずみのよめいり』はネズミの家屋、家財道具、着物、農村風景などが細やかな筆で描かれた民話絵本の傑作です。
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